1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「いらっしゃいませ。3名様ですね、ご案内いたします」
「このドリンク5番テーブルね、ついでに8番テーブルにこのデザートお願い」
開店から夕飯時の一番混む時間帯にトラブルは…起きた。
テーブルの片づけやオーダーの目立つ遅れは無いが、オーダー間違いがすごかった。新入生全員が最低でも1回はやらかしている。
オーダーミスのカバーを上級生にさせてしまうことで余計な仕事が増えてしまっていた。
「おやおやエディシアさん…貴方もですか」
『すみません……気を付けていたのですが……』
「ヒィィィ!!ごめんなさい!!」
「フロイド!待て!ストップ!うわーー!!」
ホール担当のジェイドは目の笑ってない笑顔でエディシアに圧をかけ、厨房から生徒の悲鳴が聞こえたときはその場にいた1年生全員血の気が引いた。フロイドの事を制止する声がしたので、そういうことだと察する。
この頃にはエディシアの筋肉痛は痛みを忘れるほどに必死だった。
(ピークは過ぎたようだからこのまま何も起きないでくれ…)と誰もがそう考えながら料理をテーブルに運ぶ。
『お待たせいたしました』
「おーどうも……っておいおい、ずいぶん小さいスタッフもいるんだなぁ、1年か?こんなほっせー腕しちゃって。ほら見ろよ」
エディシアが注文の料理を置くと客に腕を捕まれそう言われた。
相手は獣人で制服からしてサバナクロー寮。体格も大きく、あの植物園での事が一瞬よぎる。
「先輩と比べちゃかわいそうだけどほんとだ。下の毛ちゃんと生えましたか~?」
「退勤したら確認させてくれよ~かわいい服用意するからさ~あははは」
『…恐れ入りますが、手を離していただけますか?』
「そんな混んでねぇしもうちょっと暇つぶしに付き合えよ。な?新入生君」
『い"っ…!』
客は元々強めに掴んでいたエディシアの腕にさらに力を込めた。ミシミシと骨や筋肉が悲鳴をあげる。
表情からも1年のくせして逆らうなという事だろう。
ふとエディシアは、この生徒は先ほども他の客やスタッフへ高圧的にちょっかいをかけていたことを思い出した。
それとほぼ同時だろうか。このままでは人を呼べない、侮辱を受けた悔しさ、腕の痛みによる危機感から反射で気づいた頃には相手の腕をひねっていた。おかげで脱出に成功する。
「…っいだだだだ!何しやがるチビ!!……うお!いっってぇ!」
『…店内にそぐわない発言、営業妨害による迷惑行為が目に余るので。あまりの痛みで折れちゃったかもしれないですねぇ……ほっせー腕してるんで』
「なっコイツ……!」
「「ふふふ」」
相手は立ち上がりつかみかかろうとする。しかしエディシアによって膝下の脛を攻撃、倒れ込むところで肩関節を責めてあっさり動きを封じられてしまう。
そこに知らぬ間に誰かが呼びに行っていたのか、ジェイドとフロイドの2人が客の前に並んで立っていた。彼らの笑顔が完全に悪人のそれである。
「僕も途中から見ていましたが、あなた方はどうやらこの店を勘違いしているようです。他のお客様やスタッフにちょっかいをかけたいのなら、ここは不相応かと」
「脳無しの雑魚たち、遊びたいならオレが相手してやるよぉギューッて絞めてあげる。あはっ」
「リーチ兄弟!?」
「な、やめろ…やめろぉ!!」
「またのご来店をお待ちしております」
あの2人の生徒はフロイドがどこかに連れて行ってしまった。
見送ったジェイドは来ないとわかってての嫌味を告げニコニコしている。
2人ともすごく生き生きしていた。
他の客たちも一瞬ざわついたが今では普通に食事と会話を楽しんでいる。むしろ先ほどよりも盛り上がっているようにも見えた。