5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「ポージングからの、ロック・ザ・ボート、ダウンをとって、ワン、ツー…ストップ。ストップ!ぜんぜん違う。新ジャガ2号!」
ダンスレッスンが始まって数時間、時刻は夕方となっていた。
少しずつ動きを確認した後、振り付けを繋げて行うと指示が飛んだのでユウが慌てて停止した。
「えっ。新ジャガ2号って、僕ですか?」
「アンタ以外誰がいるのよ」
「オレが1号ですもんねー…」
『(そうだねー…)』
呼ばれたのはデュースのようだ。
小さく呟いたエースに気づいた[#da=1#]は、声に出すことは無かったものの同調した。
その間デュースはヴィルにコテンパンに注意されていた。動きが硬すぎることを指摘されている。
「硬さに関してはエペル、アンタもよ。ジャズヒップホップに必要なのは柔軟さ」
「でも、こんなくねくねした女の子みたいな振り付け……僕、…やりたく、ない、です」
「はぁ?「くねくねした女の子みたい」……?ずいぶんはっきりした寝言ね。寝言だとしても聞きずてならないけど」
ギューッ!
「い、いだだっ!耳を引っ張らないでくださぃっ!」
「まだ夕方なのに可愛い林檎ちゃんはおネムのようだから、よく聞こえるように手伝ってあげてるだけよ」
ヴィルの指導はいわゆるスパルタだ。
選抜メンバーとはいえレベル差はそれぞれに大きい。そんな中でたった4週間で世界を獲らなければならないのだから熱が入るのも仕方ないだろう。
エペルの言う”くねくね”した動きは、性別問わず取り入れられるダンスの手法ではある。
それを女性的だとマイナスに捉えるエペルに、ヴィルは100年前からタイムマシーンで現代におでましになったのかと問い詰めた。
見かねたカリムはエペルに助け舟を出そうと間に入った。
「まあまあ、ヴィル。そんなに怒らなくてもいいじゃんか。エペル。最初はちょっと恥ずかしくても、思い切って大きく踊ってみれば楽しくなってくるぜ!」
「カリムの言う通り。モジモジしたへっぴり腰のダンスなんて、全然美しくない」
「えぇ?オレ、別にそういうつもりで言ったわけじゃ…もががっ!」
「カリム、今は黙っておけ」
カリムのフォローは虚しくも棘のある言い方へとヴィル仕様に変換されてしまった。
弁解しようと口を開きかけたカリムを、これ以上何も言わないようにとジャミルが抑える。
「——決めた。明日からエペルはアタシたちとは別メニューにしましょ」
「えっ?」
「アタシがいいと言うまで1人でバレエレッスンよ」
「え、バレエって、あの6人でやる球技の……?」
「文脈を読みなさい。顔が可愛いからって頭の中まで可愛くする必要はないわよ。バレリーナのバレエに決まってるでしょう」
「たしかにバレリーナの筋肉ってすごいらしいね」
『うん。柔軟さとインナーマッスルを鍛えるって意味では最適解かも』
ヴィルの突然の提案に頭が追い付かず、エペルは咄嗟にスポーツの方かと尋ねてしまった。
バレエは片足一本で身体のバランスをとることもある。それが成せるのはバランスを維持するための体幹がしっかりしていること、そして柔らかさである。さらにバレエは女性が純白の衣装を身に纏って踊るイメージが強いが、男性バレリーナだっている。
ヴィルの提案を聞いたユウと[#da=1#]は納得した。
「ひぇ……飛行術のバルガスより鬼コーチなんだゾ」
「絶対目ぇつけられたくないタイプ…大人しくしとこ」
「あの、シェーンハイト先輩」
「なに、新ジャガ2号」
「バレエレッスン、僕も一緒にやらせてもらえませんか」
「「えっ!?」」
2人のやりとりを終始黙って見ていたデュースの言葉にエースとエペルが驚愕した。
特にエースからすれば、エペルにヘイトが向いている間、曲の練習に集中していればいいのに何故目立つようなことをするのか心底謎だった。
「お前、マジ?なんでわざわざ自分から…」
「理由は?」
「僕も”男らしいか”どうかとかよく考えてしまうので。せっかく受かった選抜メンバー。テッペン狙うなら、マジでやりたいんです」
「デュースクン…」
「いいでしょう。ある程度バーレッスンをこなせば、カカシもヒトに近付くかもしれないわね」
デュースの動きの硬さは素人のユウと[#da=1#]から見ても伺えたので、たしかに彼もエペルと同じメニューをこなすのはちょうどいいかもしれない。
今後の方針が決まったところで今日のレッスンは終わった。