5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「おや。……文化祭運営委員長自ら視察においでくださるとは光栄です。ようこそ、”山を愛する会”の展示ブースへ」
「あ~!金魚ちゃんじゃ~ん。いらっしゃい。ハイ、お客様第1号の来場記念。ジェイドがとってきた謎のキノコをプレゼントー」
次のブースにリドルが最初に足を踏み入れると、教室にいたジェイドとフロイドがリドルを出迎えた。
フロイドの片手にはキノコが握られている。
「おい、いきなり変なものを顔面に押し付けてくるな!なんなんだキミは!あと、その変なあだ名をいい加減やめろ!」
「おふたりとも。それは謎のキノコでも変なものでもありません。ちゃんとブナシメジという名前がある、食べられるキノコです」
「訂正をする前に、兄弟の行動を止めないか!ふたりまとめて首をはねてしまうよ!」
騒ぎが収まらない様子からトレイが教室を覗くと、リドルとフロイドが記念品のブナシメジを押し付け合っていた。
ブース内には様々なテラリウムや写真が展示されている。
「ふふ。トレイさんもお越しくださったのですね。はい。ここでは僕が山で収集してきたものを展示しています」
「あ、ブルーテトラちゃん!小エビちゃんとアザラシちゃんにウミガメくんも、いらっしゃーい」
『お久しぶりです先輩たち』
「ん?ウミガメって、俺のことか?」
「ぐぬぬ……アザラシってあだ名の由来を知ってから、呼ばれるたびに馬鹿にされてる気がするんだゾ」
「愛着をこめてるらしいから……」
『おなかが丸々してるからだっけ?』
「そうなんだゾ。どこが愛着だ!」
トレイの後に[#da=1#]、ユウ、グリムが教室に入るとフロイドが歓迎した。
暇をしていたのかそれとも気分がいいのか、今は誰が来ても嬉しいようだ。
しかしリドルとグリムはあだ名を呼ばれることに良い気がしていない様子だった。
そんな不機嫌なリドルが、バスケットボール部のフロイドが何故ここにいるのかを問い詰める。
「気分アガんなくて、ダラダラしてたら追い出されたぁ。あはっ」
「文化祭は生徒が力を合わせて作り上げるものだ。気分ひとつで与えられた役目を放棄するだなんて、ルール違反以前の問題だぞ!」
「いーじゃん、部長が帰っていいって言ったんだからさぁ。それにオレぇ、午後からはモストロ・ラウンジの仕事で重たいタンク背負ってドリンクの移動販売に行かなきゃいけねーし」
フロイドも運動部のため、先ほどアズールの話していた移動販売を行う予定のようだ。
彼としてはアズールだけでなく、片割れのジェイドまでもが文化部として働かずにいることが不満らしい。
そして[#da=1#]たちが教室に来たのは暇だから遊びに来た程度だと思っていたようで、リドルは仕事中だと金魚のように赤くして怒った。
「ふふ。フロイド、そう拗ねないで。ドリンクの移動販売で一番営業成績が良かったスタッフには、アズールから特別ボーナスもあるそうですから」
「そういうの、ぜんっぜん興味ねぇ~って知ってるくせに。だいたいさぁ。”山を愛する会”って、いつも山登ってんでしょ?ほぼ運動部じゃね?こんな時だけ文化部ヅラすんなよ」
『(フロイド先輩迫力すっご…)』
穏やかなになだめるジェイドに、フロイドは睨みをきかせながら不満を伝えた。
静かに伝えるも表情には不満がだだ洩れている。
固まる下級生たちにトレイは空気を変えようとしたのか、フロイドの言葉からジェイドの活動内容について話題を切り替えた。
「へぇ、この同好会は山岳部みたいな活動をしているのか」
「いえ、弊同好会の活動は、山登りを主体としたものではありません。高い山に登って登頂証明書を集めたりするわけではありませんし…」
ジェイドの立ち上げた”山を愛する会”は、学園のまわりの山を散歩しながら風景を眺めつつ、山菜やきのこ、花や野生動物など、主に山に息づくものを鑑賞したり食しているようだ。
トレイは写真部や料理部に近いのかと尋ねた。
「どうでしょう。僕はありのままの山を、五感で楽しんでいるだけなので。興味の延長で観察することはあっても、サイエンス部のように本格的な実験などはいたしませんし」
「つまり、山に行って拾い食いしてるだけってことか?」
『えっちょ、グリム…!?』
「グリムが食べられちゃうかも…!」
グリムお得意の直球な感想に[#da=1#]とユウが凍り付いた。
ジェイドの活動内容を聞いた直後のため、ユウは今後を変に考えてしまいグリムを抱き込んだ。
しかしジェイドは特に怒る様子もなく肯定した。さすがに洗って火を通すぐらいはするらしい。
「壁にたくさん植物や石の写真が飾ってあるけれど、これもキミが撮影したのかい?」
「はい。どれも陸の人間には面白みがないありふれた風景かもしれませんが…海で生まれ育った僕には、珍しいものなので」
「それにしたって撮るモンのチョイスが地味すぎ。珍しくもない雑草とか、石ばっかじゃん。なにが楽しいのか、全然わかんねぇ。大昔の人魚だって、もうちょい珍しいもの拾い集めてたよ」
「ふふふ。だから所属が僕1人だけなのかもしれませんね」
ジリリリリリ
「総合文化祭を準備中の生徒のみなさん。あと5分で一般来場者の入場がはじまります。各自ブースへ戻り、開場準備をお願いします」
「ああ、もう開場時間になってしまうじゃないか!東校舎の見回りがまだだというのに!」
開場に関するアナウンスの声は学園長だった。
まだ東校舎の見回りが残っているため、いち早く移動することとなった。
「じゃあ、俺たちはこれでお暇するよ。ブースが盛況になるよう祈ってる」
「はい。みなさま、お越しいただきありがとうございました」
「ばいばぁ~い」
「[#da=1#]さん」
『…はい』
「ステージ、楽しみにしています」
『期待していてください』
教室を出る前にジェイドが[#da=1#]に声をかけた。
本番はアズール、ジェイド、フロイドも見に行くらしい。
あのブースは双子の存在込みで独特な空間だった。