6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「[#da=1#]・ファミーユさん。起きて!」
『……、…………?』
気付けば[#da=1#]は眠っていたようで、オルトの呼びかけで目を覚ました。
当時を思い出しながらの寝落ちだったからか枕が涙で湿っている。
どうやら被検体全てのテストが終わったようで、これから[#da=1#]のユニーク魔法のテストを始めるらしい。
「あれ?テスト中のときほどではないけどバイタルが少し乱れているね。どこか調子が悪いのかな?」
『いや…大丈夫だよ。夢を見ててまだフワフワしてるみたい。それじゃさっそく行こうか』
オルトは[#da=1#]の様子が安定していないのではと訊ねたが、寝起きと直前まで夢を見ていたからということで問題はないとのことだった。
鼻をかみ、涙を拭き取るとオルトと共にテストを行う部屋へと向かう。
「兄さん、[#da=1#]・ファミーユさんを連れてきたよ」
「ありがとうオルト」
「…………」
先ほどテストを行った部屋にオルトと[#da=1#]が到着すると、そこにはレオナが立っていた。
着替え後の集合する前にイデアが話していたテストの流れには、ブロットが溜まりすぎていなければ[#da=1#]のことを知っているレオナを指名すると言っていた。
あまりブロットが溜まりすぎていても、[#da=1#]が眠っている間に他の仕事が滞ってしまうおそれがあるとのことだった。
ここにレオナがいるということはイデアの予定通りのようだ。
「それじゃ[#da=1#]氏、はじめていいよ」
『わかりました。先輩、手を出してください。……〈貴方が消えれば私は悲しみ、私が消えれば貴方は喜ぶ。次会うときまでさようなら〉”眠りの国”』
[#da=1#]の魔法は対象に触れていないと発動できないため、レオナに片手を差し出すよう指示した。
言う通りに出された褐色の手を[#da=1#]は両手で触れる。レオナは獣人では小柄な方と言われているが、認識阻害のない状態の[#da=1#]の手と比べれば、大きさも形の差も今では一目瞭然だった。
改めて[#da=1#]を見ると、手だけでなく顔つきも学園で見るときとは違うと感じさせる。体つきはジロジロ見るものではないので注視は避けた。
そうしている間に魔法が発動され、ミルクの注がれたティーカップが姿を現す。
「………家猫、また泣いてたのか」
『またってやめてくださいよ。タイガーはそんな泣き虫じゃありません』
「タイガー?お前はタイガーでもヒョウでもなくただの猫だろ」
[#da=1#]の使っていた認識阻害は顔も声も体格も大きく変わるわけではない。元の状態を「なんとなくこういうもの」と一種の個性のように思わせ許してしまうというものだ。そのほうが道具の持続時間が長いうえ、鏡に映る本来とかけ離れた自分の姿や声に参らないためでもある。
レオナは靄が晴れたようにハッキリと見える[#da=1#]の顔つきを観察していると、目元が赤くなっていることに気付いた。
しかし[#da=1#]はなぜか自身のことをタイガーだと言い出す。
『ただの猫なんて失礼ですね。”自分が一番の強者”。それを家では”タイガー”と呼んでて……父からの受け売りです。イデア先輩、飲んでいいんですか?』
「うん。いつでも寝れるようにそこの簡易ベッドで飲んでくれれば」
同じ猫科といえど大型肉食獣とただの猫とでは体格に差が出やすい。昔はそれで差別視されることも多かったらしく、男性間が特にその傾向が強かったようだ。
そこで世界中を旅していた[#da=1#]の父は、大型肉食獣の獣人と張り合うために己を鍛え、持ち前の世渡り上手と併用してトラブルの回避や解決をしてきたと聞かされてきたらしい。
『それじゃレオナ先輩。またあとで』
「ああ」
以前のテストではなかった簡素なベッドが室内に設置されている。
検査をしている間は部屋から出ることができないため、とりあえずそこで寝ていろということらしい。
ブロットの抜けたレオナは、オルトの誘導で別部屋へと案内された。