はじめに
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殺しを終えた"少女"は、ある名門家の屋敷の前に立っていた。
表札すらたっていない、けれど誰もが知っている家。
全ての者を阻むような、見上げるほど大きい日本家屋の門。
永遠に続くのではないかと思える程の、長い塀。
「ただいま、戻りました。龍越家四女忍です。」
その門の前に立ち、淡々とそう名乗ってから扉を開く。
ギシギシと、重い音が響いた。
時刻は深夜2時。当たり前だが、誰も返事は返してくれない。この家には、"彼女以外誰もいない"のだから。けれど、名乗らなければ"殺される"。
それが、家訓。
「ハァ…」
ため息をつき、軽くシャワーを浴びてベッドに入った。
けれど、彼女に安息はもたらされない。今までそれを感じたことは、一度たりとてない。
「今日は寝られればいいな…」
そう呟いた少女の顔は、歪んでいた。
穏やかに過ごせる日々は、自分には訪れないのだろうか。
そう、毎晩毎晩己に問い掛ける。
誰もその問いに答えられないと知りながら。それでも尚、問わずにはいられなかった。