6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「あら、ようやく所長代理御一行様がおでましね。従順に検査を終えた被検体に、ねぎらいのお言葉でもいただけるのかしら?」
「おい、カイワレ大根。なんなんだあの粉っぽい保存食と缶詰だけのメシは」
「栄養バランスは完璧なようですが、味や食感がおざなりなのはいただけない。……ああ、もしあれが嘆きの島の伝統料理だったとしたら失言をお詫びします」
しばらくするとイデアとオルトが被検体たちの集まる会議室へとやって来た。
イデアを見るなり、ヴィルたちは口々に文句を言い始める。
さらに文句だけでなく要求まで始まった。
「イデア先輩ッ!今すぐ紅茶の支給を要求します!ハートの女王の法律・第339条”食後の紅茶は必ず角砂糖を2つ入れたレモンティーでなければならない”……ここは学外ですが、ハーツラビュル寮長として守れる法律は守りたいんです」
「イデアさん。自由にインターネットを使わせろとは言いませんが、せめて朝刊と夕刊くらいは読ませてください。できるだけ世界情勢や経済関連情報が豊富な新聞をお願いします」
「ギャーギャーギャーギャー……ここは動物園か?」
『(動物園……確かに……)』
ただでさえ不満が爆発しているのに、所長代理のイデアが来たものだからさらにヒートアップした。
イデアの例えはなかなかに的確で、[#da=1#]もこの騒がしい状況を見て静かに頷く。
「君たち、また自分の立場を忘れてるだろ。何度も言わせないでくれないかなぁ………僕が!!!!ボスだ!!!!!」
「それじゃあ言わせてもらうけど、ボス。無理やり連れてきたアタシたちの面倒をちゃんと見るのも、ボスの役目なんじゃない?[#da=1#]、さっきから黙ってるけどアンタも不満あるんじゃないの」
『え”……っと…、僕は早くゆっくり休みたいです』
イデアの普段出さない大きな声に周囲は一瞬固まったが、ヴィルが臆さずにすぐさま意見した。
そして突然話を振られた[#da=1#]はどうにか返事をする。
ヴィルの言い分では、【S.T.Y.X】の掲げる”魔法士の安全な暮らしと活動を守るための活動”に無償でデータを提供して貢献してあげているのだから、何か褒美があるべきだというものだった。
それを聞いたイデアはウンザリした様子で訊ねた。
「あーー、君ら自分がオーバーブロットして周囲に迷惑かけた自覚あります?」
「もちろん。でもその件に関して、アンタ個人に迷惑をかけた覚えはない」
「いるよなァ。自分が直接被害をこうむったわけでもないのに、被害者ヅラして噛み付いてくるヤツ」
「いや……オーバーブロットしたってだけでめちゃくちゃ被害こうむってますが?」
『(イデア先輩、何かブツブツ言い始めた……この空気じゃ個室に案内しろなんて言えないし……)』
レオナまで話にのってきた。
言い合いをしている3年生たちを[#da=1#]は溜め息を吐きながら眺めた。
とりあえずイデアとオルトがボソボソとやり取りしている内容に聞き耳を立ててみる。
この仕事を仕方なく行っているのは本当にやりたくてやっているわけではないらしい。
肝心の両親はこの件についての調査で”黎明の国”に出向いてるようで、学園の責任者として連行された学園長の事情聴取が目的だろうとのことだった。
オルトは友だちが初めて家に来たと喜んでいるようだが、イデアは猛反発。それもそうだ。ここの全員は友達というより知人。そして遊びではなく被検体として無理やり連行しているのだから、だいぶ意味が変わってくる。
『(普通の人たちみたいに友達を家に呼ぶのが絵空事……まぁ実家がこうだと、普通の生活は難しそうだな)』
「ちょっと、そこの2人。なにぶつぶつ言ってるのよ。アタシたちの話聞いてる?検査が終わったっていうなら、日課のワークアウトかヨガをさせてほしいんだけど」
「俺も少し身体を動かしたいですね」
「肉」
「紅茶!」
「経済紙!!」
「あ~~~~~~!!やかましい!!明日には帰れるんだから、ちったあ大人しくできんのか~~~~!」
[#da=1#]はイデアとオルトの会話に聞き耳を立てていたのでだいたいは理解したが、人間の聴覚では聞き取りきれないヴィルたちはお構いなしに改めて要望を突きつける。
イデアが再び叫ぶと同時にサイレンのような音が鳴った。その後アナウンスが流れる。
これにはさすがにヒートアップしていた被検体たちも所長代理も黙り込み放送に集中した。
「ヒトサンマルマルより、被検体ROS-859A、SUS-3320Bのテストを開始します。現在、該当ファントムのケージを凍結解除中。職員の安全に万全を期すため、テスト終了まで館内の扉は全て施錠されます。館内を移動中の方は、すみやかに管轄エリアにお戻りください」
「……今日はAクラスのファントムのテストか。少し時間がかかるかもしれないな。というわけで、君らは今から2、3時間はこの部屋から外に出られません。各自適当に暇つぶしヨロ」
「「「『ええ~~~~!?』」」」
なんと、これからファントムのテストのため今いる部屋に閉じ込められることとなってしまった。
それを聞いた被検体たちから驚愕の声が一斉にあがる。