5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「それについては私は説明しましょう!私、優しいので!」
「ふなっ、学園長!オメー、毎回突然出てくるんじゃねぇ!ビックリするんだゾ」
学園長の突然の登場にその場にいたメンバーがビクッと驚いた。
グリムが注意をしたが、本人は悪気があったわけではないようだった。
「君たちも選抜メンバーと共に集まっていただいた理由、それは……」
『(嫌な予感……)』
「この週末から〖ボーカル&ダンスチャンピオンシップ〗本番までの4週間、出場メンバーの強化合宿を行う宿舎としてオンボロ寮を提供していただきたい!」
「「「強化合宿ゥ~~~~!?」」」
「オンボロ寮で寝泊まりするってこと!?いや、確かに部屋はたくさん空いてますけど…」
学園長から出てきた提案に一同は騒然となった。
住人のユウとグリムは一番驚き、[#da=1#]は深いため息と共に顔を覆っている。
ジャミルが同じ学園内で過ごしているのになぜ合宿を行うのか質問する。それに対し学園長は相互理解を深め、チームワークを育むためだと返した。
「確かに、一流の音楽グループがチームワークを高めるために、寝食を共にするのはよくあることね」
「ポムフィオーレでも良いかと思ったのですが、それだと違う寮のメンバーはアウェイ感が出てしまう。しかし、オンボロ寮であれば全員フラットな気持ちで合宿ができるのではないか、と考えたのです。すでに指導補佐のファミーユくんは、自身の寮長と私の許可のもとオンボロ寮で作曲作業に打ち込んでいるので丁度いいですし」
『いや…人がいないから集中できるってことで使ってるんですけど…』
ここに集まっているメンバーは寮も学年も出身地もバラバラだ。学園長の言っていることは至極真っ当である。
しかもこの学園は我の強い生徒が多いので、これぐらいしないとまともに一曲終わらせられることなど到底敵わないだろう。
理由に頷けるからこそ[#da=1#]は何も言えずにいた。
「寮まぜこぜで合宿なんて、すげー面白そうだな!でも、オレとジャミルが2人とも寮をあけて大丈夫なのか?」
「それについてはご心配いりません。学園長である私の権限で、参加メンバーを全面的にバックアップさせていただきます。私、とぉ~っても優しいので。学園としても、君たちには他校を下し”世界一”の称号を手に入れてもらいたいですからね」
「待つんだゾ。オレ様たち、選抜メンバーじゃねぇのになんで協力してやらなきゃなんんねんだ!?絶~っ対にお断りなんだゾ」
スカラビアの寮長と副寮長が寮を不在にするのは、たしかに何か問題があった際すぐに動けない可能性があるが、学園長自らが保証するようだ。
普段は胡散臭いが勝利を欲している時の彼は信用できる。ライバル校が出演するのだから尚更だ。
そんな中グリムは合宿に対して強く反対した。わざわざ住居を貸し出すメリットが住人には無いという主張だった。
「おやグリムくん、そんなこと言っていいんですかねぇ?もし寮を合宿所として提供してくれたらすごく良いことがあるかもしれないのに…」
「ふなっ?な、なんなんだゾ。その良いことって…」
『出たこの流れ…』
「もしチームが優勝した暁には、アタシとルーク2人分の賞金をオンボロ寮に寄付するわ」
「えっ…出場しないのにどうしてですか?」
「アタシはそんな雀みたいなギャラ興味ないもの」
「ヴィルのために働いてくれるサポートメンバーに礼を尽くすのは、当然のことさ」
学園長とグリムのやりとりにデジャブを感じた[#da=1#]が見守っていると、ヴィルがオンボロ寮への寄付を提案した。
2人から入る寄付金額を聞いたグリムはツナ缶がたくさん食べられると目を輝かせた。
「空いている部屋を提供し、サポートするだけでチャンスが手に入るのに絶~っ対に嫌なんですよね。オンボロ寮を宿舎にしていいなら、水回りなども経費でリフォームしようかなぁと思っていたんですがねぇ。はぁ~。非常に残念です。この話はなかったことに……」
「うぐぐ……ツナ缶富豪になれるチャンス…。なぁ~、ユウ~…どうするんだゾ?」
「………住環境を快適にするためなら……わかりました、提供します」
「そうですか!ご提供いただけますかぁ~!私も合宿スタートに向けていろいろ手配しておかないと。ではみなさん、練習頑張ってくださいね!」
『また丸め込まれた…』
実際今のオンボロ寮は埃まみれだったとは思えないほど綺麗になったとはいえ、まだまだ床は軋み水回りも安定して使えず、すきま風も入るのでオンボロであることに変わりなかった。それが改善されるかもしれないとなれば乗るしかないだろう。
いいように使われるユウとグリムを[#da=1#]は哀れみの目を向けた。
「全く口が挟めないまま合宿が決まってしまった…」
「そーね……ま、たまにはいいんじゃね?だって合宿中は、ハートの女王の法律違反で首をはねられることもないってことだろ。いつもより気楽じゃん」
「オクタヴィネルの次は、ハーツラビュル、スカラビア、ポムフィオーレとの合同合宿か。こりゃ、にぎやかで楽しくなりそうだ!」
「学園長の決定なら仕方がない…逆らって心証を悪くしたくはないからな」
「強化合宿についてのミーティングは以上。次は…早速、レッスンを始めるわよ!」
強化合宿が正式に決まったことで、ヴィルがレッスンの号令をかけた。
合宿と同時に始めると考えていたらしいエースは、それを聞いて疑問を口にした。
それに対してヴィルは、エースたちのレベルでは少しも時間を無駄にすることはできないとピシャリと言い放った。
それをエペルは神妙な面持ちで見ている。
「我らがNRCトライブの旅立ちを祝し、汽笛がわりに1曲奏でようじゃないか」
「さあ、音楽をかけてちょうだい。”Piece of my world"!」
「は、はい」