5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「ほらほら追いついちゃうよぉ!」
『まずいまずいまずい…!』
翌日放課後、[#da=1#]をフロイドが見つけ、「久しぶりに遊んで」と言い追いかけてきたので必死の逃亡劇が繰り広げられていた。
寮長であるアズールの許可を得て〖VDC〗への準備のために数日前からモストロ・ラウンジへ出勤しておらず、寮が同じとはいえ学年が違うとなかなか人魚たちと顔を合わせていなかったのだ。
フロイドと一緒に歩いていたアズールは慣れているのか、彼の突然の行動を興味無さそうに眺めてからさっさと移動して行き、ジェイドはニヤニヤと笑いながら[#da=1#]に手を振りアズールの後をついて行った。副寮長の態度を見た[#da=1#]は蹴り飛ばしたいと思った。
「ねーねー、鬼ごっこよりバスケしないー?」
『ハァハァッ…どっちも!嫌!です!』
「アハハハハハ!じゃあ何逃げてんだよ」
『(は!?)』
始めは追いかけてきたフロイドの迫力に気圧された[#da=1#]が反射で逃げたことで「なに?鬼ごっこすんの?いいよぉ」と逃亡劇が始まったのだが、フロイドの態度が急変するとさらに速度を上げた。
ただでさえフロイドの一歩が大きく[#da=1#]は必死なのに、今より速度を上げられてはすぐに彼の長い腕が捕らえるだろう。
『…!リドル先輩!』
「?君はたしか、[#da=1#]かぁぁ!?来るな!後ろのをどうにかしろ!!」
『無理!』
「うわぁぁ!!」
「リドルーーー!?」
逃げ続けていると廊下を歩くリドルとトレイに遭遇した。
フロイドの普段の口ぶりからしてリドルはお気に入りのおもちゃのような感覚だろう。[#da=1#]はリドルを差し出せば注意が逸れると考え、こちらを追う大きな捕食者の存在に気づき逃げの体勢を取ろうとしたリドルの腕を掴んで一緒に走り出した。
トレイの叫び声が遠くで聞こえる。
「あれぇ金魚ちゃんじゃん!」
「何なんだ君たち!廊下は走るな!そしてボクを巻き込むな!」
『リドル先輩!フロイド先輩に!用が!あるらしいですね!』
「は!?」
「へぇー金魚ちゃんが?珍しいねどうしたの?」
「君に用なんてあるわけがないだろう!離れろ!首をはねてしまうよ!」
フロイドの意識がリドルに逸れているうちに[#da=1#]はその場から逃走した。今度お詫びのタルトを用意しなければと考えながら。
『ハァ…ハァ…ゼェ…』
「…ふう、追いついた……」
『っトレイ、せんぱ……?』
「目の前でウチの寮長が攫われたんだ。ワケくらいは聞いておかないとだろう?」
少し離れた先で隠れて息を整えているとトレイがやって来た。
バテきっている[#da=1#]の様子を見て「大丈夫か?」とのぞき込む。
フロイドから逃げきるためにリドルを巻き込んでしまったことを息絶え絶えの中どうにか言葉にして謝罪すると、トレイは気さくに笑った。
「あはは、お前も災難だったな。[#da=1#]でもフロイドには敵わないか」
『あんな舵の付いてない大型海賊船を、僕みたいな下っ端1年がどうにかできるわけないでしょう。同じ寮の3年生も「あいつを扱おうと考えるのは逆効果だとわかった。荒れてるときは落ち着くのを待て」って言ってましたし』
「その3年生、フロイドを自然災害だと思ってるのか?」
そんなやりとりを交わしたところでトレイが「とりあえず俺はリドルのフォローに行ってくるから、お前はこれで飲み物でも飲んでこい」と言って[#da=1#]の肩を軽く叩くと小銭を渡した。
ここまで息を切らさない体力、肩を叩いたときの手の大きさと重さ、後輩や寮長を気にかける余裕。——この短時間でトレイの底知れなさを感じた[#da=1#]は、絶対に彼を敵に回したくないと感じた。
これはタルト1つでは済まなさそうだ。