5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『今日はお疲れ様でした』
「ありがとう。これからは歌の練習も交えながら練習していくから、アンタにはもう少し働いてもらうけどよろしくね」
夕食後、ヴィルと[#da=1#]は今日の進捗を参考に明日の練習スケジュールを決めるため、メンバーたちとは別室で軽いミーティングをしていた。
「…よし、明日はこの感じでいきましょう。気づいたことがあれば遠慮なく意見してちょうだい」
『わかりました。よろしくお願いします』
「さて、そろそろ就寝時間だけど…あの子たちはまだ起きているようね。見に行きましょう」
打ち合わせが終了し、談話室に集まっているメンバーたちに声をかけるためにヴィルと[#da=1#]は向かった。
[#da=1#]は獣人のため、部屋の前に着く前にメンバーたちの会話が少し早く耳に入って来た。
「へぇ。こんなに美味いのに、なんかもったいないなあ」
「年々観光客も減ってて、このままじゃ……」
『(もったいない?観光客?)』
「アンタたち。いつまで談話室にたむろっているの?」
「エペルくんの実家から林檎ジュースが届いてね。みんなで頂いていたところさ」
メンバーたちはエペルの元に届いた林檎ジュースで盛り上がっていたようだった。
もったいないということは、この大量のダンボールの中身は全て林檎ジュースで余り物か何かなのだろう。
部屋には林檎の芳醇な香りが漂っていた。
「お、お砂糖は入ってません!保存料も!だからその、長期間保管がきかないので……ヴィルサンもよければ、飲んでください。エディシアクンも」
『わあ、良い匂い。そういうことならいただこうかな』
「気が向いたらいただくわ。それよりそろそろ22時になる。就寝時間よ」
ヴィルの就寝時間という言葉にエースが驚愕した。
エースのような生徒なら、これからが本番と言わんばかりにゲームや映画鑑賞を楽しむ頃合いだろう。
しかし食べ物の没収の時のようにあっという間にヴィルに言い負かされてしまった。
「ああ、そうだ。全員に聞いておこうと思ってたけど……アンタたち、ヘアケアとスキンケアはどこのメーカーを使ってるの?」
「え?ケアって……なんですか?」
『え』
「洗いざらしにしておくと髪が絡まるのでヘアオイルはつけてますが…肌は特になにも」
『は?』
「実家にいた頃はいろいろつけられてたけど、寮生活になってからはなにもしてねーや」
『嘘でしょ…!?』
「なんて顔でオレらのこと見てんだよ」
「油分を洗い流した肌をそのまま放置しているなんて、正気!?[#da=1#]の反応が正しいわよ!」
ヘアケアとスキンケアについて返って来たそれぞれの答えに、[#da=1#]は口に手を当てまじまじと答えた彼らを見た。
それを見たエースは納得いかないという表情でエディシアにつっかかった。
しかし質問の答えに引いたのはヴィルも同じだったようだ。
「今からアタシのお手製スキンケアグッズを配るわ。それで朝晩の洗顔のあとは必ずケアして」
「おお、ヴィルは化粧品を自分で作ってんのか?すげーな!」
「さすがはポムフィオーレ寮長。薬草学の知識が豊富なだけありますね」
「私とエペルくんはこのヴィルお手製スキンケアを使い始めてから肌荒れ知らずさ」
ヴィルはルーク、エペル以外のメンバーに様々な種類の瓶を手渡した。
ルークの言う通り、ポムフィオーレの3人の肌は絹のように透き通っている。
エペルはあまり良く思っていないようで、他にも貰ったケア用品を押し付けられたと言いかけた。レッスンの時もそうだったが、自身の寮長だろうとあまり物怖じしないタイプのようだ。
「ところで…いくつも瓶があるけど、どうやって使うんだ?」
「そこから?仕方ないわね…まずは洗顔料から教えましょう。カリムをモデルに実践するから、アンタたちよく見て覚えなさい」
「「「は、はい」」」
「カリム。アンタ普段洗顔する時、なにを使ってるの?」
「水!」
「論外!」
それぞれの使い方と順番を教えるための実演会が急遽始まった。
[#da=1#]はモデルとしてヴィルに直接手入れされるカリムを心底羨ましそうに眺めた。しかし彼のオタクがモデルになればいちいち騒いで実演会にならないだろう。
ヴィルは一通り教えたところで他のクリームケースやヘアオイルなどの使い方についても軽く触れた。
デュースは数の多さとスピードに理解が追い付かず頭にたくさんのハテナを浮かべている。ケアすら知らなかったのだから無理もない。
「おっ。ヴィルにいろいろしてもらったら、肌がいつもよりツルツルになった。ほら、ユウ。オレのほっぺ触ってみろよ」
「おぉー…!ぷにぷに…そしてもちもち…!」
「そこ!素手でべたべた顔に触らない!手は雑菌の温床なのよ」
「ヴィル先輩、ウチの寮長とは別の意味でめっちゃめんどくせぇ…」
「こら。聞こえるぞ!」
『聞こえたよ』
「げっ!あ、あのー、ヴィル先輩って魔法が得意だから寮長になったんすよね?肌とか髪とか、魔法でパパッと綺麗にする方法ってないんすか?」
カリムの頬を触るユウに注意するヴィルを見てエースは抱えていた感情をついに小声でこぼしてしまった。
もちろんそれを[#da=1#]が聞き逃すはずがなく、肩をトントンと叩かれたエースは急いで話題を逸らした。
「アンタたちも魔法士なら理解してると思うけど、ほとんどの魔法や魔法薬に永続的な効果はないわ。魔法で取り繕った美は、一瞬夢を見せてくれるでしょうけど…アタシは、午前0時の鐘で解ける魔法に興味はないの。偽りのない純粋な美しさを手に入れたい。魔法の鏡が認めた、”美しき女王”のようにね」
「もし伝説の鏡が現存していたら、きっとヴィルの美しさを認めていたに違いないさ」
「………そうね。少し話すぎたわ。全員部屋に戻りなさい。寝る前にスキンケアをするのを忘れないように!」
「「「は、はい……」」」
『午前0時の鐘で解ける魔法に興味はない…偽りのない純粋な美しさ…言葉のセンスも美しい…』
これからいつもより早い就寝と大量のスキンケアを行うこととなったメンバーたちはテンションが下がる中、ヴィルが魔法や魔法薬に頼らない理由を聞いた[#da=1#]は震えた。
液晶を通さず、目の前で本人の口から深い思いが聞けたことでエースの失言は大目にみることとなった。