5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「お願い、見ないで………アタシをそんな目で見ないで!どうして?世界で一番美しくありたいのに、なんでこんなにもアタシは……醜い、醜い、醜い!!!!」
ヴィルは[#da=1#]たちを見渡し少しずつ後ずさりをしながら叫んだ。
その叫びは悲痛なもので、なぜそんなことを言うのかとルークたちが説得した。
「毒の君……キミが醜いはずがない!」
「そうだよ!ネージュもルークもジュースを飲まずに済んだじゃないか!お前はまだ誰も傷つけてない。だからヴィル、目を覚ませ……ゲホッゲホッ!」
『ゲホッ…ヴィルさん…!カリム先輩の言う通り、まだ取り返しがつくから…!』
「おだまり!アンタたちになにがわかるっていうの!?世界中の誰が許しても、アタシは、アタシが許せない!」
ヴィルそう叫ぶと彼の身体から黒いインクが溢れだした。あの禍々しさや症状は、ウィンターホリデーでジャミルが暴走したときと同じものだとカリムは真っ先に感じ取った。
それに呼応するように床にこぼれたジュースが床を溶かしながら広がっていく。
「触れたら自分たちも……!?」
『(身体がしびれて、声が出ない……!)』
「ふ、ふふふ……そうよ。そうだわ。アタシ以外の人がみんな醜く歪んで溶けてしまえば…——アタシは世界一、美しいわよね?」
『(ぁ……)』
ヴィルから出ていたインクがさらに溢れ、瞬く間にヴィルを包み込んだ。
そして出てきたのは大きな影…ブロットの化身だ。
ヴィルも姿を変えた状態で現れ、オーバーブロットしてしまったという現実をルークたちに突きつけた。
「苦しみは長く続かないわ。もうすぐ息が止まる。血も凍りついて……もう二度と目覚めることはない。フフフ……ハハハ!アーハハハハハ!!!」
「ああ……ヴィル。なんて恐ろしく、哀しい姿なんだ……それでもなお禍々しいほどに美しい、キミの姿から目を逸らしたくない……なのに、目が霞んで…」
『…………』
ヴィルの変わり果てた姿にルークは目が潤むのを必死に堪えながらこぼした。
その横で[#da=1#]はブロットの化身、黒いインク、ブロットの瘴気を目の前にして何かが頭の中に湧き出た。
その映像はどこか懐かしさを感じるものだった。
「ハハハ!!すごい!!疲れるどころかもっと魔法を打ちたくなる!!」
「ほら!!見て!!すごいでしょう!?」
「………うるさいな!!お前らなんか蹴散らしてやるよ!!」
『(………こんな時になんなんだよ…!)』
「くそっ、身体の、力が入らないっ………!」
「頭がくらくら……するんだゾ………」
「みんな…!どうしよう…このままじゃ…」
ヒュゥッ!!
全員が毒の影響を受け始め、動けずにいる間にも毒は徐々に近づく。
もうだめだとユウが目をギュッと瞑ると、突如平べったい布のようなものがとてつもない速さでヴィルのあたりを飛び回りだした。
その飛んでいる物体にカリムは目を大きく見開く。
「なにっ!?くっ!?おのれ……邪魔をするな……!」
「あ、あれは……魔法の絨毯!?どうしてここに!?」
「——まったく、こんなことだろうと思ったよ。みんな、乗れ!」
「ジャミル!!」
飛行物体の正体はスカラビア寮の宝物庫にいた魔法の絨毯だった。
どうやらジャミルがここまで連れてきたらしい。
どうにか全員が絨毯に乗り込むことに成功し、すぐさま毒とブロットの瘴気で蔓延している現場を離脱した。
「逃がすものですか……!」
それをヴィルは許すはずもなく、後を追う。
これも魔法なのか、ただのデザインではなく実際に飛び立ってみせた。