ゆめ微睡みのアリア
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シリウルは最初に持ってきた籠を残していったので、ボロミアは中身が気になりそっと中を漁った。
すると彼の為に持ってきてくれたのか、彼がわかる言語で題名が描かれた本が何冊かあり、どれもあまり本を読まないボロミアでも興味引かれるものだった。
他には筆記用具と白紙の紙が何枚かあり、カレンダーのようなものもあった。
シリウルの細やかな気遣いに、また申し訳なく思いつつも、彼は日記を着けようと思い、筆記用具と紙を手元に持ってきた。
朝食を食べる時は夢中で気づかなかったが、やはり筋肉を動かすと矢傷がキシキシと痛んだ。なのでボロミアは日にちと、今日の出来事を軽く書いただけで紙をしまった。
今度は本を手に取って、ゆっくり読み始めた。内容は彼の国の季節や環境がどうしてそうなったのか、とても詳細に書かれていて驚かされました。
どこから彼女はこの様な資料を手に入れたのだろうか、ゴンドールの宮中には彼の父が直々に集めた蔵書を収納した大きな図書館があるのだが、この様な図書は見かけた事がない。
彼女自身は、エルフの血が混ざった者だと申していたのですが、それだけではない気がした。
そうして時間を潰しているとボロミアが思っていたよりも早く昼時になった。
昼時でも日は熱くなく、丁度いい日照を保っていた。朝食を持ってきた時と同じようにしてシリウルは現れ、また籠を持っていた。
彼が穏やかに過ごしている事を確認すると、安心した表情をして、速やかに彼の昼食を用意した。
今度のメニューは何らかの肉が入った香草スープと、先程と同じ量の薄焼きパン、そして洋梨がはたまた二個だった。
「あなたがこれらの食べ物を作られたのですか?」
そうボロミアが問うと、彼女は頷いてこう言った。
「殆どは私が。肉だけは保存されていた物を使いました。私はあまりそういった物を口にしないので、すぐに使える在庫がそれだけだったのです」
「そうでしたか、それにも関わらずこうして用意頂きとても有難く思います」
軽く平和な会話を済ませた後、ボロミアは今度の食事も全て平らげてしまった。彼が食べ終わると、シリウルはまた皿を持って行って、今度は直ぐに彼の元に戻った。彼女は新しく本を手にしており、その題名は彼には読めない言語で書かれていた。
「何か思いつかれたら直ぐに聞けるように、貴方の傍で過ごそうかと思いまして。見えぬ者に呼びかけるのは慣れていないでしょうから」
「お気遣い痛み入ります。では一つ、あなたに私の国の一報を求めた事がありましたが、今はなくともこれからあれば知らせて欲しいのです。それはいかなる事でも」
「ええもちろん、そのつもりでした。何かあればお伝えしましょう」
「ありがとうございますシリウル殿。確かに傍に居らっしゃった方が話しやすいですな。おや、ところでそれはなんの本なので?私には題名が読めなくて」
「ああこれは……エルフ達が綴った詩を纏めた物です。少し共通語に訳して読んでみせましょうか?」
「是非ともお願いします」
彼女は易々と申し出を受け入れ、聞きやすい低めの声音で読み始めた。題名は訳さなかったようで、ただこのように言ったのだけ聞き取れた。
