のぞみは、スマホ越しから聞こえる担当者の残念がる声に思わずといったように苦笑いを浮かべるが了承した担当者に感謝しつつ切れた通話を切りスマホのラ○ンのアプリを開き友達の居るトーク画面を開き文字を打ち送信のボタンを押す手前で指が止まり打ち込んだ文字を全て消し我慢出来ずに涙が溢れ落ちる。

「（こんなに…辛いんだ…。苦しいんだ…。親不孝者だ…。）」

のぞみは、辛い気持ちが溢れでたように涙を流したまま声を押し殺す。そして宣言通りに親戚と遊び会社へ挨拶し辞め月曜の皆が寝静まった夜中に送れなかった友達と言えなかった家族の母親と弟のラ○ンのトーク画面に新しく打ち込んだ「さようなら」を打ち込み送信し電源を消し最後のベットに横になると現実から逸らすように目を閉じる。
暫く経つと近くに置いたスマホのバイブに目を覚ましスマホを確認すればセットしたアラームが時間を示しており止めるとスマホを鞄に入れ鞄を持ち部屋を静かに出ると玄関を静かに開ける。玄関の先には、何処かのビルの部屋になっており部屋に入る前に振り返り最後の玄関先を見つめる。

「25年間ありがとう…。親不孝者でごめんなさい。お母さんとお父さんと晃の家族で嬉しかった…幸せにね？」

流れ落ちる涙をそのままになんとか不細工なりの笑みを浮かべて小さな声で言い部屋に入り扉を支えていた手を離し静かに閉まる扉をジッと見てしっかり閉まった事を確認すると声を上げそうな感情を唾と共に飲み込み服の袖で涙を拭う。

「のぞみ様　大丈夫ですか？」

「大丈夫です。ありがとうございます。」

「ご無理をなさらないで下さい。俺で宜しければお話をお聞きしますから」

「ありがとうございます。」

亘の言葉に少しホッとしたのか声を震わせずにお礼を言う。そんなのぞみに亘は、口を開け慰めの言葉を言おうとしたが何も言えずギリっと歯軋りを一度してから息を小さく吐き出しその代わりに笑みを浮かべる。

「それでは先に霊力の検査をしましょうか。霊力の強さで新規なのか引き継ぎなのか決まりますから」

「はい」

亘の言葉にのぞみは頷き歩き出す亘の後ろを追いかけると、ある部屋の前に亘は立ち止まる。

「こちらが計測部屋になりますが、その前に荷物をお預かりします。そのピアスも」

「このピアスがないと頭とか痛くなるんですが…分かりました。」

持ってきた鞄とつけていたピアスを外し亘に託し部屋に入ると中心部に　椅子がポツンとあり天井には、四方にスピーカーが付いており他には、中心部を映すように向ける監視カメラが付いていた。スピーカーからジジッとした音が鳴ると声がし部屋に響く。

《椅子に座ってください。》

「あ、はい。」

のぞみは、スピーカーから聞こえる声に返事をし言う通りに椅子に腰掛けてから強くなっている頭痛を我慢していたが少しして亘が扉を開け中に入り預かったのぞみのピアスを返すとのぞみは、ピアスをつけ落ち着く頭痛に安堵の息を吐き出す。

「お疲れ様でした。」

「はい。」

立ち上がるのぞみに鞄を差し出すとのぞみは、鞄を受け取り念のために中身を確認してから肩にかける。

「では、こちらです。」

「はい。」

歩き出し部屋を出る亘を追いかけるようにのぞみも出るとバタバタとのぞみと亘と通り過ぎる白衣を着た人物たちにのぞみは、見送り何が起こったのか疑問に思いつつも亘を追いかける。

「何かあったんですか？」

「計測機が壊れました。」

「そんな事あるんですか？」

「ありません。歴史初ですよ。」

「へえ…かなりの霊力の持ち主なんですね。」

「のぞみ様ですけどね」

「は？」

「のぞみ様の霊力を検査する検査機が壊れたんですよ。」

のぞみは、亘の言葉に「マジか…。」と呟き思わずといった様に額に手を添え頭を抱える。

「前代未聞ですよ。計測機が壊れた事は。」

「すいません。」

「大丈夫です。では、控え室でお待ち下さい。私は、結果を確認に行きますので」

「はい」

歩き出した亘を見送ってから説明された控え室に入り配置されたソファーに腰掛けソファーの柔らかさに思わず「おぉ…。」と漏らしてしまい。

「…なんか…手持ち無沙汰だなぁ…」

鞄から使っていたスマホを取り出し中を確認すると今までのやり取りが何故か残っている事に首を傾げつつも圏外でインターネットを操作出来ず音楽が聴けない事に落ち込みながらも今までのラインでのやり取りを一から読み始める。
思い出を思い出しながら読んで居たからなのか扉の音に時間の経過が早く感じスマホの電源を消し鞄に入れ扉の方を見つめると渋ったような表情を浮かべた亘が資料を片手に入ってきた事にのぞみは、首を傾げる