5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いつか林檎のような赤 朽ちてく 誰も超えられない」
「ああもう、ダメ、ダメ!いったん音止めて」
『…?』
「どうしたんだい、ヴィル」
「は、はいっ……!」
数日後———
エペルのソロを聞いたヴィルはストップをかけた。
名指しで指示が入るのはエペルが断トツに多く、エースすらも可哀想になってくると呟いた。
グリムにいたっては、ヴィルの”音止めて”という言葉を聞いてしっぽが足の間に入るようになってしまっている。
「アンタ、バレエのレッスンでなにを学んだの?固定観念を捨てなさいとは言ったけど、ヤケクソになれとは言ってない。歌詞の意味を理解しないまま歌わないで。これは誰かに媚びを売るための歌じゃないの。エディシア、そうでしょう?」
『え、あ、はい…』
「でも、これが、僕のできる精一杯の”愛らしさ”で…」
「愛らしさとぶりっこは別物よ。そんなことで、あのネージュを仕留められると思ってるの?さあ、始めからもう一度!」
「~~~~~~っ俺は、っ……俺は可愛くなんかなりたくないっ!」
「は?」
歌詞の意味についていきなり話を振られたエディシアは戸惑いながら返答した。
しかしそれに対して何か言うわけでもなくヴィルとエペルの会話が続き、耐え切れなくなったエペルが大声を出した。
一瞬にして空気が静まり返る。
「俺は、こんなお遊戯するためじゃなく、強くなるためにナイトレイブンカレッジに来たんだ!俺はなりてぇのは、なよっちい男でなぐで、たげでがぐで、たげ強ぐで、たげ逞すい男だ!!」
「呆れた。思い通りにならないからって癇癪を起していいのは、3歳児までじゃなくって?アンタは”愛らしい”と”強い”が別もののように話すけど、その2つはどちらも等しく”パワー”よ。それがわからないようじゃ、いつまでたってもアンタはアタシに勝てない」
「うるさいっ!もういい。もうやめる。俺は、このチームを抜ける!!!」
「「「『えぇっ!?』」」」
話が徐々にヒートアップしていき、ついに脱退宣言まで出てしまった。
今までの練習では、指導を受けたエペルが納得がいかない様子ではあるものの、ひたむきに練習していた。
しかし耐え切れずついに爆発してしまったようだ。彼の本音は訛りが強いがおそらく、ポムフィオーレのようなおしとやかで美容に気を使うのではなく、サバナクローのような逞しくて力強い男になりたいと言っているのだろう。
「……あら、そう。いいでしょう。じゃあ”いつもの”を始めましょうか」
「2人とも喧嘩はやめましょう…!」
「ユウくん。大丈夫だよ。これは喧嘩ではないから」
「どう見ても一触即発の空気ですが…」
『”いつもの”って?』
「まあ、みておいで」
「さあ、マジカルペンをとりなさい、エペル」
「…今日こそは、絶対勝ってやる!」
自身の寮長と寮生が物理的にも激突するというのに、ルークは1人穏やかに眺めていた。
彼らの言動から本当に”いつも”のことのなのかもしれない。
「——って、やっぱ喧嘩じゃないですか!?」