1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「それだけ頑ななら、周りを納得させられるだけの理由があるんだろ。手始めに俺に説明してみせろ」
『…昨日会ったばかりの名前すら知らない人に身の上話なんてできるわけないじゃないですか』
そこまで言うならと理由を求めるのも、素性も知らない初対面に話すわけがないというのも気持ちはわからなくもない。
しかし順序というものがある。誰でもいきなり初対面の相手に分析をされ、出ていけと言われるのもいい気がしないだろう。
「……3年A組、レオナ・キングスカラー。サバナクロー寮の寮長だ。マジカルシフト部に所属している」
『……』
「……」
相手の素性の前にこちらの素性を。そう察したライオンは淡々と自己紹介を始めた。
しかし所属している部活の後が続かない。
思わず白猫が『……え?』と聞き返すもライオンは「あ?」としか返さない。
さすがに自己紹介が簡単すぎではないか、という意味を込めて続きを促した。
『もう少し何かないんですか?』
「…夕焼けの草原の第二王子」
『……ん?王子?キングスカラーはたしかに聞き覚えがありますけど…嘘でしょ?』
白猫が続きを促すとまさかの情報が飛んできた。
少しどころではないパンチ力に開いた口が塞がらずにいると、ライオンは構わず意見を続けた。
「嘘なら今より良い肩書にするだろ。お前を不敬を働いたということにして力ずくで追い出してもいいんだぞ。嫌ならここに固執するご立派な理由を話してみろ」
『そ、れは……、ハァ……………簡潔に言うと、』
ここまで特になにか仕掛けてくるわけでもなく、話を聞く姿勢でいることにまともな理性であることを感じた白猫は意を決して説明した。
「…………俺には到底理解できないな。今から学園長に報告するからホームルームも授業も出なくていい」
『…!お、お願いします…自分のためでもあるんです…!なんでもしますから…!』
「お前なぁ、簡単になんでもするなんて言うもんじゃねぇぞ」
『今が言うときなんです。それだけこっちも本気ってことですよ』
白猫の懇願にライオンは黙り考え込む。
少しして眉間にこれでもかと皺を寄せながら1つの条件を提示した。
「…………わかった。何かあれば俺に連絡を寄越すか、俺の昼寝スポットに来ること。この条件が飲めねぇなら学園に報告し追い出す」
『…それは先輩が呼び出す場合もあるんですか』
「合流が必要で近場の昼寝スポットに俺が居なければ連絡しろってだけだ」
『それでは先輩にメリットがないでしょう。やっぱり信用できない』
「俺のメリットはお前がこの学園から出ていくこととだ。そんなに退学が嫌なら、俺のメリットのために卒業して出て行ってもらわないとならねぇ」
ライオンのメリットを聞いて悩んだが、それならと渋々条件を飲むことにした。
昼寝スポットは複数あるようで後ほど連絡先に送られるらしい。
『…もう行こんな時間…入学直後に遅刻なんて悪目立ちはしたくないんで、失礼します』
「早く行ってこい。二度寝の邪魔だ」
『え、サボるんですか』
「サボるために来たからな」
『王子様とは思えない言動ですね…』
時間を確認すると走らないと間に合わないことが発覚し急いで植物園を後にした。
なんでもすると言った以上、白猫も後には引けないため今は彼の言葉を信じるしかない。
外に出るとやっぱり風が冷たく、いかに中が暖かったのかを知った。