6章
お名前編集はこちら
この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「リドルさん、その青や黄色の炎を集めるんだよ!」
「岩に当たるとライフが減りますぞ!上ボタンで回避!」
結局リドルは、イデアの煽りに乗ってしまいゲームをすることになった。
〖冥界伝説〗はひたすら横に進み、その過程で滞留している火の玉をどれだけ多く回収してゴールできたかの得点を競うゲームである。
リドルの操作する画面をオルトと先ほどまで煽っていたイデアがそれぞれアドバイスする。
「上ボタン!?コントローラーの上側にボタンなんかついていないよ!?」
『えっ!?』
「ブフォッ!想像の斜め上をいく返答、嘘でしょww左手側にある十字キーだよ!」
「陸生活が短い僕でもそれくらいはわかりますよ、リドルさん」
イデアが移動して障害物を避けるよう指示したが、リドルは上ボタンのことを違う意味で捉えたようでコントローラーを注視した。
慌てた様子でボタンがないことを伝えたリドルに[#da=1#]は驚き、イデアは噴き出し、アズールは得意げに笑った。
「右から大きな黒い犬が出てきた。あれ、敵?」
「初見キラーの冥界の番犬キターー!一番下レーンまで移動して!」
「はっ!?えっ、今度は下!?」
画面を見ていたヴィルが初めて登場した対象について訊ねた。
それを見たイデアのテンションはさらに上昇する。どうやら事前知識がないとダメージを受けてしまう意地の悪い敵のようだ。
次の指示を聞いたリドルはまたしても戸惑う。
次は下にボタンがあるのだろうかと確認しようとするも間に合わず、操作キャラである船頭はその敵にぶつかってしまった。
画面にはゲームオーバーの文字が表示される。
「いや~、さすがの拙者も「コントローラーの上側にボタンがついてない」って言った人とは初めて会いましたわ。まあ拙者友だちいないんで、オルト以外とリアルでゲームするの自体初めてなんですけど」
「ふふふっ。リドルさんにも苦手なものってあったんですねぇ」
「そ、その表現には誤りがある。苦手ではなく、ただの経験不足だ!そんなことを言うなら、キミもやってごらんよ」
「いいでしょう。コントローラーを貸してください」
『ずいぶん余裕そうですね』
「どうせああいったゲームには覚えがあるんだろ」
「難易度はそのままでいいよね?それじゃあ始めるよ」
悔しがるリドルをイデアとアズールは相変わらずニヤニヤと嘲笑している。
日々ゲームに触れているイデアはともかく、人魚のアズールにまで笑われるのが癪に障ったのだろう。リドルはアズールにコントローラーを押し付けた。
それでも得意げな様子のアズールに[#da=1#]は違和感を感じた。
ジャミルは[#da=1#]が考える前に答えつつ、クラスメイトがゲームを始めるのをどうでも良さそうに眺めた。
「あら。今度は船頭がちゃんと上下に動いて岩を避けてるわね」
「おお、初めてにしてはなかなかのお手前」
「このタイトルは初めてやりましたが、陸のゲーム機はフロイドが所持しているので。触ったこと自体はあります。それに、リドルさんが先陣をきって”見事なお手本プレイ”を見せてくれましたから」
「う、うぐぐ……っ!」
「ほらな」
『本当だ。しかもノーミス』
次にスタートしたアズールの操作はスムーズなものだった。
どうやらフロイドづてに経験したことはあったらしい。確かにあの人魚3人の中でフロイドなら、飽きるまでにムラはあるだろうが様々なゲームに興味を持ちそうではある。
どうせ自分と大差ないだろうという期待を裏切られたリドルは心底悔しそうにアズールを見た。
ジャミルは予想通りになった光景を見て淡々と[#da=1#]に話を振った。
[#da=1#]はジャミルがアズールのことを嫌っているのを知っているため、『さすがクラスメイトなだけあってよく知ってますね』とは返さないでおいた。
「くっ……オルト!テーブルについている小さなモニターにゲーム画面を映すことはできるかい?」
「もちろんできるけど……なんで?」
「僕もノーミスでクリアできるまで、特訓をする!」
「おや。ではノーミスクリアの先駆者である僕が、特別価格でコツを教えてさしあげましょうか?」
「結構だ!コントローラーの使い方を習得すれば、ボクだって……」
さっきの自分の結果やボタンのことといい、そしてアズールがノーミスでクリアしたことがさらに悔しかったようで、リドルは集中的に特訓をすると言い出した。
先ほどまでゲームなんてするつもりないと興味0だったのに、ノーミスという完璧主義者らしいクリアを求めて闘志を燃やしている。
それをジャミルとヴィルが呆れた様子で見ていた。
「チッ。ゲーごときでキャンキャンうるせぇ。ガキかよ」
「ナイトレイブンカレッジに在籍する生徒の平均年齢を考えると、ほとんどが未成年だからね。一般的には子どもという分類で正解だよ」
「そういうこっちゃねぇ……とにかく、もう少し静かにやれねぇのか。テメェらの声は昼寝のBGMにするにはうるさすぎる」
「じゃあ、レオナ・キングスカラーさんも一緒にゲームをしようよ!」
「あぁ?」
『オルト……肝が据わってるな……』
なかなか昼寝ができないことで機嫌の悪いレオナを、オルトは正論で返したうえにゲームをしようと誘った。
先ほどゲームに興味がないことを公言し、さらに不機嫌な状態の上級生なんて普通ならそっとしておくものだ。
同じ3年生の兄をもつからとはいえ、そんな思い切ったことを提案するオルトに[#da=1#]は若干引きつつも感心した。
「実は、レオナ・キングスカラーさんにピッタリのゲームがあるんだ。その名も〖ヒドラの逆襲〗!」
「で、でた~〖ヒド逆〗!数々のミニゲームが搭載された、初期パーティゲームの名作!」
『そのタイトルは聞いたことがあるな』
「物語は、英雄を目指す青年が、とある伝説のトレーナーに出会うところから始まる。青年は伝説のトレーナーとの厳しい特訓を乗り越え、人々の暮らしを脅かす”ヒドラ”の討伐に挑む……ってのが大筋」
「このゲーム、続編が出ているよな?昔、携帯ゲーム機でやったことがある」
ジャミルから続編が出ていることを聞かれたオルトは「そうそう!」と弾むように返事した。
よりミニゲームの種類を充実させた続編が手軽に利用できる携帯ゲーム機で発売され、初代据え置き版よりも売上本数を伸ばしたヒット作である。
ちなみに初代は27年前に発売され、数年前にダウンロードコンテンツ化されている。
「そして、このタイトルは近年とある理由で再び盛り上がりを見せているんだよ」
「なんだ、そのとある理由ってのは?」
「アッ、オルト、もしかして……」
「ふふふ!それはやってみてのお楽しみ。ほら、レオナさん、コントローラーを持って!」
「おい、俺はやるなんて一言も……!」
「それじゃ、はりきっていってみよー♪」
『やっぱりオルトってすごいな……』
名作である〖ヒドラの逆襲〗の初代は、ダウンロードコンテンツ化されたこと以外にも盛り上がりの要因があるらしい。
詳細をレオナが訊ねるも、オルトはコントローラーを無理やり持たせそのままゲームを起動させた。