1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「…で、寮長の詫びタルトは結局どうなったの?」
「ち、ちゃんと持ってきてるよ。これ。ボクが作った」
『詫びタルト?』
エースが尋ねたことでリドルがケーキが入っているであろう箱をみんなの前に出した。
リドルがパーティーでの騒動に関するお詫びに、手作りの苺タルトを用意することになっていたそうだ。
「苺の艶を出すナパージュを塗るひと手間もかけてるし、初めてにしては上出来じゃないか」
「すかさず甘やかし入りました~」
トレイの言う通り形についてはそこまで酷くないし、不格好さが逆に手作り感を感じてそれが良いと思う人はいるだろう。
さっそくみんなで切り分けられたリドルのタルトを口に運ぶ。
「……ん!?」
「こ、これは……」
『うっ…』
「「『しょっぱい!!!!』」」
「えぇっ!?」
苺の酸味とクリームの甘さが口にいっぱいに…広がらなかった。
はちゃめちゃにしょっぱい。果てしなくしょっぱい。
何入れたらこうなるのかと驚きの声が上がる。
「もしかして…オイスターソースを入れたから?」
「ゲホッ………もしかしてクローバー先輩が冗談で言ってたセイウチ印の?」
リドルが言うには、トレイから「おいしいタルトには隠し味でオイスターソースが入ってる」と聞いたのでそれを実行したそうだ。
エースは「んなわけねーだろ」とすかさず突っ込む。しかしユウ曰く彼も初めは騙されていたらしい。
「隠し味って量のしょっぱさじゃないよね。どんだけたくさん入れたの?」
『全く隠れてない…』
「だ、だって適量とか言われてもわからないだろう?」
「…ぷっ、まさかあの冗談を真に受けて本当に入れる奴がいたなんて…あははは!」
「……あは、そうだね。馬鹿だな、ボク…あはは!」
あまりにも衝撃の味であることで逆に笑いが広がっていく。
グリムとケイトに至ってはこれはこれで美味い気がしてきたと言い出した。
さすがに会場内で食べ進めたのはその2人くらいである。
ただケイトは単に甘い物が苦手だからそう言ったらしい。
本人は誰にも言ってないのにと驚いていたがトレイにはお見通しだったようだ。
「ふんふふーん♪トレイのお菓子はいつ食べても絶品だにゃあ~。モグモグ」
「チェーニャ!なんでここに!?」
「ん?‘‘なんでもない日‘‘だからお祝いにきただけさ。おめでとう、リドル」
不思議な風貌の生徒が突然会場内に現れた。
[#da=1#]と同じく猫の獣人のようだが、口調から猫感はチェーニャと呼ばれた彼のほうが強い。
グリムたちは面識があるようで、トレイとリドルに至っては彼の事をよく知っている様子だ。
「そういえば、結局お前はどこの寮なんだぞ?」
「そもそもチェーニャはうちの学園の生徒じゃない」
『は?』
なんと彼は、ライバル校であるロイヤルソードアカデミーの生徒だそうだ。
トレイからの情報に騒然とする。違う学校の生徒の上にあのライバル校なのだからそれも当然だ。
一部の生徒が追い出してやると戦闘態勢に入ったことでその生徒は姿を消したので、‘‘なんでもない日‘‘のパーティーが再開する。
『リドル先輩、今回は僕の参加も許可してくれてありがとうございます』
「ああ[#da=1#]だったね。1人くらいなら増えても構わないさ。…先ほどのケーキでは恥ずかしい所を見せてしまったね」
『いえ、微笑ましかったです………あ』
改めてリドルに挨拶をしたところで思い出した。
彼は美しい赤毛を揺らしどうしたのかと首をかしげる。
オーラはあるが、やはり暴君だったとはとても思えない愛らしさだ。
『もしかしてうちの寮でリドル先輩に迷惑かけている生徒がいませんか?』
「フロイドか…」
『やっぱり…』
ラウンジでフロイドから何度か「金魚ちゃん」というワードが出ており、「金魚ちゃんはね、赤くて怒ると真っ赤になるんだよぉ。同じくらい小さいから仲間意識芽生えそう」とケラケラ笑いながら言っていたので印象に残っていたのだ。
『なんかすみません…大変ですよね』
「君が謝ることじゃないよ。どうにかしてほしいのが本音だが君も寮生として苦労していることだろう」
『あはは…』
「[#da=2#]!今からエースとデュースとグリムが早食い競争するから行こ」
『わかった。先輩も行きましょう』
「全くあいつらは…」
にぎやかな時間もあっという間にお開きとなり、片付け終わった際にケイトが余ったお菓子を包んで持たせてくれた。
これを普段から食べているハーツラビュル寮生を羨ましく思った。