4章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「はいはーい!そこの君たち道のど真ん中に突っ立ってないで、どいたどいた!」
「ブッチ先輩…って、なんですかその大荷物!?」
声の主はラギーだった。彼もこれから闇の鏡を通るところらしい。
しかしその荷物がすごかった。バックパックにボストンバッグ3つ、さらに大きなクーラーボックスまで抱えている。
「大食堂と購買部の消費期限切れそうな食材、全部貰ってきたんスよ。長期休暇に入るから、毎回タダ同然でくれるんス」
「えぇ?でも、そんなに食いきれないでしょ」
「なーに言ってんスか。これっぽっちの量、近所の悪ガキどもに食わせたらあっちゅー間になくなるっスよ。ばあちゃんにもホリデーくらい腹一杯食わせてやらなきゃ」
ラギーはそう言うと冷凍食品が溶けてしまうからとさっさと鏡を通って行った。
姿が見えなくなったのを見送ったデュースはみんなが思った疑問をこぼした。
「行ってしまった…それにしても、近所の悪ガキども…って?」
「ラギー先輩の地元は、貧しい暮らしをしている家庭が多いらしい。だから長期休暇のたびにたくさん食べ物を持って帰って近所の子どもにも食わせてやってるんだと」
『へぇ、そうなんだ…、!?』
近くで見ていたらしくジャックがラギー先輩の地元事情について話してくれた。…両手に植木鉢をこぼれそうなほど抱えて。
「ジャック…お前もなんで両手いっぱいに植木鉢抱えてんの?植木屋でも始める気?」
「これは趣味で育ててるサボテンだ。休暇中に水やりしなかったら枯れちまうだろうが。……って、お、俺のことはいいんだよ!」
エースがジャックへの疑問を投げかけるとツンデレ節で返って来た。もはや安心する。
ラギーは身内の祖母だけでなく、貧しい暮らしをしている子どもたちにまで食料を分け与えるためにあの量の荷物を用意したということにみんな意外だという感情を抱いた。
「ラギーのヤツ、赤の他人にメシをわけてやろうなんて意外といいヤツなんだゾ」
「捕らえた獲物は弱者にも分け隔てなく与える。それがハイエナだ。ラギー先輩もそうやって育ってきたんだろ」
「フン。ガキを何人も集めて炊き出しなんて考えただけでゾッとするぜ。1人いるだけでうるさくてかなわねぇってのに」
次に現れたのはレオナだった。ラギーとは真逆で手ぶらのまま帰るという。
帰らないと後からうるさいから帰る、理由も本当に嫌々といった具合だ。
「宿題すら持って帰らない開き直りっぷり…」
「宿題なんか休みが明けてからやりゃいいんだよ。ホリデーは休むのが仕事だろ?じゃあな草食動物ども」
そう言うと心底だるそうに鏡を通って行った。
長期休暇だから休むのはそうなのだろうが、宿題は事前学習みたいなものでやるべきなのではないか?と[#da=1#]は思った。