1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「…さぁフロイド、厨房に戻りなさい。閉店準備の説明があるでしょう」
少ししてアズールがフロイドへ現場に戻るよう促す。
現場を指揮する2人が揃って持ち場を離れているのはたしかによくない。
それに対しフロイドは抗議をはじめた。
「えぇーめんどくせーオレはブルーテトラちゃんと戦ってみたいんだけど。ジェイド代わりに行って来てよ」
「おやおやフロイドったら…エディシアさん、腕の具合はいかがですか?」
『痛みは引いてきました。今すぐに現場へ戻りたいです』
なんとフロイドは怪我人に向かって取っ組み合いの希望を口にした。
それを聞いたエディシアは先ほどの厨房からの悲鳴声を思い出し、この場からの即退出を申し出た。
「もう閉店準備だけじゃん。ブルーテトラちゃん行っちゃうの?どっちが早く相手を締められるか勝負しよ?」
『……あの、先輩。さっきからブルーなんとかって何ですか?』
「知らないの?調べてみなよぉぴったりだから」
「そいつは水の生き物の名前をつけるのが好きなんですよ。金魚ちゃんとかイシダイ先生とか」
どうやらフロイドは不思議な感性を持っているようだ。
こんな浮き沈みの激しい人物をそばに置いて疲れないのだろうかとエディシアは思ったが、また喧嘩を吹っ掛けられても困るのでぐっと飲み込んだ。
エディシアは「今ならフロイドがついていくだろうから」とフロアに戻って閉店作業をするようアズールから指示を受け、ジェイドはフロイドと交換で厨房に向かうことになった。
負傷した後輩を遊び感覚で締めたがる人物を一緒にさせることに正気かと物申したかったが、これも言えなかった。
所詮入学数日の新入生にアレコレ注文できる状況なんて無く、頷くしかない。
「……お、大丈夫か1年…ってフロイド?ジェイドは?」
『お騒がせしました』
「ジェイドはオレと持ち場交換したー。閉店作業教えるからホールの1年集めて」
「お、おう」
ラストオーダーが過ぎているため店内に客はまばらにしかいなかった。
接客は上級生に任せ、1年生はフロイドから説明を受けながら閉店作業を進めていく。
話し方は変わらず脱力感のあるものだが、意外にわかりやすい。
「ブルーテトラちゃん、説明終わったから暇。かまってよ」
『えぇ……まだ僕たち作業してるんですけど』
「手動かしながらかまえばいいじゃん。あんた獣人なんでしょ?帽子して耳聞こえんの?」
『聞こえるし慣れてるんで大丈夫ですよ。帽子返してもらっていいですか』
「ふーん」
指示通りにさっそく1年生たちが閉店作業を始めると、フロイドが暇になったと言いエディシアの元にやって来た。
そして人の帽子を取り上げ、所有者から返せと言われてもボーッとくるくる回している。
返ってくるのは質問しておいて興味の欠片もない空返事だけだ。
文字通り構ってやらないと返してくれないのだろうかと思い、エディシアからも質問してみる事にした。
『支配人とはいつから仲良いんですか?』
「ん?アズール?アズールは同じ珊瑚の海出身なんだぁ。仲良いっつうか飽きないからいるだけ」
『珊瑚の海って、あの海の中の?』
「うん。オレら人魚だもん。知らなかったっけ?」
『……初耳ですね……』
「あはっ。変な顔~うける~」
3人はミドルスクールからの幼馴染だそうだ。と言っても互いが認識したのはエレメンタリースクールに上がってからとのことだが。
初めて陸に出たときは3人とも歩けるようになるまでだいぶ苦労したらしい。
こんな人を陥れるような人たちが歩く練習している様子はなかなか想像ができない。
知的で何でもそつなくこなしそうなアズールと、2m近い双子が赤ちゃんのように顔から転んだり尻餅をついていたのだろうか。
そんな妄想を口にすれば絶対に半殺しにされるが、本当なら絶対おもしろい。
どちらが兄でどちらが弟なのかという問いにフロイドは、そういうのはどっちでも良くね?と興味なさげに返した。
これが海と陸での文化の違いなのだろうか。