「疲れた…。」

疲れて怠くなった体に鞭を打ち会社の駐車場に向かい車に乗って体を休ませながら呟く。

「今日から3日休みだしいっかぁ…。昨日　新しく更新されてたなぁ」

スマホを鞄から取り出し画面を指で軽く叩き電源を呼び起こすと慣れたようにパスワード画面を開きパスワードを入力しホーム画面を表示させy○u t○b○のアプリを開き更新箇所を開くと新しい実況を見て車のエンジンをかけて車とスマホを接続させ車のスピーカーから流すようにすると新動画を開き音を流してベルトをしてから車を発進させていく。

「ふっ、ははっw 家に早く帰って画面と一緒に見なきゃね」

流れてる実況に思わず楽しそうに笑い動画が見れない事を残念に思いつつ笑った事で怠かった精神が多少　復活したのか会社に出る前より元気になり楽し気に笑う。
実況のおかげか家に早く着くと車を車庫に停めエンジンを切り荷物と共に車から下りる。

「花咲　のぞみさんですね？」

スーツ姿の男が車から降りたのぞみに問いかけるとのぞみは、ビクッと肩を震わせ声のした方を見て自分の名前を知るスーツ姿の男を警戒した様子で見る。

「誰…ですか？」

「申し遅れました。私は、こういう者でございます。」

スーツ姿の男は、自分の内側にある胸ポケットから名刺入れケースを取り出しケースから名刺を一枚取り出すとのぞみに差し出す。のぞみは、のドアのハンドル箇所のボタンを押しロックをかけると名刺を受け取り内容を見る。

「（時の政府　審神者担当者…）えっと名前の読みが…。」

「亘（せん）と申します。」

「あ、はい…ん？時の政府と審神者って…あの、刀剣乱舞の？？」

「はい。刀剣乱舞の審神者で間違いありません。」

「詐欺では？？」

「こちらを見たら納得しますか？」

一枚の長方形の紙を鞄から取り出し小さく何かを呟くとボンッとした音と煙が上がり煙が消えるとそこには、見たことのある二頭身くらいにデフォルメされ白い顔には赤と青で装飾のような模様が描かれている丸っこい狐がいた事に目を見開き固まったかと思えば両手で目元を隠し天を仰ぐ。

「（こんのすけだぁぁ！！か゛わ゛い゛い゛！！）」

「信じましたか？」

「ありがとうございます。」

「信じていただけたようで助かりました。」

のぞみの絞った言葉に亘は、笑みを浮かべながら言う。

「少しお待ち下さい。」

いろんな意味でキタ事に我慢しつつ亘に言うと急いで中に入り荷物を片付け準備してから家の中に入れる。

「こんな時間に来る方が色々と問題だと思いますけどね。お茶の用意します。」

亘をテーブルの側に座るように言いつつコップにお茶を注ぎテーブルの前に置きテーブルを挟んで亘の前に座る。

「すいません。なにぶん急ぎでして…。」

「それで…？」

「のぞみ様は、細かい事を知っていそうですのでぶっちゃけます。審神者になってください。」

「（ぶっちゃけすぎやろ！！）…細かい事は、知りません。ただ審神者の役割を知っているだけです。」

「十分でございます。こちらの世界で審神者を務める事が出来る人間が極少人数になってしまい足りない状態です。そこで次元を超え他の次元の霊力が高い人間を務めてもらおうと時の政府が提案しました。その1人としてのぞみ様が選ばれました。」

「審神者は、やった事ないですよ。知識もありませんし。」

「サポートする者が付きっきりでいますので問題ありません。」

「次元と言いましたね。ここに戻れますか…？」

「いえ、次元すら違いますので難しいです。」

のぞみの質問に亘は、真剣な表情で言う。最後の質問の答えにのぞみは、思わず息を止め俯く。

「無理に決める必要は、ありません。こちらに着てしまえば貴方が居たと言う実績が全て除去され貴方は、元々居ない存在になってしまいます。それにこれは、我々の上の者が勝手に決めた事です。嫌でしたら行かなくても構いません。本心としましては、審神者を出来る者が少ないので来て下さると助かります。」

「期間くれますか？返事としましては、構いませんが、最後の期間が欲しいんです。」

「！！ありがとうございます。もちろん期間は、構いません。どれくらい必要でしょうか？」

「5日間で、お願いします。」

「分かりました。5日後の火曜日朝方の5時に玄関先をこちらの一室にお繋ぎしてお迎えいたします。」

亘は、正座のまま頭を床に着くまで下げのぞみに玄関まで送ってもらい家を出て玄関前で頭をまた下げ立ち去る。亘の背が見えなくなるまで見てから玄関の扉を閉め座り込む。

「（こんな…感じなのかな…？望んでないトリップ者の気持ちって…。）」

泣き出しそうになる気持ちを息と共に飲み込み立ち上がり部屋まで向かい隣の部屋に居る母親の部屋の扉を叩く。

「なに？」

母親も夜勤なのか眠気を含んだ声で問いかける。

「今日と明日　休んで欲しんだ。」

「なんで？」

「用事なんだ。大事な…。」

「分かった…。」

母親は、疑問を思いながらも仕事先に連絡する。のぞみは、苦笑いを浮かべ自分の部屋に行き鞄に入れたスマホを取り出し派遣の担当者に連絡を入れ会社を月曜日から辞める事を伝える。