「アマルス」
ᚨᛗᚨᚱᛇ ᚩᚹᚩᚾᛖ ᚨᛏᛁᛗᛖ ᛏᚺᛖᚱᛖ ᚹᚨᛇ ᛏᚺᛖ ᚺᛖᚱᚩ ᚲᚨᛚᛚᛖᛞ ᚢᚱᛋᛇᛗᛚᛁᚩᚾ ᛫ ᚺᛖᛇ ᚺᚨᛁᚱ ᛁᛇ ᛚᛁᚲᛖ ᚨ ᚠᛁᚱᛖ᛫ᚺᛖ ᚹᚨᛇ ᚠᚩᚢᛅᛞ ᚱᚩᛗ ᛇᛏᚱᚨᛞᛖᚱ ᚨᛅᛞ ᚺᛖ ᛒᛖᚲᚨᛗᛖ ᚠᚨᛗᚩᚢᛇ ᚲᛅᛁᛏ
かつては若き英雄、ウルセリオン、たなびく髪は彼が扱う炎のように。ウルセリオンは放浪者の中から見いだされ、たけだけしき騎士として遠くまで名を馳せていた。
ᚩᛅᛖ ᛞᚨᚥ ᚢᚱᚢᛇᛖᚱᛁᚩᛅ ᚹᛖᛅᛏ ᚠᚩᚱ ᚠᛁᚱᛇᛏ ᛏᛁᛗᛖ ᛏᚩ ᛚᛁᚾᛞᚩᛅ ᛇᚺᛁᛅᛁᛅᚷ ᚺᚨᛅᚲᚺᛁᚠ ᛞᚱᚠᚹᛞ ᚨᚷᚨᛁᛅᛇᛏ ᚺᛖᛇ ᛖᚣᛖ᛫ᛏᚺᛖᚱᛖ ᚹᚨᛇ ᛒᛖᚨᛏᚥᚠᚢᛚ ᚱᚨᛇᛖ ᚨᚾ ᛁᛏ
ᚢᚱᚢᛇᛖᚱᛁᚩᛅ ᚲᚨᚲᚺ ᛁᛏ ᚨᛅᛞ ᛏᚱᚥ ᛏᚩ ᚠᛁᛅᛞ ᚩᚢᛏ ᚹᚺᚩ ᛇ ᚨᛅᛞ ᚷᛁᚱᛚ ᚲᚨᛗᛖ ᛏᚩ ᚺᛁᛗ
ᚥᛞᛇ ᛏᚺᚨᛏᛇ ᚨᛅ ᛒᛖᚹᛏᚥ ᛏᛁᛅᛗᛖᛅᛖᚱ ᛇᚺᛖᛇ ᛇᚲᛁᛅ ᚺᚨᛇ ᚨ ᛒᛖᛇᛏ ᛇᛗᛖᛚᛚ ᚨᛅᛞ ᚺᛖᚱ ᚺᚨᛁᚱ ᚹᚨᛇ ᛇᚺᛁᛅᛁᛅᚷ ᚨᛇ ᛇᛏᚨᚱ
ある日ウルセリオンがリンドンを訪問した時、きらきら輝くハンカチがひらりと舞い降りた。溶け入るように薄くなされ、見事な技巧のレースが施されていた。
ウルセリオンはハンカチを見事に受け取り、持ち主を探して回りを見渡すと、ある少女がハンカチのようにひらりと彼のもとへ舞い降りてきた。
そう、ハンカチの持ち主は美しきティンメネル、彼女の肌は何よりも白くかぐわしい、髪は星の光をたたえたが如く光っていた。ティンメネルはウルセリオンを見つめると、彼の手に白い手を這わせてハンカチをひろいあげた。
ᚨᛇ ᚨᚢᚱᚢᛇᛖᚱᛁᚩᛅ ᛚᛁᚲᛖ ᚺᛖᚱ ᛏᛁᛅᛗᛖᛅᛖᚱ ᚠᛖᛚᛚ ᛁᚾ ᛚᚩᛩᛖ ᛏᚩᚩ᛫ᚢᚱᚢᛇᛖᚱᛁᚩᛅ ᛇ ᛖᚥᛖ ᚹᚨᛇ ᛒᚱᛁᚷᚺᛏ ᛏᚺᛖᛅ ᛇᚲᚥ
ᛏᚺᛖᛅ ᛏᚺᛖᚥ ᛏᚺᛁᛅᚲ ᛖᚨᚲᚺ ᚩᛏᚺᛖᚱ ᛚᛁᚠᛖ ᚨᛅᛞ ᛏᚺᛖᚥ ᚠᛖᛚᛚ ᛁᛅ ᛚᚩᛩᛖ
ウルセリオンの目にティンメネルが輝かしく映ったように、ティンメネルの目にもウルセリオンはまぶしかった。
まっすぐ見つめるウルセリオンの瞳は空をとじこめたように真青で、またたく間に魅了された。こうして彼らはお互いにひと目で惹かれたのだった。
そして逢瀬をかさねていくにつれ、恋は愛に、好感は慈しみに変わってゆく。そして彼らはまたお互いをエルフの長き一生を共にする者と、見定めた。
そこまで読むとシリウルはそっと読むのを止めた。ボロミアは詩が終わったのかと思いそっと拍手を送った。
「今のはエルフ達が衰退していった時代丁度に作られた物です。エルフ達は武勇伝ほどではないにしろ、よくこうした愛の詩を綴りました」
「美しき詩を読んで下さり有難う、今はそれくらいで結構ですが、また気が向かれた時に読んで頂きたく存じます」
ボロミアがそう言うと、シリウルは複雑な表情を垣間見せました。
彼は少し懐疑的に思ったが、彼の弟のファラミアがエルフの詩は悲しい物が多いと言っていたのを思いだして、きっとそれが理由だと思った。
なので彼女にもう一度詩の朗読を頼む事は無いようにしようと決めた。
