1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「おーいエド!」
『エース、みんなおつかれ』
「さっさと準備していっぱい食べるんだゾ!」
エディシアは昨日の初めてで慣れないバイトで疲労感が大きく残っていた。
筋肉痛も腕の怪我も治りきっておらず、コンディションは最低といえる。
ただ今日は唯一楽しみがあった。これが無ければ一日サボっていただろう。
待ち合わせにはエース、デュース、ユウ、グリムがすでに集まっていた。
「前よりましになったとはいえ、規則違反には気をつけろよな」
「でもなんだかんだまた2人とグリムが首はねられそうだよね」
『同じ目に合わないために上級生の動き真似しとこ。楽しみだなぁ‘‘なんでもない日のパーティー‘‘』
そう、今日はハーツラビュル寮の何でもない日を祝う‘‘なんでもない日のパーティー‘‘だ。甘いものが好物のエディシアはこれが目当てだった。
エースとデュースが以前エディシアと約束したハーツラビュルへの招待について本当に捉えていたようで、事前に寮長と副寮長に相談していたのだった。
今回許可はされたが、代わりにパーティーの準備や片づけの手伝い、そしてハーツラビュルの敷居をまたぐので数百個ある規則に寮生と同じように縛られる事になる。
本来は他寮生がパーティーにやすやすと参加できるものでは無いだろうから、準備などの条件はあって当たり前だろう。
「ユウちゃん、グリちゃん、エドちゃんいらっしゃい!」
『ケイト先輩、今日はよろしく』
「よろよろ~!とりま来客組で1枚撮ろ!」
「いえーい!なんだゾ!」
ハーツラビュル寮に入るとケイトが出迎えた。
軽音部のメンバーは三大温和ボーイズと自称しているほど親戚のようにラフなので、下級生のエディシアも部活メンバーに対して敬語が抜けるまでそうかからなかった。
ちなみに入部時に聞いていた話のとおり、エディシアが入部した日から部活動として楽器は触っておらず、お菓子を広げゲームや雑談などをしている。
「お、ユウ、グリム!そしてお前さんがオクタヴィネルの1年生か」
「この人はハーツラビュル副寮長のトレイ先輩だよ」
『エディシア・ファミーユです。参加を許可してくれてありがとうございます』
「エディシアだな。こちらこそうちの1年と仲良くしてくれてありがとう。俺はトレイ・クローバー。手伝ってもらう事にはなるが楽しんでいってくれ」
ケイトが写真を撮った後、副寮長のトレイが来客組に声をかけてきたので初対面のトレイとエディシアで互いに挨拶を交わした。
ユウが間に立ちエディシアに説明をする。本来この仕事は寮生であるエースまたはデュースが行うべきなのだが。
パーティーのケーキは全てトレイが手作りしておりどれも絶品らしい。
まずパーティーを間に合わせなければならないので、ハーツラビュルの寮長への挨拶は後で行う事になった。
「まーた延々と薔薇の色付け…だりぃー…」
「早く終わらせてごちそう食べよ」
「ユウの言う通りだぞエース。色よ……変われ!うわ、また青になった…!?」
「ほんっとデュースは下手くそなんだゾ。オレ様がお手本を…ふなっ!?」
『……芸術作品を生み出そうとしてる?』
1年生たちはトレイから白い薔薇を赤く塗るよう指示を受けたのでさっそく色変えが必要な場所まで移動した。
薔薇にわざわざ別の色を塗るのがここの寮の不思議な規則の1つらしい。どの寮もキャラの濃さは際立っているが、なかでもハーツラビュルはひときわ不思議な寮である。
エディシアも色変えに参加するためにさっそく指示通りに動く。
……そのつもりでいたのだがその寮生とオンボロ寮生の魔物が、薔薇以外を赤くしたりカラフルに染めたりと主張の激しい薔薇の木を作り上げていた。
コツコツと直接ペンキで塗っているユウの方が仕上がりが早い気さえするほどの出来だ。
「なんだよエド、そう言うオマエはどうなんだゾ!?」
『あと半分くらいかな』
「にゃに!?」
「デュースとグリムは特別下手だけどお前はお前ですごくね?」
「エースも2人ほどじゃないけどなかなかだよ」
『色変えはけっこう得意なんだ。美術が好きだから色のイメージがしやすいんだと思う』
魔法はイメージが重要である。イメージが具体的であるほど魔法の精度が上がり、魔力が少なくてもそれでカバーできることもある。
自身の担当する箇所が終わったエディシアは1人他の薔薇の木へと移動した。
戻るとさらに高度な美術品が出来上がっていたりしてと期待していたが、最終的には形になっていた。