修行2日目
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ルッチに連れ立たれ、二人は静かに廊下を歩いていた。
ふと目をあげたさきに、医務室の文字が見える。ボロボロの上司の姿が脳裏をよぎり、忍はルッチに声をかけた。
『ルッチ、医務室よっていい?』
「怪我でもしたのか?」
『違う違う。長官の見舞い。』
訝しげに問いかけたルッチは、その答えを聞いてああ、という顔をして医務室の扉をあけてくれた。
「おや、ルッチさん。あ、忍さんも。初めまして。」
明らかに医者だ、という風態のお爺さんはなぜか自分の名前を呼んで挨拶をしてくれた。その反応に戸惑いを隠さず、おそるおそる忍は問うた。
『え、あ、初めまして。あの…何で俺のこと…?』
「フクロウさんが喋っていましたよ。昨晩のことも。」
そういったお爺さんは、やたらとニコニコとしている。
『昨晩…?』
昨晩はお披露目会か。何かあったのだろうか。
そのことを聞こうとする彼女を、ルッチがさりげなく遮った。
「おい、ドクター。長官は?」
「ええ、長官ですね?そこのベッドに。」
『あ、どーも。』
遮られたことを特に気にするでもなく、指さされたベッドのカーテンを忍はめくった。
『ちょーかーん!調子如何っすか?』
「ああ、忍。すまねぇな…どーも頭の後ろにタンコブが出来ててな?」
申し訳なさそうに照れ笑いしたスパンダムは、しきりに頭の後ろをさすっている。
確実にルッチの持ち方のせいだろう。
『あ、すんませんっす。ほら、ルッチあやま…あり?』
当の本人も来ているのだから謝りなよ、と声をかけようとするがその彼の姿が見当たらなくなっていた。
「ああ、隣から話し声するし…ジャブラがいるから…あ!」
さらりとスパンダムはそういったが、何かに気づいたようでしまったという顔で声をあげた。
『ジャブラいるんだ!丁度いい、会っていこ!!』
が、時すでに遅く、スパンダムの手は虚しく空を切り、そのまま敷居のカーテンは開かれた。
「なん…!?忍!?」
「チッ」
突如現れた忍に明らかにジャブラは動揺し、ルッチが苦々しげに舌打ちをする。
何も気にせず、意気揚々と忍は笑った。
『ジャブラー、元気?貧血って聞いてよ、あれ?まだ輸血中?』
「ブフォ!!」
昨日の今日では記憶も鮮明だったのだろう。
情けなくもジャブラは豪快に倒れこんだ。
『ギャーッ!!鼻血ふいたー!!』
「ギャーッ!!カーテン真っ赤に染まったー!!」
『ドクター!!ドクター!!』
その勢いは凄まじく、スパンダムと忍はぎゃーぎゃーと大騒ぎで、そのやかましさにルッチは眉をしかめた。
『ドク…ん?ルッチ?』
必死にドクターを呼んでいると、いきなり右肩をルッチに掴まれ、ぐるりと回転させられた。
「お前はいない方がいい。そのまま来い。」
『え?あ、はい。』
肩に腕をかけられたまま、彼女はルッチと部屋を出た。