のぞみが目を覚ましたのは、浄化から半月後だった。

「…？……。」

陽の光に眉を寄せシワを作るとゆっくりと目を覚ます。ボヤけてる視界に木の木目があり自分の部屋が違うと考えたがボーッとする頭を出来るだけ動かし記憶を起こして思い出し夢じゃなかったと目を閉じ息を吐く。

「起きたか？」

襖が開き部屋に入ってきた人物は、襖を閉めながら問いかける。のぞみは、頭を斜め右横に向け人物を確認しようとしたが逆行の為見えず目を細める。人物は、自分の影をのぞみの顔に当てて近寄り隣に座る。

「…さ…ぃ、さ…？」

影がかかったおかげで人物の姿がはっきり見え名前を呼ぶが、喉がつっかえるような感覚に眉を寄せる。

「水を飲め。」

のぞみの背中に手を入れ起き上がらせ置いていた水が入ったコップを持ち差し出す。のぞみは、コップに口をつけ手で支えながら少し飲み喉を潤せば口を離す。

「亘さん？」

そう、のぞみに声をかけたのは本丸に入る前に分かれた担当者の亘だった。亘は、のぞみが自力で起き上がれるのを確認した後 両手をのぞみの両頬に添える。顔の整っている亘を間近で見て一瞬 ドキッとするも次の衝撃的な痛みに目を見開く。

「ふぁ？！」

「お前は、バカか！！」

「ふぉ、ふぉへんははひ！！(ご、ごめんなさい！！)」

亘は、眉を寄せシワを作り怒った表情でのぞみの両頬を両手で抓って引っ張る。あまりの痛さにのぞみは、生理的な涙を浮かべ流しながら謝る。

「確かにお前は、他の審神者より霊力が高い。だがな、制御された状態で資源も使用しない手入れに本丸を覆う程の結界、中の浄化、そして離れなどの建物の建て直し。そりゃ、倒れるに決まってんだろ？！」

「ふおー」

亘の鬼のような形相に思わずといったように声を出す。亘は、のぞみの両頬から両手を離し座り込む。

「まぁ、無事でよかった。」

「ごめんなさい。」

のぞみは、ヒリヒリして赤くなっているであろう両頬を自分の両手でさすりつつホッとしたような表情を浮かべる亘に再度 謝る。

「で？いつの間に仲良くなったんだ？」

「んん？」

「刀剣様方から主って呼ばれたんだ。過去最短の記録だ。」

「んんん？」

亘の言葉に理解できずのぞみの頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいで首を傾げる。

「？仲良くなったんじゃないのか？」

「むしろ仲が良いのですか？」

お互いがお互いに何を言っているのか分からなくなり首を傾げるばかりだったが襖を挟んだ外から誰かの影が映り低音ボイスで入室の許可を貰うように問いかけてから襖が開く。
黒髪に色白で儚げな顔立ちに黒いシャツにサスペンダー付き短パンを着てその上から白衣を着た少年が姿を現し起きているのぞみを見てホッと息を吐き出し部屋に入り開けた襖を閉めてから亘の隣に腰掛ける。

「大将 具合は、どうだ？」

「大丈夫、です。」

「そうか。良かった。」

「お互いに話し合いが必要のご様子ですね。私は、本丸の確認とこんのすけの更新をしてきます。」

戸惑いの表情を浮かべるのぞみと安堵した表情を浮かべる少年に亘は、言い立ち上がると外に通じる襖の方へと歩いて行き襖を開け一歩廊下に出ると襖を開く。立ち去ってしまった亘に手を伸ばした状態で固まっていたのぞみは、手を下ろし手元をジッと見つめる。