このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

抑止の話

──現実しんじつ虚構うそに、虚構おはなし現実じつぶつに。
迷子の事実を探しましょう──

何処とも知れぬ映画館。
ただエンドロールを流し続ける、無機質なスクリーン。

それこそは無音の詠唱、無言の召喚。
あらゆる観客を贄とし、呼び覚ますはひとつの夢。
恋と友情、その全てを食い尽くして顕現するは、いかなるモノか。

──そう、夢想した者がいた。
自らの憧憬を、この世に持ち込もうとした者がいた。
ただ無邪気に、特別を再現したかった者がいた。

今となっては泡沫の夢、全てが海の藻屑。
夢の欠片は壇上に、ただ一人。

結果から言えば、召喚は成功した。
マスター不在のはぐれ者として、一人の男が呼び出された。
その双肩に、抑止の使命を背負いながら。

ここに、かつての再演を臨もう──
1/4ページ
スキ