セイバーたちの話
「……マスター。少し、聞きたいことがある」
赤い海の縁に佇み、セイバーは問いかける。
「なにかしらセイバー?できれば簡潔にね」
空虚に満ちた笑みが、女の顔に張り付く。
「ああ、望み通りにしようとも」
「チドリという少女は、マスターの娘か?」
その言葉を合図に、部屋を沈黙が支配する。
未だ広がり続ける海は、やがて青年の足を濡らし。
「そうだけど、なんでそんなことを聞くの?」
女は真顔でそう答え。
刹那、血の花が咲き乱れた。
ぼとり、と女の右腕が落ちる。
少し遅れて、耳を劈くがごとき悲鳴。
女が全てを理解したときにはもう遅かった。いや、理解すら間に合わなかったのかもしれない。
最期に自らを貫く剣を見て──セイバーのマスター、浅葱四葉は絶命した。
それとともに、少しずつ青年の存在が薄れていく。
彼の持つスキルで延命はしているものの、やはり限界というものはあった。直ぐに新たなマスターを見つけなければ、おそらく聖杯戦争からは脱落するだろう。
──それは、なんとしても避けたかった。
再度呼ばれることもあろう。だが、それは確実ではない。なにより、もう待ち続けるのは嫌なのだ。
だが──セイバーのマスターであったモノは、どうにも駄目だった。ある種人間の極地でもあり、また非人間でもあり。同族嫌悪かもしれない。少なくとも相容れられる存在ではなかった。
青年は物思いにふける。
自らが消えゆくというのに、いや消えゆくからか。
自らの生と、死について思索する。
そして、愛する者への謝罪を。
そして、始まりの海は収束する──。
赤い海の縁に佇み、セイバーは問いかける。
「なにかしらセイバー?できれば簡潔にね」
空虚に満ちた笑みが、女の顔に張り付く。
「ああ、望み通りにしようとも」
「チドリという少女は、マスターの娘か?」
その言葉を合図に、部屋を沈黙が支配する。
未だ広がり続ける海は、やがて青年の足を濡らし。
「そうだけど、なんでそんなことを聞くの?」
女は真顔でそう答え。
刹那、血の花が咲き乱れた。
ぼとり、と女の右腕が落ちる。
少し遅れて、耳を劈くがごとき悲鳴。
女が全てを理解したときにはもう遅かった。いや、理解すら間に合わなかったのかもしれない。
最期に自らを貫く剣を見て──セイバーのマスター、浅葱四葉は絶命した。
それとともに、少しずつ青年の存在が薄れていく。
彼の持つスキルで延命はしているものの、やはり限界というものはあった。直ぐに新たなマスターを見つけなければ、おそらく聖杯戦争からは脱落するだろう。
──それは、なんとしても避けたかった。
再度呼ばれることもあろう。だが、それは確実ではない。なにより、もう待ち続けるのは嫌なのだ。
だが──セイバーのマスターであったモノは、どうにも駄目だった。ある種人間の極地でもあり、また非人間でもあり。同族嫌悪かもしれない。少なくとも相容れられる存在ではなかった。
青年は物思いにふける。
自らが消えゆくというのに、いや消えゆくからか。
自らの生と、死について思索する。
そして、愛する者への謝罪を。
そして、始まりの海は収束する──。