第1章 出逢い
貴方の名は?
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「トマト缶安かった〜!やっぱりあそこのスーパー種類豊富だし、安い最高っ!」
食材を買い終えた私は上機嫌で帰宅した。勿論、魔法は使わずバスなどの公共機関と徒歩でだ。マグルの世界で魔法を使うのはタブーだとアルバスに教わった。
初めは吸血鬼の私に魔法界の掟を押し付けるな、と反論したがホグワーツの生徒になったからには仕方ない。『郷に入っては郷に従え』、これは母様がいつも言っていた言葉だ。ヒトから吸血鬼になった母様はそう自分に言い聞かせ、一族に溶け込んだ。ホントかっこいい母親だよ。
薄れゆく母様の顔を思い出しながら、デカい敷地を歩き玄関へと着いた。そこで私は足を止める。
何…?この不味そうな血の臭い…。
つい鼻を抑える、火薬に土、それに馬…?それらの混ざった臭いはとても強烈でヒトより数倍の嗅覚をもつ吸血鬼の私は顔を顰めながら玄関の扉を開けた。
その瞬間、何か鋭利なものが私の頬を掠めた。傷口からは血が頬を伝い、こぼれ落ち床を汚す。
あぁ、勿体無い。そんな呑気な事を考えたが身体はしっかりと動き、買い物袋を落とすと服の中の杖を掴む。
ジッと臭いがする方を見据えると歳若い男の声が聞こえた。
「へぇ、その殺気をだせるって事はおたく只者じゃないね」
「…は?」
黒い影のような所から突然男が現れた。
姿あらわし?いや、違う。こんな魔術ないし、この男の格好は何?今流行りなの?迷彩柄のポンチョで茶色の髪の毛の東洋人顔だ。なんで私の家に?この家は特殊な魔法で私が結界をはっており、私の許可がないと敷地内にすら入れないはずだ。それに、この男が話したの日本語だ…。久しぶりに聞いたその言葉には聞き覚えがあった、私の母の母国の言葉だ。
色々と疑問はあったが、明らかに敵対される様子をみると質問なんてできない。
私は杖を構えた。
「俺様達をここへ連れてきてどうするつもり?」
「私は貴方達をお連れした記憶はないですけどねぇ」
「そんな嘘通用すると思ってるの?…その棒切れ…あんたも”婆娑羅者”?」
「ばさ…?何ですからそれ…、強いていうなら私は魔女です」
「はあ?意味わかんないから…、とりあえず、大人しくしてもらおうかなっ!!」
「プロテゴッ!!!」
私はすかさず護りの呪文を唱え、相手の刃物を防いだ。その様子に驚きを隠せない相手の隙をついて「エクスペリアームス!」と相手の武器を強制的に吹き飛ばす。
苦い顔をして再び影のようなものに潜ろうとするのですかさず「インカーセラス」できつく縛りあげる。
何が起こったか分からないという顔をする男に近づくと、こちらを睨みあげられた。
「ッ、アンタ何者だ!!クソっ、解けない!」
「それは私にしか解けないよ」
「…何が目的?」
大人しくなった男は交渉しようとそう聞いてきた。
私は深い溜め息をつくと杖をおろす。
この男は何を勘違いしているんだ…、呆れた顔をしながら話す。
「目的も何もないよ…。そもそもなんで貴方はここにいる?敷地全体覆うように結界はってあったのに。もしかして、抜け穴でもあった?」
「…は?嫌、俺様達はいつの間にかこの奥の部屋にいて…」
「え?どういう事?それに達って…」
まるで他にたくさんヒトがいるみたいに…。そう思った刹那物凄い足音がこちらに向かってきた。
「さああああああすけええええええええ!!!!」
「大将!!?来ちゃダメって言ったのに!」
「Ha!真田がんな事聞く訳ねぇだろ!にしてもこの屋敷はえらくspaciousだな!…あ?猿お前なんで縛られてんだ?」
「政宗様!あまり、近づいてはなりません!」
「だ、れ…?!」
次々と出てくる人達に驚きを隠せず、呆然と立ち尽くしてしまう。
しかも全員日本人で奇妙な格好をしていた。鎧…?兜…?槍……!?ジャパニーズ刀!!!!?
明らかにこの時代にはないような物を身につけている男達に目を見開き、口をパクパクと動かす。
「…あん?hu〜、very beautiful girl!アンタが猿を縛ったのか!?」
「そ、そうです」
「そりゃ、すげぇな!あの猿をどうやってだ!?」
「政宗様!!油断をなさるな!…おい、女ここはどこだ」
「…私の家ですけど?」
「何故俺達をここに連れてきた」
「………だっからぁ、私は貴方達を連れてきた記憶なんてないって!!あああ、もう!なんなら、出てってもらっても構わないですよ!?ほら、玄関!!どうぞ!!!!」
無実の罪をかけられる私はだんだんと腹が立ち、癇癪を起こしながら杖を振り扉を思いきり開けた。
その様子に全員が目を見開き驚く。「妖術か何かか?」「婆娑羅持ちじゃない?」等と話すこの人たちを見て、もしかしてマグルでは?と思ったが、迷彩柄の男は…魔術みたいなことしてたし。
意味がわからない、と頭を抱えた。
もうとりあえず…
「…お茶にしませんか?」
こんな状況で何言ってるんだ私と自分を殴りたくなった。