修行2日目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
走るのはもういいと言いつつ、三人は先程訓練を行っていた場所に戻ってきた。
走らないのなら他に何をするのか聞こうかと思っていると、おもむろにルッチが口を開いた。
「さて。まず、剃の前に嵐脚を見せてやる。カク。」
どうやら六式の1つを見せてくれるらしい。
「うむ、まかせろ。」
ルッチに呼び掛けられたカクは、自信ありげに頷くとその体を麒麟へと変化させた。
「別に麒麟になれとは言っていない。」
『ほわあああ…』
「目をキラキラさせるな、忍。」
麒麟になったカクの姿に、思わず忍は笑顔になる。それをルッチは静かにたしなめた。
「何じゃ、麒麟の状態の方が威力は凄いのにのぅ。」
「いいから早くしろ。」
仕方なしに姿を戻したカクは、長い足を高くあげた。
「ハイハイ…“嵐脚”!!」
小気味好い音で放たれた嵐脚は、やすやすと石の壁を切断した。
『おおお!実物で見るとスゲぇ!』
「じゃろ?」
素直に感激していたが、次に放たれたルッチの一言は驚くべきものだった。
「やってみろ。」
『いきなり!?』
一朝一夕にできるものではなかろうに、こともなげに彼はやってみせろと言ってきたのだ。
「コツはとにかく速く、じゃよ。」
カクも特にそれを嗜めるでもなく、気軽そうにアドバイスを寄越してきた。
『ううう…』
昨日始めたばかりの人間に何故そんなことを命じるのか。確実に無理だ。
そう思いつつも、やらざるを得ない雰囲気に忍は覚悟し構えた。
『嵐脚!!』
彼女の足からは"斬撃がとんだ"
「……」
「…出来とる…」
命じたとはいえできるとは思っていなかったのだろう。ルッチは言葉をなくし、カクも大変間抜けな声を出している。
「ほれ、目をつぶってないで開けてみぃ。」
忍はしっかりと目をつぶって蹴りを放っていた。カクにうながされ、固く閉じていた瞼をおそるおそるあげた。
『わ゛ーーーできてるーー』
カクほどの規模や威力ではないが、ちゃんと壁には斬撃が届いていた。
「凄いのぅ、忍。まだ二日目じゃぞ?」
ワシャワシャとカクは彼女の頭をなでた。
「これならば、剃も出来るかもしれんのぅ。のう、ルッチ。」
「そうだな。忍、次は剃だ。よく見ていろ。」
予想外の出来だったのだろう。カクの提案にルッチはあっさりと頷いた。特に彼は褒めてはくれないようで、期待していたわけではないがやや残念な気持ちになった。
「“剃”!」
ややしょんぼりしていた忍名前から、ルッチの姿が消えた。
思わず声を出すことも忘れ、あたりを見渡す。
「ここだ。」
『わああああ!!』
彼は真後ろに立っていた。
「五月蝿い。」
心底五月蝿そうな顔をルッチはしていたが、キラキラとした笑顔で自分を見上げる忍を見て、ドキリと心臓が跳ねた。
『スッゲ…』
「フン…コツはその場で素早く約10回地面を蹴ることだ。」
思わず漏れた感嘆の声に、ルッチは素っ気なさはあるもののコツを教えてくれる。
実は知っているが、そんな無粋なことは言わない方がいいだろう。
『やってみます!』
嵐脚で自信がついていたこともあり、意気込んで忍は息を吸った。
嵐脚より早いぐらいでいいのだろうか、その場で素早く地面を蹴る………
『剃!』
ヒュッと風を切る音が聞こえた。
「おお、出来とるのう!!」
『っしゃーーーあ!!』
カクのその声に、思わず喜びが溢れる。
伊達に幼い頃から鍛えていない。世界は違えど、それが生かされたと思うと素直に嬉しかった。
落ちこぼれだったとはいえ、自分に多少の能力はあったのかもしれないと思えた。
「二式使えれば、上出来だ。もう今日は終わりでいい。」
