5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「おお、さっきまで準備してたステージがもう完成してるんだゾ」
『メディア関係者がいっぱいだ』
「カメラがたくさん…緊張してきたね」
『僕はこういうのわくわくするな』
リドル、トレイと別れてからコロシアムに到着するとすでに何台ものカメラが並び、様々な関係者たちが段取りや機材の確認などでざわついていた。
ヴィルたちを探しつつその様子を眺め歩いていると、1人のスタッフがユウたちに「そこの君たち!」と引き留めた。
「ここはもうすぐ〖VDC〗のリハーサルが始まるんだ。関係者以外が立ち入り禁止だよ。さあ帰った帰った」
「そこの生徒とジャガイモとケモノはうちの関係者よ。関係者パスを下げているでしょう」
『ヴィルさん…!』
「あ、あなたはヴィル・シェーンハイト…!これは失礼しました」
スタッフは関係者パスをしていることに気付いていなかったようだが、おかげでヴィルたちとの合流に成功した。
助太刀したヴィルに、[#da=1#]は興奮ぎみに感謝を伝える。
『ヴィルさん、ありがとうございます。今の颯爽と現れるの、とてもスマートで美しすぎました…!間違いなく後光が差してました…』
「はいはいどうも。それより最後に登場とはいいご身分じゃない、アンタたち」
「文化祭の空気は味わえたかい?」
「会場の外、当日券にスゲー人が並んでるんだゾ!」
「本当か?盛り上がりそうで嬉しいな」
「カメラの台数や報道関係者もかなりの数だ。やはりヴィル先輩やネージュが出場するからだろうな」
[#da=1#]のヴィルへの接し方は仕事としてやり取りする際は切り分けができていたが、それ以外となると目の前に好きな芸能人がいるものだからまともでいることのほうが少ない。
そんな様子はもはやヴィルだけでなくNRCトライブメンバーも見慣れてしまったので、大抵スルーするようにもなった。
「そうだ、エース、デュース、エペル。リドルやジャックが本番で失敗したらシメてやるって言ってたんだゾ!」
「うっ、プレッシャーをかけないでくれ」
「ぼ、僕も緊張してきた…」
「これからリハで、本番まではあと3時間もあるじゃん。今から緊張してどーすんだよ」
グリムが伝言を伝えるとデュースとエペルの表情が強張った。エースには効いていないようだ。
エースの言葉にヴィルが「そうよ」と続いた。
「本番でミスをしないためにリハーサルがあるの。〖VDC〗は毎年、開催地になった学校のチームがトップバッターで出演することが決まってる。アタシたち以外が全員ジャガイモに見えるくらいのパフォーマンスを見せてやろうじゃない」
「「「おう!」」」
「………ヴィーくん?」
「え?」
「やっぱり、ヴィーくんだ!」
「ネージュ…!」
「久しぶりだねっ。元気にしていた?今年の〖ボーカル&ダンスチャンピオンシップ〗ヴィーくんが出るってニュースで知って、会えるのを楽しみにしてたんだ!」
メンバーのモチベーションがまた一段階上がったところでヴィルに声がかかった。
声をかけた相手はロイヤルソードアカデミーのネージュ・リュバンシェだった。彼はヴィルとの再会が心底嬉しいようで、ニコニコと人懐っこく話している。
「あれが……ネージュ・リュバンシェ!」
「さすがお茶の間の人気者。身振り手振りもしゃべり方も、あざとっ」
『絶対どこか腹黒い部分があるはず…というか何あの呼び方?周りはこんな呼び方できないでしょってマウントじゃない?やっぱり性格悪いよアイツ』
「ストップストップ。めんどくさいファンになってるから!」
「うーん。しかし、顔立ちは整っているが、シェーンハイト先輩に初めて会ったときほど強烈なオーラは感じないというか…」
「確かに、あんまりギラギラ派手な感じはしねーな」
「彼の笑顔には、ヴィルとはまた違った野に咲く小さな花のような素朴な美を感じるね」
「フン。ああいう人畜無害そうな顔をしているヤツほど裏ではとんでもない性悪だったりするんだ。芸能人なんてそんなものだろ」
「それオメーが言うかぁ~?」
ヴィルと話すネージュのやり取りを遠巻きに眺めているメンバーたちは口々に彼の印象を述べた。
小声とはいえ周りの声に全く気にしていないネージュは、夢中になってヴィルとの会話に花を咲かせている。
「今日はまたヴィーくんの歌が聞けそうで嬉しいよ。僕、ヴィーくんの歌声、格好良くて大好きだから。僕たちが初共演したのも、学園もののミュージカルドラマだったよね」
「そうね。アンタが主役で、アタシはアンタをいじめる生徒の役だった。………ハマリ役だったわ。アンタも、アタシも」
「ナイトレイブンカレッジの代表選手のみなさん!リハーサルのお時間です。スタンバイお願いします!」
「今いくわ。それじゃあね、ネージュ」
「うん!ヴィーくんたちのパフォーマンス、楽しみにしてる」
スタッフに呼ばれたことでヴィルとネージュは会話を切り上げた。
移動する際にヴィルのこぼした言葉が[#da=1#]の耳に入った。
「——能天気に笑っていられるのも、今のうちよ。完璧なパフォーマンスで、完膚なきまでに叩き潰してあげる」
『………(ボコボコにしてやってください!)』
たまたま聞いた[#da=1#]は心の中で拳を掲げた