第1章 出逢い
貴方の名は?
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パチパチと暖炉の火が燃える音がする。その音をBGMにしながらソファに身を委ね、紅茶を口に含むと一息ついた。
ホグワーツ魔法魔術学校の修了式を終えると、長期休暇…所謂、夏休みへと入り私はイギリス郊外の邸宅へと帰省していた。親友のアルバスには帰るなと駄々をこねられ、友人のセブルスには吸血衝動が起こったらどうすると心配(本人は心配じゃないって言い張るけど)されてホグワーツ城に残るよう言われたが、何とか振り切り城外へと逃げ、とても良い笑顔を浮かべながら姿くらましで先程帰宅した。
去年のクリスマスは帰省しておらず、屋敷しもべもいないこの大きな邸はあちらこちらが埃だらけで汚い。杖を振るい無言呪文を使いながら掃除をする。まあ、1年もいないとこうなるよな、と溜め息をついた。
この2年間、闇の帝王が少しずつ復活したおかげで私は大変だった。二重スパイをするセブルスを支えながら、”生き残った男の子”と英雄扱いされるよく知りもしないハリー・ポッターという少年を助けながら過ごした。あの年頃は好奇心旺盛なのか色んなことに首を突っ込んでそのフォローをスリザリンの私がした。そのおかげで、スリザリンからは変わり者扱いだ。大変遺憾なのだが…。
ハリー達には懐かれ、ドラコ・マルフォイからは何故か敵視される。
そんなこんなで静かに過ごそうと思っていた、学園生活は毎日が悪い意味で充実していた。
「……1人、か」
久しぶりの1人になんだか、胸がチクリと痛んだ。クリスマスもイースターも結局はアルバスやセブルスと一緒に過ごした。
百年孤独だったんだ!1人は慣れている筈なのに、私もだいぶ絆されている。
そう思いながら、腰を上げると私は自嘲気味笑う。
「どうせ、皆いなくなるのに…こんなんでいいのか」
そう、私は吸血鬼だ。寿命なんて無いに等しいし、身体も頑丈だ。銀の杭を心臓に打つか、燃やされない限りは死なない。
それに比べヒトは脆くてすぐに死んでしまう、魔法を使わなくてとも首の骨の1本や2本容易く折れる。
そんな事、昔は困らなかった。けど、今は友人のことが毎日心配で仕方ない。アルバスはもう老人なんだからあんまりおかしな事をしないでほしいし…、セブルスは地下室に閉じこもらないでもう少し栄養を考えて食べたほうがいい!そう本人に訴えると不満気にしながら「お前が何とかすればいいだろう」と言われたので手料理を振る舞うという約束をした!
その事を思い出し、休暇中にはいつ家に誘おうと笑みを浮かべながら考える。
友人がいる喜びなんて最初はわからなかったけど今は違う。とても楽しみだ。
私は振る舞う料理の練習でもするかと財布を持つと「フィニート(終われ)」と杖を振り、食材を買いに街へと向かった。
”彼ら”と出逢うまであと数時間。
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