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貴方の名は?
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晴れた夏の日。
その日は普段通り、母様には料理を、兄様にはマグルについてを、父様には魔法を教わっていた。
「父様!魔法ってすごいねぇ!私も父様みたくたくさん使えるようになれる?」
「ああ、エマは立派な魔女になれるだろう」
そう微笑みながら言った父様。
なのに…何故?
以前から私達吸血鬼を恐れていた魔法使い達の手によって父様も母様も兄様もみんな、みんな殺された。
楽しそうな笑みを浮かべる魔法使い、恐怖を浮かべながら息絶えていく一族。
私は息を潜めて隠れることしかできなかった。聞こえてくる断末魔に耳を塞ぎこむ、全て終わった後は生存者は私だけ。
幸せだったあの日々はまるで硝子の様に脆く砕け散った。
憎い、寂しい、苦しい、悲しい、悔しい、殺したい!
私の心が怨嗟の声をあげる。絶対に許さない、私から全て奪ったやつらを必ず地獄に落としてやる…!
そう思っていたのに。
百年経ち孤独な吸血鬼は1人の少年と出会う。
「復讐なんかより、もっと楽しい事僕が教えてあげる!だから、友達になろう!」
孤独な吸血鬼は復讐をやめ、少年と過ごした。
少年との生活はとても楽しく復讐の事など忘れられるほどだった。
孤独だった頃とは大違いで笑い方を忘れていたはずだった私は心の底から笑えた。
少年が大人になると再び復讐心がジワジワと甦ってくる。
だが、あの日私は愛という魔法に惹かれてしまった。
「リリー…、リリーッ…!!!!」
嗚呼、美しい。
ヒトの愛とはこんなにも美しいものなのか。それは私には無いもの。
孤独な吸血鬼は羨望した。
殺したい、寂しい、悲しい、苦しい、愛したい、愛されたい。
けど、その願いは叶わない。
吸血鬼はヒトを愛してはいけない。
そんなの分かっている。
だけど私も…愛が欲しい、本当の、美しくて、甘くて、血が沸き立つような、激しく、狂おしい程の、愛が…
私はヒトを愛してはいけない
アイシタイ
「誰か私に…ヒトを愛せない魔法をかけて」
孤独な吸血鬼は愛に渇き、愛を拒む
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