6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「おーい!いい加減起きなよ。全く、昨日何時まで制作してたの?」
「……昨日……んー……外が明るくなってきたことしかわからない……」
「うげぇ……。まぁ、深夜テンションと寝不足でぶっ飛んだ印象的な作品はできるかも?」
「あーーー………それはありかも」
「はははっ。…………でも今は悠長に眠ってる場合じゃないよ。大丈夫、仲間も一緒にいる」
『…………っ!?』
[#da=1#]が目を覚ました。
昔の記憶から悪夢に急変するのがよく見ていた夢だが、今回は違った。
そのことに内心困惑するも、目を覚ましたのに何も見えないことにさらに混乱した。
『(どこだここ……いくつか知ってる匂いはするけど……横のも何これ……?ううん……どこか安心感があるような……?)』
「目ぇ覚めたか、家猫」
『…レオナ先輩?何も見えないんですが、ここは……、………は……?』
[#da=1#]は状況が掴めず、とりあえず目覚めた時点で寄りかかっていたどこか知っている匂いに再び体重を預ける。すると斜め上からレオナの声がした。
そこで[#da=1#]はすぐ違和感に気付く。自身の体の一部がほんのり温かいのはなぜかというものだ。
この声の近さと温もりと匂いは……と考え、辿り着いた答えに[#da=1#]は血の気が引いた。
『…も、ももしかして……これは何かの荷物ではなく……?』
「自分で事のまずさに気付いただけ良しとしてやるよ。この俺の膝に赤毛の坊ちゃん、肩には家猫がヨダレ垂らしてぐーすか寝やがって」
『ヨダ…!?……は、出てる感じありませんけど……赤毛の坊ちゃんって……』
「リドルさんですよ」
レオナの言葉に[#da=1#]は慌てて自身の口元を確認した。とくに汚れている様子はないのでハッタリのようだ。
そして命知らずにもレオナを枕にしていたのは[#da=1#]だけではなかったらしい。
リドルの名前を答えたのは[#da=1#]のすぐ近くにいた。
『やっぱり寮長でしたか』
「やっぱりってなんですか」
「ハッ。磯臭いんだとよ」
『大丈夫ですよ。寮長の使ってるコロンは涼やかで上品な香りです。安心してください』
「いや……レオナさんの言葉を真に受けている訳では無いので、そう真っ直ぐに慰められると反応に困るのですが……」
アズールが[#da=1#]の近くにいたことは、同じ所属寮として必然的に顔を合わせる機会が多く、よく使うコロンの香りを記憶していたため存在は予想できていた。
今いる場所は何も見えず視力以外が頼りの状況だ。感覚が鋭くなる暗闇は、獣人の優れた聴覚と嗅覚をさらに強める。
『ちなみにヴィルさんもいます?』
「……暗闇でもわかるほど楽しそうにいきなり名前を呼ぶのはさすがに怖いわよ」
『はい、気を付けます。怪我はしてないですか?』
「ええ、問題ないわ。アタシとジャミルもさっき目覚めたところ」
「ああ。なんだったんだ、アイツら……」
「それはリドルが目を覚ましてから共有しましょう。どうせ彼もすぐ目を覚ますわ」
[#da=1#]は嗅ぎ慣れたアズールと同じく、最近まで強化合宿で長期間共に行動していたヴィルとジャミルの香りも記憶に新しいのですぐに近くにいると察していた。
抵抗せずに同行したことで全員の様子を見れたアズールとレオナが言うには、この中でリドルが一番疲労が見られたのでだいぶ抵抗したのではないかとのことだった。
『ここに入ってどのくらいになるんですか?』
「だいたい2時間ほどでしょうか?レオナさん」
「そんなもんだろ。その間ずっとこの最悪な乗り心地と飛行音が続いている」
「狭い暗闇と単調な飛行音のみ……いつ終わるのかがわからないあたり、適当に雑談でもしていないと気がおかしくなりそうだ」
「そうね……乗り心地も良いとは言えないし体力も相当削れそうだわ」
暗闇に沈黙が流れ、一斉にそれぞれから溜め息が出る。
この状況とメンツでできる時間潰しなど何ができるか。
しりとりですらまともに続かないことは誰もが容易に想像できた。
「……学園長のあるあるでも話します?」
『……扉の隙間からこっそり授業を見に来るけど、存在感がありすぎてこっそりじゃない…とかですか?』
「あの人、気づかれると堂々と教室に入って挨拶しだすからわざとなんじゃないかって気がしてきてるわ」
「普段から服装が目立つんですよねぇ」
「服も声もうるせぇ」
共通の話題で喧嘩にならないような、尚且つこの緊張感をある程度和らげられる話は……と思案したジャミルは1つの提案をした。
それは成功したようで、各々から学園長に関する話が次々とあがる。
それからも話が長いだの、ホリデーは毎回一番浮かれているだのと、学園長に関するあるあるが飛び交った。
ここにいるのがほぼ学園長と関わりやすい寮長と副寮長なだけあって、その話題はなかなかに途絶えることがない。
「……おい」
『……はい?』
ジャミルのきっかけ作りのおかげで雑談が続いている中、レオナが隣の[#da=1#]に耳打ちした。
レオナは[#da=1#]が返事したのを確認すると、声を潜めたまま続けた。
「向こうでは何をされるか、どこまでコイツらと行動できるかも不明だ。なるべく行動しやすいよう俺のそばにいろ」
『わかりました』
「あれから知ってるやつは増えたのか」
『いえ……強化合宿でも徹底していたので、おそらくヴィルさんもジャミル先輩も知らないままです』
VDCに向けて合宿をしていた間、[#da=1#]はみんなより時間がかかるからついでに夕飯準備も進めておくということで先に寮へ戻り、メンバーたちと時間が被らないようにシャワーを済ませていたのだ。
髪の毛と同じように尻尾も乾かしたりケアするので、時間がかかるのは事実だった。
それによって一番想定される事故を未然に防いできたという。
『でもきっと、寮長だからとアズール先輩が同じ指示をすることも考えられます』
「そのときはボスの言う通りにしとけ。俺がそれとなくお前のとこにひかえておく」
『わかりました。メンバーからしてブロット関係でしょうけど……戻れたらいいな』
「………」
レオナと[#da=1#]は密かに今後のことを決められるだけ決めた。
目的地へ到着後は全員バラバラに行動することになるかもしれない。
これからどうなるのか、[#da=1#]は再びレオナに寄りかかった。