6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます……』
「今回も顔色がひどいな」
「…むしろ前より顔色悪くないか?」
「血の気がなさすぎて毛色と同じくらい真っ白ですね」
『ハァーー……』
総合文化祭は両日とも無事に終わり、2日目終了後に祖母から協力者であるジェイド、レオナ、ジャックの3人も呼んで、今後の話をするという連絡が白猫の元に入った。
そして迎えた当日の以前と同じ林、[#da=1#]は今にも倒れそうなほど血の気の引いた顔で3人を迎え現在に至る。
今回は事前の話し合いなどもなく[#da=1#]が終始大きなため息をつき、うなだれている様子を3人が見ている間に約束の時刻となった。
定刻になったと同時に祖母からの着信が鳴り響く。
『うわぁ……きた……ジャック、代わりに対応して……』
「は?お前がいないと話にならないだろ」
『髪色近いんだからいいじゃん』
「意味わからねぇこと言うなよ……あ」
スマホに表示されている祖母の名前を見たエディシアは、そのスマホをジャックに押し付けた。
ジャックが受け取らずにいると、ジェイドが[#da=1#]のスマホを取り上げ流れるように応答操作を行い、全員が映る位置に置いてしまった。
『え?あ!ちょっ、ジェイド先輩…!?』
「忙しいおばあ様をお待たせしてはいけないでしょう?」
「容赦ねぇな」
「ありがとうね、ジェイドさん」
代わりにジェイドが操作したことで白猫の祖母、ボンファミーユが画面に映し出された。
最後まで心の準備ができていない白猫は、祖母とジェイドを交互に見てアワアワしている。
その様子にレオナは思わず呟いた。
「さて、みんなにも集まってもらったのは」
『もう協力する必要がないからその挨拶でしょ……退学が決まったんだから……』
「[#da=2#]ちゃん、人の話を遮るのはマナーが悪いわよ」
『それなら形式的な挨拶なんて最後でいいよ……こっちは死刑宣告を受けてるようなもんなんだから…さっさと終わらそ……』
ビデオ通話が始まったことで再びうなだれた白猫は、覇気のない声で祖母に進行を早めるよう伝えた。
それを聞いた祖母は「あら?」と不思議そうな顔をすると、頬に片手を添えながら答えた。
「私は”引き続き”協力をお願いしたいと思っていたのだけど……」
「「「え?」」」
『はいはい退学ね……………え……?』
「でも[#da=2#]ちゃん本人が辞めたいと言うなら歓迎するわ。今すぐにでも転学手続きをとりましょう」
祖母の言葉に協力者の3人は目を見開いた。白猫も遅れて反応する。
本人が退学の考えならと祖母が話を終わらせようとしたので慌てて白猫が声をかけた。
『ストップ。おばあちゃんストップ……え?退学じゃないの?』
「まだ私何も話してないじゃない。なんでそう思ったの?」
『だっておばあちゃんを納得させるなら、まず優勝は必須の材料だし…』
「それなのに退学にならないのは……優勝以上に評価できるものがあったということですか?」
「そうね。正解よジャックさん」
今回のVDCで提示された条件は、祖母が納得できるクオリティの曲を作ること。
つまりは優勝できるような曲だと白猫は考えていたのだ。
正解だと褒められたジャックは小さく尻尾を振った。が、尻尾自体が大きいため横のレオナにはバレバレで、ジッと尻尾を凝視された。
「たしかに僅差とはいえ2位は2位。けれど曲自体は評価できたわ。それに親和性があったからこそとはいえ、1位は幅広い世代に聞き馴染みのある童謡がベースだった。媚びない曲であそこまで超有名曲に張り合えたのは、エドちゃんとパフォーマーの子たちの努力の賜物ね」
「僕も贔屓なしでとても素敵だと思いました」
「中間でラップを入るところも斬新で俺は好きです。レオナ先輩もそうですよね?」
「悪くはなかったな」
「そう。そこなの」
祖母の評価に協力者たちも続いて感想を口にした。
ラップ、と単語を聞いた祖母はジャックの感想を拾い上げた。
白猫は硬い表情でピクッ…と耳を震わせる。
「ラップなんてあなたの扱える手札には無かったはずなのよ。それに、あの部分はなんだか”あの子”の面影を感じて無性に懐かしくなっちゃって…ここだけの話、ちょっと泣いちゃった」
『…………』
「曲全体としても結果の内訳としても評価できるし、”あの子”の加護もついてるなら大丈夫でしょう、というわけ。だからおてんばな孫だけど、ぜひこれからも仲良くしてあげてちょうだいね。私からは以上よ。それじゃあね」
祖母の評価理由を白猫は終始無言で聞く。
彼女にも白猫以外の存在を感じていたらしい。
そこはさすが家族だな、と心の中で呟いた。