4章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「う、うぅ…っ。うう、ジャミル…信じてたのに…」
「あれ、ラッコちゃん泣いてんの?涙凍るよ」
フロイドの声を戻す流れをみんなが見ているとカリムのすすり泣く声が聞こえた。
長年信頼を置いていた人物にずっと嫌いだったと言われるとは思わないだろう。
「オレのせいだ…!知らないうちに、ジャミルのことを追い詰めちまってた。ジャミルは、本当はあんなことするようなヤツじゃない!いつもオレを助けてくれて、頼りになるいいヤツで…ッ」
「うーん…そういうところが彼を追い詰めたのでは?」
「で、でた。ユウのキツいツッコミ」
ユウが指摘するとカリムは固まった。
その場が一瞬静かになるが、「たしかに…」と同意する声がそれぞれに上がった。
『まぁいいヤツは友達をこんなところに飛ばさないしね』
「あー、オレも同意見。ラッコちゃん、イイコすぎるっていうか……なんつーか、ウザい」
「え、ウザ…?」
「そうですねぇ。いいヤツを通り越してちょっと…気持ち悪いです」
「気持ち悪……いや、でも。ジャミルは絶対にオレを裏切ったりはしないはず…」
「いや、めっちゃ裏切ってるじゃん」
「卑劣さのレベルで言えば、アズールと比べても見劣りしません。自信を持って「裏切者!」と罵っていいと思いますよ」
アズールと良い勝負ではあるだろうが、自信を持てと言われても嬉しくないだろう。これには褒めてないよねとユウと[#da=1#]が顔を見合わせた。
比較されているアズールはというと多少共感できるようで、「計算で生きている身からすればカリムさんのような純粋な発言は、チクチクと嫌味を言われている気分になる」とジャミル目線に立った意見を述べた。
「…そうか。ジャミルは、悪いヤツ…なのか」
「い、今頃!?」
『めちゃくちゃ悪い奴だよ』
「それなら、早く帰らなくちゃ。アイツを殴って、「裏切者!」って言ってやらないと」
「1発じゃ足らねぇんだゾ!さらにオアシスまで10往復行進させてやるんだゾ!」
グリムもやる気満々だ。スパルタの行進や監禁をされて頭にきているらしい。
「ええ。それに、早くジャミルさんを正気に戻さなければ、彼自身の命も危ない。彼の魔力が尽きる前に戻らなければ」
「だからさー、どうやって戻るの?早歩き?」
しかしここで上がるのがどうスカラビア寮に戻るのか、だ。
現状をどうにかしないと陸の生き物組どころか、人魚組も今は人間の体なので危うい。
「川でもあれば泳いで戻れたのですが……周辺の川はどこも干上がっているようですね」
「川…?水が欲しいのか?」
「ええ。フロイドとジェイドが本来の姿に戻れば箒以上に速度が出るはずです。しかし、乾いた川を元に戻すなんて僕らには不可能…」
「オレ、できるぞ」
「「「ええええ!?」」」
『あ、そういえばユニーク魔法』
「オアシスで見せてくれた…!」
カリムの発言に人魚組が驚愕する。
彼のユニーク魔法は少しの魔力でいくらでも水が出せるというシンプルなものだ。それ故に応用が利きやすい。
花の水やりのような些細なことから、大洪水で街を飲み込むことだってその気になれば可能だろう。
[#da=1#]は部活で飲み物を切らしてしまったときに彼のユニーク魔法で水を飲ませてもらったことがあった。
ユウとグリムも最近見た事があるらしい。
ユニーク魔法の詳細を聞いたアズールは「商売になりすぎる!」と大興奮だ。
「下世話なアズールのことは置いておいて…カリムさん。では、お願いできますか」
「川を作ればいいんだな。わかった!任せておけ」
『(川…)』
「それじゃいくぞ、<熱砂の憩い、終わらぬ宴。歌え、踊れ!>"枯れない恵み"!」
カリムがマジカルペンを構え詠唱したことで、大量の水が満たされ川が形成されていく。
その間に双子は本来の姿に戻り先に川へ入って行った。