修行1日目
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スパパーン!!
~忍入隊おめでとう~
鳴り響くクラッカー。
初めて全員揃った所を見た、CP9。
でかでかと自分の名前の書かれた垂れ幕。
あまりにも早すぎる準備に、忍は唖然としていた。
しかし、そんなことは気にもせずニコニコと楽しそうにスパンダムは言った。
「いやーー、無事入隊も決まったし、良かった良かった。」
『長官、もう酒はいってんじゃねぇスか?』
あまりにもニヤニヤしているので、つい冷たく言い放つ忍。
しかしそうでもしないと、嬉しくてにやけそうな口元を抑えることが出来なかった。自分が迎え入れてもらえる。そんな経験、今までしたことがない。
『長官、俺入隊?って言うんすか?まだ一式も覚えてねぇんすけど。』
「いいんだ、いいんだ!取りあえずお前、挨拶にまわってこい。時間が切羽詰まっててな。直ぐに出なくちゃいけねぇやつもいる。」
『あ、はい…』
喜びを我慢して長官に話しかけると、彼は早口にそう伝えてきた。それほど忙しいのにわざわざ開催してくれたのか、と嬉しさ反面少し呆れてしまう。
つくづく、実はこの人はいい人なのだと感じる。
『今晩は。』
とりあえず忍は、近くにいた髪の長い歌舞伎顔の人物に声をかける。彼の名前は、確か…
「よよいっよいっよいっ。あ、お~れ~は~『クマドリさんですね、よろしく。』あ、途中でき~ら~れ~た~」
簡単に思い出せた彼の名前。そして、時間がかかる彼との会話の一部始終を思い出し、申し訳ないけれど彼女はさっさと話を切った。
だが彼も時間が無いメンバーの1人だったようで、その後クマドリはスタスタと長官の元へと向かい、去って行った。
本当に時間が無いのだなと、ぼんやり思う。ならば、早めに会話をきってよかった。
「お前が噂の新入りか。」
『!』
クマドリの背中を見送っていると、はたと後ろから声をかけられた。
ぎくりと振り向くと凄い髪型が最初に目にはいる。
『あ、ブルーノさん。忍です。よろしく。』
勿論、そんな髪型のキャラの名前を忘れる筈もなく忍はちゃんと名前を呼んだ。
後ろから急に声をかけた割に薄い、彼女の反応に片眉をすこしあげ、ふっと笑いブルーノは言った。
「さんも敬語もいらないからな。困ったことがあったら何でも言うんだぞ?まあ、ほとんど任務で留守にするが…」
その優しい言葉に、少年のように忍は笑った。
『有難う!一般的なお父さんってこんな感じかもな!』
「…?それは誉め言葉か?」
『ああ、誉め言葉。(たぶん)』
「そうか…?まあ、とにかくよろしくな。」
彼もまた、そのまますたすたと扉へむかっていった。きっと任務なのであろう。
「忍。」
CP9の忙しさに感心していたら、耳あたりのいい女性の声が聞こえてきた。
『あ、カリファ。ごめんな、昨日遊びに行けなかった。』
「別に構わないわよ。ルッチでしょう?」
昨日のことについて謝罪を述べるが、彼女は全て理解していたようでひらひらと手を振って笑った。
流石、長くCP9として彼と過ごしてきただけのことはある。
「ご免なさいね、今日から2,3日任務へ行くの。帰ったら今度は遊びましょう。CP9で私は唯一の女だし、気軽に相談して欲しいわ♪」
その彼女も、どうやら任務らしく笑顔を一転、申し訳なさそうに眉を寄せそう言った。
最後の好意に頷くと、カリファは人を虜にする笑みを浮かべひらりと身を翻した。
「それじゃあね。」
その姿すら、彼女は美しい。
偽りといえど、こんな美人な秘書がいたアイスバーグに嫉妬すら覚える。
その彼女が出ていく姿を見届けると、忍はぐるりと辺りを見渡した。
あとは皆暇そうだ。おそらく急ぎの人はもういないのだろう。
(じゃあ、適当にまわるか…)
そう思い、足を踏み出した時だった。
「チャパパー忍ー。」
騒がしい声がきこえ、思わず『げっ!』と声が漏れる。正直この人とはあまり話したくない。うかつに喋って、なにかボロでも出ればおそらく…
「おれがお前のこと色んな奴に話してきてやったチャパー。」
このように噂が広まる。
なんとない事なら構わないが、もっと重要な…隠したいことでもバレたら、自分はここを出ていくしかない。ならば、関わらないにこしたことはないだろう。
『へーへー。そりゃどーも。』
適当に相槌をかえすと、こちらの思惑通りフクロウは面白くなさそうな顔をした。
「面白くない反応チャパー。」
フクロウは放っておいても大丈夫そうだと判断し、口を尖らせる彼を置いて忍はカクの元へと歩み寄った。
『カクー。』
のほほんと笑っているカクの元へ行く。
「おー。忍ー。」
いつも以上に穏やかに返事をした彼の頬は、ほんのりと紅く染まっている。
「飲んどるかのぅ?」
『飲んでねぇよ?俺まだ18。』
「何じゃ?お主がいた世界じゃ駄目だったのかのぅ?」
『基本的にはな。』
「ほぉ…じゃあ、飲め飲め!!ここはもう、違う世界じゃ!!」
その理屈を通してもいいものかと思案する間も無く、がぼりと口に何かが突っ込まれる。
『ムグッ!!』
無理矢理口に含まされたそれを、最早飲み下すしか選択肢はない。
「どうじゃ?旨いじゃろ?」
ゴクリと喉をとおったものは、胃にたどりつく。だんだんとぽかぽかしてきたそこに手を当てて首をかしげる。
はたしてこれは、うまいのか?
『ん~、う~ん。』
返答に困っていると彼女をみて、ニコニコとカクは笑った。
「そーか、ほれ飲むんじゃ!!」
『あ、何勝手についでんだ!!』
「嫌ならワシが口移しで飲ませてやろうか?」
『なっ…は?じ、冗談じゃねぇよ!』
「ワハハハ、照れとる照れとる。」
酔っ払った人間はこうも面倒くさいのか。
妙に腹が立ち、半ばヤケクソになった彼女はグラスを傾けた。
ゴクゴクゴクゴク…
「ほぉ!え~飲みっぷりじゃ!」