5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「あぁあ、研究発表まであと2時間……心を落ち着かせるためにありとあらゆる方法を試したけど全ッ然落ち着かない。そもそもなぜ生身で登壇せねばならんのだ?ハードル高すぎん?………」
『…ん?あの頭と声…どこかで…』
「なんか、部屋の隅っこでブツブツ言ってるヤツがいるんだゾ」
ガーゴイル研究会の様子を見に行ったが、主宰兼唯一の所属者であるマレウスが不在のため想定より早く次のブースへ来ることができた。この調子なら展示ブースを回りきれるだろう。
そして次に来たボードゲーム部には、独特な風貌と話し方をする部員がボソボソと独り言を呟いていた。
[#da=1#]は初対面のはずだが、どこか既視感のある風貌と声に疑問を感じていた。
「………イデア先輩。そんなところでなにをしているんです?」
「どぅわっ!!!リドル教官!!!なぜここに!?」
「は?教官?」
「あっ、なな、なんでもない。こっちの話」
『(名前もどこかで聞いたような…)』
イデア。と名前を呼ばれた長身の生徒は、自身よりずっと小さいリドルを見るなりビクッと肩を跳ねらせた。
リドルは彼のことを知っているからか時間を気にしてなのか、妙な呼ばれ方をしても特に気に留めることなく会話を続けた。
「ステージでの研究発表、準備はできていますか?」
「ご、ご心配いただかなくても問題ないですし。まあ見といてくだされ。ヒヒッ」
「……?はい。イデア先輩が専攻されている魔導工学は現代魔法の中でも興味深い論文が多い。先輩の発表、楽しみにしています」
「と、と、とにかく。僕は今最終調整に忙しいから。ボドゲで遊びたいならオルトに言って………って、[#da=1#]氏…?」
『…あ!』
「リドル・ローズハートさん。トレイ・クローバーさん。ユウさん、グリムさん。[#da=1#]・ファミーユさん。こんにちは!ボードゲーム部の展示ブースへようこそ!」
『思い出した…!喋るタブレット!』
「もしかして〖VDC〗の機材やらをくれたって人?」
独特な名前の呼び方とオルトの登場で、[#da=1#]の中でいくつもの既視感の点が繋がり線となった。
タブレットから発せられる声しか知らなかったため生身の姿と声がうまくマッチせずにいたのだが、実際にオルトが並ぶと燃える髪の毛や目の色などどことなく似ている。
『こんなに背が高いとは思いませんでしたけど、よく見ればイメージ通りですね。その人に慣れてなくて目が泳いでる感じとか。ははは』
「そうだよ僕は誰もがイメージするザ・陰キャですよ……わ、わかってるならジロジロ見ないでくんない?言い方も距離感も遠慮ってものを知らないわけ?これだから陽キャは…」
『失礼しました。生身の先輩はあまり見ないと聞いていたのでつい…機材ありがとうございました。おかげで良い曲ができました』
「別に…機材はただのお古だし………話はそれだけ?最終調整で時間が惜しいんだけど……」
イデアが忙しいのは本当だったようで、オルトに後のことを頼むと足早にその場から離れて行ってしまった。
オルトは「頑張ってね兄さん!」明るく見送ると[#da=1#]たちに向き直りボードゲーム部の紹介を始めた。
「ここでは古今東西、いろいろなボードゲームを部員たちと一緒に遊ぶことができるよ。それから、兄さんが開発した魔導式”VRマジカルすごろく”も!」
「”VRマジカルすごろく”って?」
「なんか面白そうなんだゾ!」
通常の市販されているボードゲームだけでなく、イデアが自作したものまであるらしい。
魔導式VRゴーグルをつけることで、サイコロが止まったマスによって仮想世界のプレイヤーに様々な出来事がおきるという、人生ゲームのバーチャルリアリティ版が遊べるという。もちろんバーチャルならサイコロの出目もプログラム制御され、テクニックで狙った目を出すようなズルも出来ない。
「はたしてそれはボードゲーム……なのか?」
「コンピューターゲームですね」
『でもすごく面白そう。本当に体験してる気分になれるんでしょ』
「あ、興味を持ってくれた?じゃあ、ぜひ体験してみてよ」
「ありがとう。でも、今俺たちは見回りの最中なんだ。また今度ゆっくり体験させてくれるか?」
「そうだったんだ。残念。じゃあ、また今度!」
「これはこれは、みなさん。我がボードゲーム部の展示へようこそ」
オルトのプレゼンは魅力的だったが、今はそれぞれ全員の都合が悪いため後で改めて体験させてもらうということになった。
そんなことを話していると別のボードゲーム部員が話しかけてきた。
「アズール。そういえばキミもボードゲーム部だったね。こういう行事の日は、モストロ・ラウンジの運営に精を出しているのかと思っていたけど」
「いやですね。僕も学生ですよ、リドルさん。文化部員としてキチンと文化祭に参加しますとも。それに今回は暇人ども……いえ、いくつかの運動部と連携しまして」
声をかけたのは[#da=1#]にとって寮長にあたるアズールだった。
今回は運動部が設営など裏方を行うということで、店舗だけでなく各特設ステージの客席でもドリンクを移動販売することにしたらしい。
学生として行事を楽しみつつ、金儲けも抜け目なく狙うつもりのようだ。
「へぇ、いろいろ考えてるんだなぁ。勉強になるよ」
「寮長の僕や副寮長のジェイドをはじめ、オクタヴィネルは文化部所属の寮生が多い。来客でラウンジが大混雑してしまうと対応しきれない可能性が高かったので」
「そういえば、ジェイドは自分で同好会を立ち上げて活動をしているんだったね。”山を愛する会”。今回、ブースの申請があったよ」
「ところで、それは一体なにをする同好会なんだ?」
「さぁ……僕も詳しくは知りませんが」
『寮長でも知らないんですか…?』
なんと、ジェイドが1人で立ち上げ1人で気ままに活動している山を愛する会も展示するようだ。
しかも活動内容はアズールでさえも知らないという。ガーゴイル研究会と同じくらい謎に包まれた部であるということだけはわかった。
「あんなおっかねぇヤツが作った部活なんて、絶対こえー活動だろ。山でヤベーもん掘り起こしたり、あやしいもん埋めたりしてるに違いねぇんだゾ」
「あのジェイドならありえるな。様子を見にいってみようか。”展示”と申請を受けているけれど、なにか良からぬことを企んでいるかもしれない」
「ええ。ぜひ見に行ってあげてください。きっと喜ぶでしょう。どうせ、1人で暇を持てあましているでしょうから」
話の流れで次のブースはジェイドのところへ行くこととなった。
トラブルなく設営ができているか、ではなく安全なブースなのか、という妙な目的でリドルとグリムは警戒心マックスで移動を始めた。
リドルのような同学年にも信用されていないあたり、普段の行いの程度が知れた。