5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「[#da=4#]……僕も推し見つかったかも……お前が嬉しそうに苦しんでる気持ちわかったわ……」
「ほんとに?誰?」
「はぁーーーこの人……バチバチにぶつけるライムがかっこよくて声もよくて……ファッションも好き…。ちょ、いったん聞いてみて。1フレーズでいいから!」
「ふふ、さっそく布教するそのアクティブな姿勢嫌いじゃないよ」
『………はは……』
総合文化祭当日———
[#da=1#]は目覚ましが鳴るよりずっと早くに目が覚めた。
いつも見るようなものとは違って、とある日の何気ない記憶の断片。
思わず笑みをこぼした白猫は、青い瞳を手で覆いながら呟いた。
『…………やっぱり君か。[#da=2#]』
時間的にまだ寝ていられるが、妙に目が冴えてしてしまったので散歩に出ることにした。
2月の早朝はまだまだ冷える。オンボロ寮からはこれでもかと着込み雪だるまのようになった白猫が出てきた。
空は朝焼けでまだ少し薄暗い。夕暮れとは違うその暗さは普段なかなか見ることがなく幻想的である。
『…たまには朝の散歩もいいかも』
「だろう?私もこの光景は何度見てもため息が出てしまうよ」
『自然の美しさですね………え?』
「ボンジュール。白い猫」
『……うわ!むぐぐ』
ぽつりと呟いた独り言に返事が返って来たことで[#da=1#]が振り向くと、そこにはルークが横に立っていた。
この静寂の中、全く足音を感じさせずそばに立たれていたことに心底驚いた[#da=1#]が叫びかける。それをルークが瞬時に相手の口元を抑え、片手で静かにするようジェスチャーをした。
「しー…みんなを起こしてしまうよ。それにまだ夢の中の自然の生き物たちもいるかもしれない」
『……失礼しました。ルーク先輩が驚かせなければ済んだ話ですけど』
「そういえば前にも驚かせてしまったね。ふふ、すまない」
『デュースたちがオーデションの申し込みで教室に行ったときですね…』
こんな時間に出歩くルークを見て、[#da=1#]はルークも起きてから目が冴えてしまったのかを尋ねた。
それに対し彼はニコニコと否定した。このぐらいの時間帯にはいつも活動しているらしい。
「狩人として、獲物の隙は逃せないからね」
『それで生活リズムまで把握していたんですか…全く、どこまで知ってるんです…』
「私も遠慮するときはあるよ。対象の様子からこれ以上はいけない、と思ったら線引きをするんだ。それは君からも感じている」
ルークの言葉に[#da=1#]は顔を上げた。狩人の勘なのだと言う。
それは数々の生き物や人間を観察してきて養われた彼の観察眼だからこそ、相手の地雷を感知することができるのだろう。
同じ副寮長かつ観察眼の持ち主でも、余計に暴こうとするどこかの人魚とは大違いだ。
『その辺のモラルはあるんですね』
「まぁ本人から許可をいただければ喜んで観察させてもらうけれど」
『引き続きご遠慮いただくようお願いします』
「ウィ。もちろんそのつもりさ、安心しておくれ」
ルークの今までの様子と、まっすぐな瞳から嘘は感じられなかった。
彼はカリムとどこか似た空気感がある。性格だったりは違うのだが、[#da=1#]にはなぜかそう感じたのだ。
「…ふふ、[#da=1#]くん。寒さに耐えられるよう重装備で挑んだようだけれど、鼻先が恥ずかしそうに主張しているよ」
『そうですか?けっこう外に出てたみたいですね』
「空も白み始めている。みんなが起きてくるまでは暖を取った方がいいだろう。私も万全のコンディションで本番に挑むためにそろそろ戻らなくては。本番直前で風邪を引いてしまってはいけない」
ルークが[#da=1#]の赤くなった鼻を見て上品に笑った。
互いの体調のために、これ以上外に居続けるのは良くないということで共にオンボロ寮へ戻ることとなった。
「強く、美しい曲を作ってくれてありがとう。それに歌のアドバイスも。ヴィルのプロの視点と[#da=1#]くんたちの観客の視点でダンスもより素晴らしいものとなった」
『お礼を言うのは僕もですよ。みんなと同じように頑張っている中、メンバーだけでなくユウたちにも気にかけてフォローしていたのを見てました』
「3年生は私とヴィルだけだから、つい張り切ってしまったよ。余計なおせっかいになっていないといいのだけれど」
『少なくとも僕は助かってましたよ。本番、頑張ってください』
歩いている際にお互い感謝を述べる空気になった。
リハーサルまではまだまだ時間があるが、個別に話す機会を考えると今しかないという考えからだった。
オンボロ寮に着きそれぞれの部屋へ戻って少しすると、他のメンバーたちが徐々に起床し声や物音がするようになってきた。