6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「昔からブロットについて様々な研究をしていることは話したよね。その中でも特に、ブロットを安全に有効活用するための研究に力を入れているんだ」
「ブロットを有効活用する……ですって!?」
学園ではブロットは廃棄物として体に有害なものと説明しており、この施設ではそれをリサイクルしようというのだ。
イデアが言うには、ブロットも生活で出てくるプラスチックゴミのように重要なエネルギー資源のひとつと考えているらしい。
「エネルギー資源……ね」
「その大切な研究のためなら、使えそうな魔法士は力づくで捕縛してくる、と。随分とご立派な活動をしてんだなァ。【S.T.Y.X】ってヤツは」
『あんなの誘拐と同じだよ』
「今回、みんなに事情を説明することなく強制的に連行してしまって申し訳なかったと思ってる。でも……みんなだって、もう二度とオーバーブロットなんかしたくないでしょう?[#da=1#]・ファミーユさんだって、自分の魔法が世界の役に立つかもしれないんだ」
オルトは被検体たちを納得させるために、ファントムの種芋として出がらしにならないためにも、自分の持つ魔力やブロットの性質について知るのはすごく大切だと説いた。
別の理由で連れてこられた[#da=1#]にも、今後の魔法士たちのためだと付け加える。
「【S.T.Y.X】本部には、世界最新の検査設備が揃ってる。ここ以上に正確で詳細なデータがとれる場所はないはずだよ。未来の自分のためにも、しっかり精密検査を受けていってほしいんだ」
「随分と聞こえの良いことばかり言うのね。ようは「データ収集に付き合わなければ学園に帰すつもりはない」ってことでしょ?」
「……話が早くて助かるよ。ヴィル・シェーンハイトさん」
「というわけで、サクッとデータ収集を終わらせよう。みんな手元にあるタブレット見て」
ヴィルはオルトの話す内容の真意を見抜いていた。自分や魔法士たちのためになるから検査をさせろというのだ。
さっさと終わらせたいのはイデアも同じようで、タブレット画面に視線を移すよう指示を始める。アズールは次は何を見せるんだと尋ねた。
「NDA……秘密保持契約ってやつ。読んで内容に合意したら、最後にサインたのんますわ。フォームにメアド登録しといてくれたら、写しのダウウンロードアドレス送るんで」
「はあ?有無を言わさず連れてこられたアタシたちに、NDAにサインしろですって?武器を持った人間まで同席させておいて……脅しも同然じゃない!」
「あ~、出た出た。電化製品の説明書を最後まで読まないくせに「動かないんですけど!」とか起こるタイプ。読む前からファイティングポーズをとらないでもろて……」
『(ヴィルさんはそんな人じゃないんだけど。こんな状況じゃ誰でもすぐ受け入れられないに決まってるのに何なの?)』
ヴィルの訴えにイデアは飄々とした反応を見せる。
[#da=1#]は面倒事による注目を避けるため言葉にはしていないものの、隣に控えていたレオナが尻尾で軽く叩いた。顔に出ていたらしい。
「これは、君たちを守るための契約でもあるんだ。最初にも言ったでしょ。君らが僕らに痛いことをしないなら、僕らも君らに痛いことはしない。君らがデータ収集に協力してくれるなら、最先端のブロットケアを提供する。検査にかかる時間は約24時間。たった24時間だけ、僕らに協力してくれればいい。で、スムーズに検査を終わらせて、サクッと全員ハッピーに解散ってことで。僕だってしたくてこんな仕事してんじゃないんだよ。本当は今すぐ推しキャラのイベ走りたいの。一刻も早く解散したいなら、さっさと読んで、ちゃちゃっとサインして」
「「「「「『………………………』」」」」」
「クッッソ……あのカイワレ大根。こっちが丸腰だと思って調子に乗りやがって。首輪がなければ、あの野郎の髪の毛を全部砂に変えてやるところだ」
「あら、レオナ。たまには気が合うわね」
イデアの話の前半はまだ全員が納得できる。魔法士とブロット研究所として目的と対価だけで見ればwin-winだ。
しかしイデアの伝え方に問題があった。ここまで不満点がいくつも溜まっているのに、所長代理であるイデアはそんな被検体たちにあぐらをかいたような様子なのだ。
——1時間後
「あのさあ………、ほんとに内容を一字一句最後までしっかり読んで、1項目ごとに質問してくることある?」
「サインするなら、すべての条件に合意できてからなのは当然でしょう」
「ええ。万が一にも僕が損をするような契約だったらたまりませんから」
「ヴィル先輩とアズールの言う通りだ。もし法に触れる内容が盛り込まれていたらどうするんだい」
『契約ってそういうものですよ。先輩も内容に合意したらって言ったでしょう』
「君らほんとブレないな……。さすがSSR〖前代未聞の問題児〗集団……」
芸能界で仕事の契約を結ぶ機会のあるヴィル、法律に厳しいリドル、日常的に契約を取り付けているアズールとその寮生の[#da=1#]、大富豪の従者であるジャミル、王族のレオナ。
契約にうるさい相手が何人もいる上に機嫌を逆撫でてしまったため、イデアは全員から規約内容の質問攻めに遭ってしまった。