5章
お名前編集はこちら
この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……げっ……もうなんなの…』
ヴィル、イデアと解散しバイトを終えると、[#da=1#]の両親と祖母からメッセージと何件か着信履歴が入っていた。
よく家族と連絡は取り合っていたのだがこんなに入っている着信数は初めてだった。
バイト終わりで疲れているのにと半ばうんざりしながらもメッセージを確認した。
祖母からは[今日電話ちょうだい。大事なお話があるの]
父は[大変!緊急!おばあちゃんにバレた!]
母は[今おばあちゃん帰ってきてます。ごめんね。おばあちゃん今日電話ほしいって]
絶句した。そりゃ着信が何件もきてたはずだ。
祖母は現役こそ引退したものの、オペラ歌手を代表するアーティストとして審査員や歌の指導などで今も忙しく世界を飛び回っている。彼女がここの入学に誰より強く反対することは容易に想像できたので、内密で入学手続きを済ませたのだ。
もし馬車の来るタイミングと自宅にいる時期が被っていれば馬車から引きはがされていただろう。
いつか弁解する時が来るとは思っていたが、その機会が想像より早く訪れたことに[#da=1#]も内心焦る。
仕方ないと思いつつかけると1コールで繋がった。
「もしもし」
『もしもしおばあちゃん?ごめん、バイトで遅くなっちゃった。今帰って来てるんだってね、お疲れ様』
「ありがとう。こちらこそ急にごめんなさいね。バイトお疲れ様。学校は楽しい?お友達とも仲良くしてるのかしら?」
『うん。気の合う友達といつも楽しんでるよ』
「そう、よかった。さすが[#da=2#]ちゃんね」
声色は優しいいつもの祖母だが、電話越しでもただならない空気感が伝わる。
祖母のこういう時、ジリジリと詰めてくる感じが[#da=1#]は苦手だった。
「ところで[#da=2#]ちゃん?今どこにいるのかしら?」
『寮だよ。寮生活必須の学校だからね、ナイトレイブンカレッジは』
「そうよね、完全寮制の男子校だものね」
「『ふふふ』」
祖母の電話はスピーカーにしているようで、父が「出たよ開き直り…」と呟いてるのが聞こえた。
孫が祖母を怒らせたときは大抵こうなる。戦いの始まりの合図でもある。
「おばあちゃんね、ママのスマホからあなたの写真がたまたま目に入ったの。始めは[#da=2#]ちゃん本人かと本気で思っちゃったわ。今でもまるであの子と話してるみたい」
『まぁまぁの完成度じゃない?もうやらないと思ってたでしょ』
「そうね。ここ10年ほどはやっていなかったかしら。…まさか家族ぐるみでこんな事するなんて」
『それだけ覚悟があったと思ってほしいね。もちろんおばあちゃんとママの活動に迷惑はかけないよ』
「それは卒業までやり過ごせる算段があるという事かしら?もう先生方やお友達で知ってる人はいるの?」
いざそう言われ[#da=1#]は口をつぐむ。正直自信があるかと言われれば難しい。ヒヤヒヤする場面は何度もある。
しかしここで引いてしまうわけにもいかないので平静を保った。
『…生徒側に協力してもらってる人がいるよ。もちろん変な交渉も無し』
「ふーん年頃なのに…護身術が役に立っているという事かしら。何人いるの?」
『3人もいるから大丈夫だよ、安心して』
「それなら私を安心させるために証拠を見せてくれるわよね?」
『証拠』
「えぇ。私がチェックしてあげますから連れてきなさい」
[#da=1#]は最悪のパターンが来たことに固まった。
会話だけでやり抜けたいと考えていたのだが、お見通しなのかそういうわけにはいかないらしい。
『可愛い孫のことが信用できないの…?悲しいなぁ…』
「孫が可愛いからこそ連れてきてと言ってるのよ。嫌なら私から会いに行くから待っててくれていいけど」
『最悪なパターンをさらに悪化させないで……でもみんな役職や部活で都合つくか怪しいし、こっちも〖VDC〗の作曲があるから忙しいんだけど』
「あら〖VDC〗!ならそれも条件にさせてもらうわ。私にも納得できる曲ができれば学園生活での刺激がいい方向に働いていると考えられるし。あと都合がつくかどうかなんてあやふやならそんなの協力者とは呼べないわよ。いいの?」
孫の引っかけに祖母が動じることはなかった。
それどころか条件の追加をし追い詰める体勢でいる。
協力者も作曲も納得しないと本人の意思とは関係なく自主退学させると言うのだ。
「なんだかんだあなたの意思を尊重して自由にさせていたけど、今回はさすがに見逃せないわ。信用してないわけではないのよ?むしろその逆。あなたならこれくらいできるわよねという意味なんだから」
『………いいよ。この2つの条件が満たせればそのまま在学するからね。それ以上の要望は受け付けません』
「いいでしょう。それじゃあ明日の13時、協力者の3人を連れてきてちょうだいね」
『…夕方じゃだめかな』
「13時、待ってるわね」
祖母の提案に頷くしかなく、電話は終わった。
通話終了の画面を見つめて少しの沈黙が流れた後、急いで3人に連絡をした。