「ここ…どこ…？」

目を覚ましたのぞみは、痛みの残る頭を抑えながら起き上がり周りを見渡しながら呟くが周りは、暗闇だけで何もなくのぞみを主張するかのように光って見えていた。

「なんだか…CCさくらの闇（ダーク）と光（ライト）みたい。」

《目が覚めたかな？》

「！！」

幼い頃に観ていたアニメを思い出しポツリと呟くがゆっくり立ち上がり何処と無く暗闇に向かって進もうと動かそうとした足をそのままにピシッと固まりゆっくり足を下ろしていきなり聞こえた声に体をビクつかせながらキョロキョロを周りを確認するが誰も居らず恐怖で体を固まらせる。

《姿を想像してみなさい。この空間は、君の想像で姿を表す》

「あ、はい」

聞こえた声に思わず返事を返し怖くないように想像すれば椅子と机が現れその椅子に座る間抜け顔のウサギのぬいぐるみを見て嬉しそうに笑みを浮かべる。

《間抜け顔だね》

「うぅ…怖いのでつい…」

《まぁ、いいや。えっとね、君は、間違えて死んだんだよ》

「間違い？？」

《そう。本来は、近くにいた老人の魂が昇る予定だったんだけど君が死んでここに来たんだ。》

「そうなんですか…。」

焦る事なく普通に返すのぞみにウサギは、表情を変える事なくそのままのぞみを直視する。のぞみは、動かなくなったウサギに首を傾げる。

《いや、普通は慌てるものなんだけど…。 》

「（遠回しに普通じゃないと言われた。）」

のぞみは、ウサギの言葉に思わず遠目になり落ち込む。

《ゴホン…。とりあえずこちらのミスだから君を転生させるよ。》

「転生…。それって…。」

落ち込み始めたのぞみを見て自分の手を自分の口元に当てて咳払いし話題を変えるとのぞみも畏まる。畏まったのぞみにウサギの姿をした神は、笑みを零す。

《もちろん君が望んでいる二次元でも構わない。しかし二次元に送るにも何かを貰わないといけない。それは、分かるかな？》

「アレかな？HOLICのような対価みたいな？」

漫画で読んだ知識で言いウサギの姿をしている神に問いかける。

《簡単に言えばね？》

「対価って記憶とか出来ないかな？僕の存在を薄くする、みたいな？」

《出来るけど君は、それでいいの？》

ウサギは、机に乗りトコトコと近付いては手を出して問いかける。

「うん。悲しむより忘れて貰った方がいいかなって」

仲の良かった人達や家族を思い出しては、愛おしそうに笑みを浮かべながら言うのぞみに神は、何も言えず頷く。

《なるほど…少し対価が多いかな。君は、関わりが多いから。まぁ、そこは後で調整するとして世界は？》

「じゃ…テニスの王子様で…」

《ふむっ。それなら救って欲しい次元がある。》

「救って欲しい次元？？」

のぞみの行きたい次元先を聞き、とある次元を思い出しのぞみをじっと見てから決め神はのぞみに言い放つそんな神の言葉にのぞみは、首を傾げる。

《テニプリの世界でも負のテニプリ世界》

「負？」

《その世界はね、欲望の塊を押し付けられて傷ついた世界なんだ。》

「…欲望の塊…？」

《テニスの王子様 通称 テニプリ。たくさんの行きたいという欲望がある。でも世界は、限られているから行けない人だっている。僕ら神は、亡くなって綺麗な魂を送るって形で成り立っていたのにある時に禁忌を犯した落ち神が欲望の人間を世界に送り出した。傷ついた世界は、修理しながらも懸命に生きようとしてる。でも間に合わない。だから代わりに君が世界を癒して欲しい。》

「そんな大役 無理ですよ！！世界を癒やすなんて！」

あまりの大役にのぞみは慌てて立ち上がって否定する。