5章
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「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「……………アンタたち、どのツラ下げて帰ってきたのかしら?レッスンをサボったばかりか、無断外出。さらに喧嘩までしてきたなんて」
あれから数時間。すっかり暗くなり練習と片付けを終えるとようやくデュースとエペルが戻ってきた。
なんとデュースはエペルと共に海辺まで行っていたようだ。
カリムとルークに聞いていた”アレ”というのはマジカルホイールだったようで、それを使って移動できたらしい。気持ちの整理の時間と考えればサボっても目を瞑れるが、喧嘩までしてきたのは誰も予想していなかった。
「今回は正当防衛が認められたからいいものの……乱闘のせいで〖VDC〗出場停止にでもなったらどうするつもりだったの?無責任にもほどがあるわ!!」
「シェーンハイト先輩。ほんと……迷惑かけてすんませんっ!エペルを無断で校外に連れ出したのは僕です。罰なら僕が受けます!」
「いや、最初にレッスンを飛び出したのは僕です。あと喧嘩を買ったのも僕だ。悪いのは僕です!!それに、今日、やっとわかったんです。ヴィルサンがずっと言ってた、強さのこと」
「!」
ヴィルが続けて凄い剣幕でデュースとエペルを叱る。
2人は必至に弁明し自分が悪いことを主張したが、エペルの言葉でヴィルの雰囲気が変わった。
「心のどこかでずっと”綺麗”とか”可愛い”にこだわってる奴らのことをバカにしてた。でも、ヴィルサンが、地元の林檎ジュースを紹介してくれて…村のみんなが大喜びで……ヴィルサンの言う”強さ”の意味が、やっとわかった気がするんです。僕も、ヴィルサンみたいなパワーが欲しいと思った」
「フッ……アタシはね、エペル。人を跪かせるのが好きよ。暴力より圧倒的に、演説より雄弁に人を跪かせることが出来る力……それが”美しさ”。だからアタシは誰にも負けないように美しさを研ぐ。世界で一番になるためにね」
どうやらエペルも、ヴィルのマジカメのことを知ったようだ。
あまりの注文の多さに実家から連絡があったのだそう。
ヴィルの美しさに対する姿勢を聞いたエディシアは『跪きたい…』とこぼし、ユウがそれを小突いた。
構わずヴィルは続ける。
「アンタは幸運にも愛らしさという刃を持って生まれたわ。それを研ぎ澄ますか、錆びつかせるかはアンタ次第なの。肝に銘じておくことね」
「はい。僕……もっともっと、強くなります。ネージュも、あなたも倒せるくらい、強く!」
「……へぇ、言うじゃない」
「フフフッ。どうやら雛鳥たちもとても反省しているようだ。許してあげては?毒の君」
「…………はぁ。確かにここでガミガミ怒っても意味がない。二度目はないわ。覚えておきなさい」
「「ハイッ!」」
「元気よく返事してるんじゃないわよ。2人とも体力が有り余ってるようね。罰として寮の外を30周ランニング!」
「「ハイッ!!ランニング、行ってきます!」」
最後にルークの一押しもあり、今回のトラブルはなんだかんだ良い方向に落ち着いたようだ。
ランニングしに走り出した2人は吹っ切れたような様子でとても生き生きとしていた。
「ちょっとトラブルはあったみてーだけど、アイツらが元気に戻ってきてよかったな!なんだかスッキリした顔してたし」
「大問題になってたかもしてないんだぞ。まったく……」
「ほんとだよ。アイツらいないぶんヴィル先輩にキツめにしごかれたこっちは、いい迷惑だっつーの」
『今まで2人が目立ってたから気付かれやすくなっただけでしょ。……ん?』
タタタッ!
「おい、エース!」
「あ?ナニ?昼間のこと謝れとか言うんじゃねーだろーな」
「誰が言うか、そんなこと。お前の言う通り、僕はお前より頭も、要領も悪い。でも……絶対、お前に負ける気ねぇからな。それだけ言っておこうと思って。それじゃ!」
タタタタッ!
「……………ハァ?」
デュースが1人戻って来たと思ったら、エースに一言告げるとまたランニングしに行ってしまった。
どうせ喧嘩の続きだと思って身構えていたエースは呆然とした。
「え?あれなんの宣言?はぁ?オレがあの単純馬鹿に負けるとか、ありえないんですけど。お前らも、そう思わね?」
「オレ様からすれば、オメーもデュースもどんぐりの背比べなんだゾ」
「ハァ~!?なんだと、この毛むくじゃら~~!」
「青い春ですねぇ」
『これは明日からの練習が楽しみだ』
デュースに予想外のことを言われ、グリムに馬鹿にされ、エースの表情はジェットコースターのように忙しくくるくるまわっているのをユウとエディシアはにこやかに眺めた。