5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『(…あ、ユウとグリム。ということはその先に…)』
コロシアム廊下に来た[#da=1#]は、柱に隠れながら覗いているユウとグリムの後ろ姿を捉えた。
目的は一緒だろうと察し耳を澄ますと、聞き覚えのある声が届いた。
「……リハーサルのパフォーマンス、素晴らしかった。アナタの愛らしさは、いつもまわりの人間を一瞬で虜にしてしまう…昔からそうだった」
「ヴィーくんたちのパフォーマンスも、すごかったよ!あんな格好いい曲、僕にはきっと歌いこなせない。踊りもビシッと決まってて、見とれちゃった」
「そう……ありがとう。ふふ、お互いないものねだりね」
ロイヤルソードアカデミーの控え室前にて、ヴィルとネージュが互いを評価していた。
全く別系統の2人のため、必然的に曲の雰囲気も分かれる。
ネージュもネージュでヴィルの大人っぽいクールさに憧れていたのだ。
「ねえ、ネージュ。喉が乾かない?美味しい林檎ジュースを差し入れにきたの。アタシの最近のお気に入りなんだけど…」
『……?』
「あっ、それ!こないだマジカメにアップしてたやつだよね。飲んでみたかったんだ。嬉しい!ありがとう」
『(あんなに敵対していた相手にお気に入りを進んで共有するか…?)』
「さあ、どうぞ。召し上がれ」
『(…!いや、あれは林檎ジュースじゃない!)』
「いただきます」
「あっ……それは……!」
「ネージュくん!!!!」
ヴィルがネージュに林檎ジュースを手渡した。
ネージュ本人は知らないだろうが、ヴィルは打倒ネージュを掲げて今日まで必死に練習してきた。それに彼のことを良く思っていないのに、チームではなくネージュ1人に差し入れをするなんて到底考えられない。
今後の展開を察した[#da=1#]が駆け出そうとし、ユウは止めに言いかけたところで別の人物が大きな声で呼び止めた。ルークだった。
「歓談中にすまない。本番の演出について聞きたいことがあると、スタッフがキミを探していたよ。白雪の君……いや、ネージュくん」
「ロア・ドゥって、その呼び方…もしかして、あなたは……」
「ああ!!走ってキミを探していたら喉が乾いてしまったな。キミが持っている林檎ジュース、冷えていてとても美味しそうだ。よかったら私に譲ってくれないかい?」
「は、はい。もちろん!」
「…!」
「ありがとう。ネージュくん、急いでステージへ向かうんだ。そして、此処に戻ってはいけない」
「えっ?それって、どういう…」
「さあ走って!さあ早く!」
ルークはネージュから林檎ジュースを受け取るとすぐに向かうよう指示した。
普段の彼からは感じられないほどの緊迫感に、隠れていた[#da=1#]たちも含めその場の全員がひりつき、ネージュは驚きながらも言われた通り走り出した。
ヴィルが突然現れたルークに尋ねた声は微かに震えている。
「ルーク、どうして…」
「んん~……芳しく瑞々しい林檎の香り。思わずかぶりつきたくなる、真っ赤な林檎が目に浮かぶようだ。エペルくんの故郷の名産品は、実に素晴らしい。一滴残さずいただくよ。毒の君」
「!!!あっ……」
林檎ジュースの蓋を開け香りを楽しんだルークは、”ソレ”を口につけようとした。
ヴィルがギョッとし止めようとするとさらに別の人物が走り込んできた。
「ダメだ、ルーク!!!!!」
芳醇な香りで誘惑していた林檎ジュースは、床に落とされ瓶の割れる音が廊下に響いた。