5章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「よぉ[#da=2#]!よく来てくれたな!」
「ハァ…」
『こちらこそありがとう』
時は現在に戻り、ユウが”ミッキー”の話をした翌日放課後、[#da=1#]は以前ジャミルから受けた毒のお詫びによって約束していた宴が開かれるので、スカラビア寮に来た。
到着した頃にはすでにご馳走が所せましと並び、豪華な音楽が出迎える。
『シチューにクリームパスタに…熱砂の国の料理の中でも気に入った物もあるし、ほんとに好物ばかり用意してくれたんですね。ありがとうございます。もちろん毒なんて入れてないですよね?』
「俺の料理に余計な物は入れない。疑うならそのまま帰ればいいさ」
『そういう料理に真面目なところはうちの寮長みたいです』
「あんな胡散臭いヤツと一緒にするな」
「誰か1人のために用意した宴はその客人の特徴が出ておもしろいな!これからこういうのもやっていきたいなぁ」
「毎日宴になりかねないことを言うな…俺の胃に大穴空けるつもりか」
[#da=1#]のリクエストしていた好物がいくつも並んでいる。熱砂の国の料理の中ではクナーファというスイーツが現在一番のお気に入りだ。
ジャミルが軽く遊ばれたところでさっそく宴が始まり、音楽、ダンス、雑談、食事を堪能しているうちにあっという間に時間が過ぎていった。
いい時間になってきたころ、カリムが[#da=1#]に耳打ちである提案をした。
「[#da=2#]、お前にまだ紹介してないものがあったからちょっと来てくれよ」
『?…はは。そんなに声を潜めて、もしかして悪いこと企んでる?いいよ。協力してあげる』
「悪いこと…?まぁ、たしかに悪いことかもな」
ジャミルが片付けの指示で忙しくなってきている今がチャンスなのだと言う。
冬休みの件で割り切った仲になったとはいえ、従者の仕事は続けているジャミルの目が光っているうちはたしかにある程度のことが制限されてしまうだろう。
『…何ここ…どれも高そうな物ばかり…あれ?待って、鍵は?管理どうしてるの?』
「ここは宝物庫だ。鍵はしてないぞ?」
『不用心な…ただの物置じゃないんだから…』
カリムが案内した部屋には一目で高値だとわかるような布や置物、アクセサリーなどが山ほど積まれていた。全て実家から送られてきた物なのだそうだ。
[#da=1#]も裕福だが、流石は交易の盛んな熱砂の国を代表する大商家。規模があまりにも違う。
「あれぇ?どこにいったかな…おーい、どこだー?」
『あぁ、野生の生き物をこっそり飼ってる感じか。たしかに悪いことっちゃ悪いことだね………ん?うわっ』
「どうした?…おー!そこにいたのか。コイツを[#da=2#]に紹介したかったんだよ」
悪いことの内容がカリムらしさを感じるなと[#da=1#]が考えていると、何か柔らかい物が肩にちょいちょいと触れた。何かと思い振り返ると絨毯が生き物のように動き回っているのだ。
カリムは友達を見つけたようなノリで絨毯に駆け寄り、絨毯とじゃれている。
空飛ぶ魔法の絨毯の話は[#da=1#]もおとぎ話で聞いたことはあった。
レプリカとのことだがこんなもの国宝級の代物だろう。
「よし。[#da=2#]、こっちに来てくれ!ちょっと寒いかもしれねぇけどいいもの見せてやるよ!」
『え?は?…まさか…』
「そのまさかだ。大丈夫、コイツにはよく乗せてもらってるから落ちやしないさ。オレを信じろ!」
『…これは相当悪いことだね』
従者が知らないうちに主人は護衛をつけず、勝手に国宝級の魔法の絨毯で空を飛びまわる———自分が従者だったら卒倒するかもしれない。と、[#da=1#]は改めてジャミルの苦労を感じた。
しかし絨毯に乗ってみたいという好奇心には抗えなかった。
窓際でフヨフヨと浮く絨毯に先に乗ったカリムの手を取り慎重に腰かけると、絨毯はスーッと上昇を始める。
冬の夜での上空、さすがに凍えるだろうだということでカリムが最近覚えたらしい防寒魔法を[#da=1#]と自身に唱えた。