ゆめ微睡みのアリア
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翌朝、ボロミアが起きると傍らに旅の装束が置かれていた。
森や野原の前で目立ちにくい緑の色合いで統一されており、触ってみるととても軽くて丈夫な材質だった。
早めに着替え終わると、剣がたてかけられているのを見つけた。
つくづくシリウルは用意が良いと、感動しつつ剣を抜くとそれは立派な名剣だった。
エルフの使うものに近いフォルムではあるが、決して薄くなく、重さも軽くもなく重くもない、丁度いい代物だった。ベルトに一緒に締めて、用意が終わると森の奥に人影が見えた。
人影は直ぐに森から出て、当たり前だがシリウルであるとわかった。
彼女は世話がよくなされている事がすぐ分かる美しいを毛並みの馬を二頭連れて、何かが入った持ちやすそうな包みを二つ、そしていつもの籠も持ってきていた。
「朝食を食べてから行くつもりなのか?」
そうボロミアが聞くと、頷きながら馬の手網を柱に巻き付けた。
「今行く予定の通路を見回りに言ってもらっているのです。すぐ帰ってくると思いますから、早めに召し上がりましょう」
そう言うと籠を置いて、中の物を出し始めたのでボロミアは一緒に用意を手伝う。
珍しく籠の中には二人分の食事が用意されていてボロミアは驚いた。彼女の前で食事をすれど、彼女と共に食事をした事は今まで無かった。
そして彼は驚くと同時に少し安心した、彼女の分と思われるものは十分あって、ボロミアが今まで見ていなかっただけで、彼女もしっかり食事を取っていた事がわかったのだから。
用意を終わらせると、いつもの様にボロミアは寝台に、シリウルは椅子に座って共に食前の挨拶をして食べ始めた。
ボロミアは食事をしながら、一緒に食べてくれている彼女を穴が空くほど見つめていたので居心地悪そうにしながらも、早めに食べ終わった。
また一緒に皿を片付けると、(名前)は一旦建物を離れて野原に出ると、鷹を腕に乗せて迎え鳴き声を聞いて何かを判別していた。
ボロミアは彼女が鳥を使う事を知ってはいましたが、見るのは初めてだったので少し驚いた。
シリウルは彼の視線に気づくと、大丈夫だったと一言伝えてくれた。
そして鷹を今度は肩に載せると素早く彼の元に来て襟元に手をやりマントを直すと、荷物を開いて確認させた。
ボロミアはこの様子がなんだか新婚の夫婦のようだと余計な事を考えながらも、しっかり確認した。
中身は拡大率や場所が少し違う地図が複数枚、水筒、切り分けるための刃物、応急処置用の物品、そして食物が入っているであろう冷たい包みも。
よく見てみると彼女の包みの方が大きかったので、恐らくあちらにボロミアの傷の手当にいつも使っていた品があるのだろう。
「途中で狩りはしませんよ、素早くひっそり行きます。ここが具体的に言うとどこに位置するかは言えない制約がありますので、森を出るまでは聞かないで下さい」
「ああ、わかった。ここまで色々準備して下さって、本当に有り難い。ここでの生活も、夢のように美しくて平穏だった。もはや私の第二の故郷と言っても過言ではない程に」
「こちらこそ、嬉しいお言葉をありがとうございます。私も、あなたとの生活はとても楽しかった」
「まだ別れではないからここまでにしておくが、次は改めて感謝を」
「はい……そして、たとえ道別れることあろうとも、あなたが守られますように」
そうシリウルが微笑んで言う、悲しげに言ったわけではなかったのだが、語句は明らかにいずれ来る離別を表していてボロミアは悲しく感じた。
彼はシリウルの腰を抱いてそっと引き寄せると、見つめ合うような形にした。
彼女は大人しくされるがままになってくれて、まじかに見る彼女はより一層美しくボロミアに写る。
彼が熱が篭った瞳で見つめると、彼女の中にも同じものがある事に気づいた。
そしてそれを喜ぶ様に微笑むと、ゆっくり彼女に口付けた。
森でしばらく馬を走せると漸く日差しが真っ直ぐ通る、広い野に出た。
久しぶりに景色が違うとこに出てボロミアが感動していると、すぐそこの山が見慣れたエレド・ニムライスであることがわかる。
驚いて後ろを見ると遠くにエント川と見られる流れがあり、ここがアノリアンであることを裏付けた。
そしてここはどうやらドルアダンの森の手前、エレラスの辺りであることも、生い茂る森を遠くに見つけて分かった。
「森から行けるところで一番ミナス・ティリスに近いのがここです。ですが隠れるところもありませんのでドルアダンの森を通り抜けようと思っています。と言ってもあなたの方がここらには詳しいでしょうが」
「いいや、そうだろうがあなたの方針で問題ないだろう。次の野営で全て確認する」
そう言って彼はシリウルと共に馬を山沿いに向かって駆けさせた。森を出たのが久しぶりなら馬も久しぶりなはずなのだが、彼女は全くそんな風ではなく、少し早めに走らせるボロミアにあっさり着いていく。
お陰ですぐ見渡しが少しはマシな所に着いて、ボロミアは軽く彼女に渡された地図を見た。
どの道を取るのか詳しく書いてあり、とても見やすい物で全行程はおよそ120マイルほどで、ドルアダンの森からミンドルルインの岩陰沿い、隠れながらもある程度早さを保てるコースだった。
この地を彼ほど慣れ親しんでいないにも関わらず最良の道が指されている事に感動しながら、野営できそうな場所を何個かシリウルに告げ、進み具合と日を見ながら決めることにした。
