見知らぬ世界
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少しのんびりとソファーに座っていると、外から鳥の羽音が聞こえてきた。
『!』
開けてある窓から、ネクタイをした白い鳩が見える。
『あ、ハットリ。』
そういえば、彼の肩にはいつも彼が止まっていた。
腹話術で話すルッチに合わせる、なかなか賢い鳩だった記憶がある。
すっ…と指をさしだすと、迷う様子もなくハットリは忍の指に止まってくれた。
可愛いなぁ、と思いつつ頭を撫でてやると、目を細め気持ち良さそうにする。
「ハットリも知っているのか。」
『そりゃ漫画で読んだし。』
少し驚いた様子のルッチに、そう答えると不満気に鼻を鳴らす音が聞こえた。
ちらりと視線を寄越すと、眉間に深い皺を寄せて睨まれていた。
絶対今、俺のハットリに…などと思っているのだろう。
今、彼の機嫌を損ねるのは得策じゃない。
『ほ、ほらハットリ。ルッチの所にも行きなよ。』
そう考えて、忍はハットリを促した。
…が、チラッとルッチを見てハットリは嫌そうな顔をする。
(げ…)
こんなに反抗的な鳩だったろうか。自分のためにも、早くルッチの元へと行ってほしい。
『えーと、はい…どーぞ。』
困った挙句、彼女はルッチへとハットリを差し出した。
自分から行ってくれないのなら、これしか方法はあるまい。
近づけられたハットリを見て、ルッチはそーっと手を伸ばしてきた。
そのゆっくりとした動きに、少し可愛さを感じる
「『!』」
しかし、ルッチの手が触れる直前にハットリはまた飛び立ち、何処かへ行ってしまった。
恐る恐るルッチの顔を垣間見ると、さらに眉間の皺は濃く刻まれていた。
怒っているのだろうか。それとも悲しみだろうか。
彼の表情を読み取ることは、まだできなかった。
このあと、ルッチの機嫌はすこぶる悪くなり、カクの部屋にもカリファの部屋にも、忍は遊びにいけなかった。