1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『(今日は魔法薬学の課題以外は何もしない…早く寝よ…)』
名門だけあって課題の量もそれなりにあり、その上ラウンジでバイトという予想外な労働もこなしつつ予習復習もこなしている状況のため疲労が溜まる。
唯一の幸いは相部屋相手が別部屋に泊まりに行くことが多く、部屋を1人で過ごす時間が他の寮生より比較的多いことくらいだろうか。
部活やユウたちのメンバーは気楽だが、1人で過ごす時間が無いと話も違ってくる。
この人たちだけになら打ち明けてもいいのではないかと何度もよぎったが、今まで通りの仲でいてもらえなくなる可能性もあるので言い出せずにいた。
1人部屋確保のために寮長を目指すべきか…と考えながら課題に必要な薬草を求め魔法薬学室を目指していると、突然後ろから誰かが[#da=1#]の帽子を取りあげた。
慌てて振り返ると大柄と細身の2人のサバナ寮生だった。帽子は大柄な方の生徒が手にしている。
「こんにちは~。久しぶりだなぁ1年」
『…?すみません、どこかでお会いしましたか?』
「あちゃー先輩悲しいっすねー!」
「ほんとだよ全くよぉ!モストロ・ラウンジでは大変な目に遭ったぜ」
『…!』
口調とラウンジというワードで以前の問題客だった2人組であることを思い出した。
大柄な方の生徒には腕を痛められており、今では感じないはずの腕が疼く。
『あの時は周りに危害が及ぶ可能性があると判断したのと自己防衛なので…不満があるならうちの寮長に直接言ってください。僕だって傷を負ったんです』
「なんだ覚えてるじゃねぇかよ。やっぱり先輩のオレらがお前みたいなナヨっちい1年にやられっぱなしのままじゃ黙っていられなくてさ」
「そりゃ煮え切らないっすよね、見てた俺までショックでしたよ」
「そしたらお疲れな様子の上に放課後みんなが帰る道とは別方向に進むアンタ!最高なタイミングだろ?気晴らしにオレらと遊ぼうぜ。お前がサンドバッグ役でオレらがボクサー役!」
『何を…!うわ!』
意識が大柄の生徒に向いていたことで、細身の生徒への反応に遅れ両腕を後ろに押さえつけられてしまった。
そのまま魔法薬学室へと続く橋から離れ、鏡舎裏の木が生い茂っているところに連れていかれる。出入口とは逆でもあるため完全に死角だ。
「本当に力無いな。やっぱり玉取っちゃってたりして、あはは」
『侮辱するのもいい加減に……っ!!』
「一応声は抑えてくれよチビ助。…しっかし改めて見るとなかなか育ちのよさそうな小綺麗な顔つきしてやがる。しゃれた香水なんかもつけやがって…お前坊ちゃんだろ」
反発しようとところで左頬に強い痛みが走る。大柄な生徒によって殴られたと察するまで時間はかからなかった。そして声を荒げないよう[#da=1#]の口元を抑えジロジロ観察しだす。
ここまで追い詰めても尚魔法道具などに気づかないあたり、しっかり効力を発揮していることとサバナ寮長の魔力探知が異常だったのだと再認識した。
「うーん…でもお前なら男でもいっかなぁ…喧嘩じゃなくてそっちで楽しませてもらおうじゃねぇか」
「いや先輩ノンケじゃなかったっけ?しかもここで?飢えてんねー」
こわい。一気に恐怖が全身を襲った。
バレてしまう、もちろんその恐怖もある。ただそれだけではない。それ以上の恐怖だ。
恐怖と殴られた痛みで体が鉛のように動かなくなり、思考もまともに働かない。
しかし大柄な生徒がパーカー、ベスト、ネクタイと開け進めていく。
『(こんなところで惨めに終わってたまるか。動け、動け…!タイガーだろ!!)』
シャツを第3ボタンまで外したところで首元に空気が入りハッとした。
めいいっぱい細身の生徒の膝を蹴り体全体の拘束が緩んだことで、[#da=1#]の口元を抑えていた大柄な生徒の手に噛みつき、大柄な生徒が怯んでいる隙に動き出そうとした細身の生徒が膝を抑え低い体勢だったので顎を蹴り上げる。
大柄な生徒もつかみかかろうとしたところを猫特有の軟らかさを生かしスルリと横に避け、脇腹に思い切り肘を食い込ませた。
「ぐ…おらぁ!待て!!」
「ぶっ殺してやる!!」
『(早く…!早く隠れなきゃ…!)』
2人が怯んでいるうちにいつか昼寝スポットの1つだと教えられた植物園の方向へ走った。
うまく足が言う事を聞かず何度か転びそうになる。
鏡舎から自分の寮に向かう方が安全かもしれないが人目につくのは避けたかった。