修行2日目
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「「よーし、やるぞー!!」」
「『…』」
訓練場につくと、テンション高めのカクと長官が、仲良く空に拳をつきあげて叫んでいた。
先ほども思っていたが、訓練に長官はいらない気がしてならない。
それに、どうしてカクとルッチは暇なのだろうか。
仮にも二人はCP9のNo1と2だろうに。
やや呆れた目で見ていると、くりくりな目をさらに丸くさせ、カクが問いかけてきた。
「ときにお主、筋肉痛はないのかの?」
「お、そうだよ。お前昨日ヘロヘロだったじゃん。」
ああなるほど、たしかに常人ならばもはや筋肉痛どころではないであろう内容だった。
だが体のどこにも不調はない。
『あ、帰ってからストレッチとマッサージよくやったから平気。』
ありがとね、と笑みをうかべて返すと、カクが口元に手をあて息を呑んだ。
「はっΣもしや、ルッチにマッサージを!?」
『何でそんな思考に至る!?』
素で突っ込んでしまった。
「なんと!変態かルッチ!羨ましい!!」
「バカか。俺はこいつに興味はない。」
『それはそれで悲しい!!』
「忍。あいつらは放っておいて、昨日と同じ周走ってこい。」
ややコントのような会話に、少し和む。
元いた世界より楽しく過ごせそうだ。
『うーす。』
走るのは準備運動のかわりなのだな、と返事をしながら忍はさっさと走り始めた。
「ぬお!もう走っとる!!置いていかれてしもうた!」
「なにぃ!?お前も走ってんのか?俺無理!」
「ワハハハ、長官仲間外れじゃー」
子供のような二人は、我先にと自分に追いつこうと走ってきた。カクはあっという間に横に並んだが、スパンダムとは距離が開いている。
それでも、彼も必死に走ったのだろう。
だんだんと距離はちぢみ、ややあって会話できるほどの距離に追いついてきた。
「ハア、ハア」
息切れのひどいスパンダムに、ややバカにしたような目を向ける。
『無理しない方が…歳だろ?』
「歳じゃろ?」
「な、お前ら馬鹿にしやがって!ちょっと若いからってよ!!」
『ちょっとじゃないですー。俺はまだ18ですー。下手すりゃ長官の子供でもいける年齢ですー』
「ワシも23ですー。今までは最年少でしたー。」
「むかつくな、その語尾の伸ばし。」
小馬鹿にされながらも、本気で怒ることもない彼と会話をするのは案外楽しかった。
『なぁ、そういえばさジャブラ今日任務?』
ふと、そんな事を思い出す。
ジャブラは他の皆と違って、任務に行ってなかったような気がしたからだ。
「あ?ハア、ハア、ジャブラ?あいつ、今日はここにいるぞ。」
『へー。でも俺の特訓手伝いには来てくんねぇんだ。』
別に来て欲しいわけではないが、スパンダムよりは彼の方が頼りになるであろう。
「あやつ、貧血で寝込んどるぞ?」
さらりとカクが教えてくれた言葉に、忍は目を丸くした。
『え、マジで?お見舞い行かなきゃ。』
その言葉に微妙な顔をして、カクは言った。
「…止めといた方がよかろう。特にお主は。」
『え、俺嫌われてる系?』
酒の席でのことは忘れているのだろうな、とカクは思っていたが、今の言葉でそれが確信に変わっていた。
なんとも、酒とはタチの悪いものだ。
『ね、ちょうかーん。あれ?ちょうかーん。』
「俺、もう、無理…死ぬ…」
スパンダムに聞こうとした忍がふと振り返ると、やや離れたところでスパンダムがうつ伏せに床に倒れこんだ。
『あーあ、死んだね。…ちょ、え!?誰も助けないの!?ってかルッチ走ってたの?』
「「勝手に死ねばいい。」」
いつのまにか並走していたルッチも、カクも全く彼に近寄らない。
『憐れ!!…しゃーねぇ。ルッチー。俺、長官運んでくるから、一旦後で走るね。』
「え、おい!」
流石に憐れだと感じ、くるっと踵を返すと忍は長官の元へ走っていった。
そして、器用に抱えあげ、そのままおぶさった。
『ほら、長官。医務室連れてきますよ。』
「す、すまねぇ…」