修行1日目
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その飲みっぷりに喜んだカクは、続けざまに忍に酒を飲まそうとしてきた。それをなんとか振り払い、彼女はジャブラの元へとたどりつく。
その選択は、間違いだった。
『グホォ!!』
「旨ぇか!ほら、もっと飲め!!」
無類の酒好きの彼が、自分に飲ませないはずがなかったのだ。
『いい…ゲホ、もう、いい…』
気管にまで入り込んでしまった酒に苦しみながら、なんとか次の酒を彼女は拒絶した。
「何だ?遠慮なんてすんじゃねーぞ?今日はお前の為の会だ。」
『あ、後でルッチんとこと長官のとこ行くから…また、後で来るから…』
この場は早く去らねばなるまい。なんとか理由をこじつけ、彼を納得させた忍はふらふらと歩き出した。
『う、うい~す、長官…』
なんとか彼の元までたどり着き、フラフラ…と倒れこむ。
「おう、来たか…っておい!もう瀕死じゃねぇか。平気か?」
『カ、カクとジャブラに…無理矢理飲まされた…』
肩を支えて抱えてくれた彼は、少し哀れむ表情をうかべ何かを差し出してきた。
「そ、そうか…じゃあひとまずこれ飲め。」
ぐい、と手渡されたのは飲み物が注がれたグラス。
『なに…?また、お酒…?』
「もうそんなヘロヘロな奴に飲ます気はねぇよ。安心しろ、レモン水だ。サッパリするぞ?」
『おぉ…マジスか…有難うございます~』
彼の気遣いを、ぐびりと飲み下す。
「おう。まだ、ルッチんとこ行ってねぇんだろ?どうせまた飲まされるだろうから、今のうちに休んどけ。」
自分の椅子に座っていた彼はわざわざ席を譲り、忍を座らせた。その優しさに感動すら覚える。
しかし、良くなるどころかどんどん朦朧としていく頭に、恐怖すら覚えてしまう。
(だんだん人格も壊れてくんじゃねぇのかな…これ。変なこと、口走らなきゃいいけど。)
そう思い、頭を抱えた時だった。
ドカーン!!ガチャン、ガチャン、パリーン!!
突如皿やらグラスやらが割れる音がする。
「やんのかぁ!化け猫!!」
「フン…野良犬に負ける気はしない。」
CP9の連中なら、既に聞きなれた二人の喧嘩の声がガンガンと頭に響いた。
ゆったりとした動きで、忍はその音がした方向へ目を向ける。
「あいつら…とうとう始めやがった。」
スパンダムが呆れたようにため息をこぼした。彼は喧嘩を仲裁しようとズカズカ間に入っていくが、二人に睨まれ、スゴスゴ戻ってきた。
尊厳など欠片もないその姿を見て、やれやれと忍は立ち上がった。ふらつく足元にちっと軽く舌打ちをする。
なんとか倒れぬよう彼らの元へ歩いていくと、ちょうど二人が雄叫びをあげながら獣人化するところだった。
その姿にキラン、と忍の目が光る。そこからはもう、彼女の記憶はない。
「ワハハハ、ええぞ~もっとやれ~」
すっかり出来上がり、ケタケタと楽しそうにカクが煽る横を、先程のふらつきが嘘のように忍が素早く通り過ぎていく。
「ん~忍ー?今二人に近づかん方がええぞ~」
「そ、そーだぞー…」
それに気づいたカクがやんわりと注意しスパンダムも便乗して注意するが、二人の注意が耳に入っていないのか、忍はズカズカ近付いていく。
「何をするつもりじゃ?」
その様子に胸がヒヤリとし、カクの酔いは一瞬で冷めた。
それほどに彼女は、喧嘩をする二人の元へと近づいたからだ。丸い目をスッと細め、カクは長い足を一歩彼女の方へとむけた。
「おい…っ!?」
ルッチが邪魔をするな、と言おうと忍の方を向くと、突然忍がルッチに抱き付いた。
「「「「!!!???」」」」
予想もしなかった展開に、誰の思考もついていけない。
すると、へにゃんとした声で忍が言った。
『ん~猫ルッチ可愛い~』
「…!お、おい離れろ。」
『やーだー。ね、もっと完全に猫になってよ。』