表情こそ変わらないが、ルッチなりに褒めてくれたのだろう。その声に冷たさは滲んでいなかった。
「帰るぞ。」
『うす。』
走らないのなら他に何をするのか聞こうかと思っていると、おもむろにルッチが口を開いた。
「さて。まず、剃の前に嵐脚を見せてやる。カク。」
どうやら六式の1つを見せてくれるらしい。
「うむ、まかせろ。」
ルッチに呼び掛けられたカクは、自信ありげに頷くとその体を麒麟へと変化させた。
「別に麒麟になれとは言っていない。」
『ほわあああ…』
「目をキラキラさせるな、忍。」
麒麟になったカクの姿に、思わず忍は笑顔になる。それをルッチは静かにたしなめた。
「何じゃ、麒麟の状態の方が威力は凄いのにのぅ。」
「いいから早くしろ。」
仕方なしに姿を戻したカクは、長い足を高くあげた。
「ハイハイ…“嵐脚”!!」
小気味好い音で放たれた嵐脚は、やすやすと石の壁を切断した。
『おおお!実物で見るとスゲぇ!』
「じゃろ?」
素直に感激していたが、次に放たれたルッチの一言は驚くべきものだった。
「やってみろ。」
『いきなり!?』
一朝一夕にできるものではなかろうに、こともなげに彼はやってみせろと言ってきたのだ。
「コツはとにかく速く、じゃよ。」
カクも特にそれを嗜めるでもなく、気軽そうにアドバイスを寄越してきた。
『ううう…』
昨日始めたばかりの人間に何故そんなことを命じるのか。確実に無理だ。
そう思いつつも、やらざるを得ない雰囲気に忍は覚悟し構えた。
『嵐脚!!』
彼女の足からは"斬撃がとんだ"
「……」
「…出来とる…」
命じたとはいえできるとは思っていなかったのだろう。ルッチは言葉をなくし、カクも大変間抜けな声を出している。
「ほれ、目をつぶってないで開けてみぃ。」
忍はしっかりと目をつぶって蹴りを放っていた。カクにうながされ、固く閉じていた瞼をおそるおそるあげた。
『わ゛ーーーできてるーー』
カクほどの規模や威力ではないが、ちゃんと壁には斬撃が届いていた。
「凄いのぅ、忍。まだ二日目じゃぞ?」
ワシャワシャとカクは彼女の頭をなでた。
「これならば、剃も出来るかもしれんのぅ。のう、ルッチ。」
「そうだな。忍、次は剃だ。よく見ていろ。」
予想外の出来だったのだろう。カクの提案にルッチはあっさりと頷いた。特に彼は褒めてはくれないようで、期待していたわけではないがやや残念な気持ちになった。
「“剃”!」
ややしょんぼりしていた忍名前から、ルッチの姿が消えた。
思わず声を出すことも忘れ、あたりを見渡す。
「ここだ。」
『わああああ!!』
彼は真後ろに立っていた。
「五月蝿い。」
心底五月蝿そうな顔をルッチはしていたが、キラキラとした笑顔で自分を見上げる忍を見て、ドキリと心臓が跳ねた。
『スッゲ…』
「フン…コツはその場で素早く約10回地面を蹴ることだ。」
思わず漏れた感嘆の声に、ルッチは素っ気なさはあるもののコツを教えてくれる。
実は知っているが、そんな無粋なことは言わない方がいいだろう。
『やってみます!』
嵐脚で自信がついていたこともあり、意気込んで忍は息を吸った。
嵐脚より早いぐらいでいいのだろうか、その場で素早く地面を蹴る………
『剃!』
ヒュッと風を切る音が聞こえた。
「おお、出来とるのう!!」
『っしゃーーーあ!!』
カクのその声に、思わず喜びが溢れる。
伊達に幼い頃から鍛えていない。世界は違えど、それが生かされたと思うと素直に嬉しかった。
落ちこぼれだったとはいえ、自分に多少の能力はあったのかもしれないと思えた。
「二式使えれば、上出来だ。もう今日は終わりでいい。」
表情こそ変わらないが、ルッチなりに褒めてくれたのだろう。その声に冷たさは滲んでいなかった。
「帰るぞ。」
『うす。』