ほぼネームレス小説ですが、たまに名前を呼んでもらえます
短編夢
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「ま、待って、待って跡部くん」
「あん? 何が不満だ」
「説明がはやいよ~!」
シャープペンシルを握りしめて泣き言をいう。跡部は情けない彼女の態度を見て、眉間にしわを寄せる。手に持っている赤ペンで軽くでこぴんをする。
「あいたっ」
「さっさと終わらせろ。大体、遊ぼうって誘ってきたのはお前の方じゃねえのか」
「き、昨日までに終わる予定だったんだもん……」
半泣きの彼女は、おでこを押さえて顔を俯けた。毎日5ページやれば終わるはずだったのに、まさか最後に私の苦手な単元が集まってるなんて、とかなんとか。小声でぶつぶつと言い訳をしている。跡部は彼女の手にある問題集を取り上げて、ぱらぱらとめくる。確かに途中まではこつこつと取り組んでいたようだ。だが、現時点で白紙のページがまだまだ残っている。努力が足りなかったとか、計画通りにできないとかいうよりは。
「……計画を立てる前に、全体のタスクを把握しろ。計画自体が破綻していたんじゃ目標達成できないのは当たり前だ」
「難しいこと言われてもわかんないよお」
彼女のためを思って言っているのに。彼女は簡単に跡部の好意を蹴る。はあ、と跡部は深い溜め息をつく。この調子だと次の長期休暇でも同じ失敗をするだろう。人の話を聞けない人間は成長もできない。
跡部の手から問題集を取り返して、うんうん唸っている彼女をちらと見る。ああ、さっきも説明したところでつまづいている。要領の悪い彼女は一回の説明で苦手を克服することが難しいらしい。一週間くらい経ってから、「跡部くんの説明やっとわかった!」なんて嬉しそうに報告してくることがままある。今更かよ、といつも呆れるのだけれど。でも、不器用ながら努力家な彼女のことは好ましく思う。
まあ、いいか。いくら要領が悪くとも、失敗を繰り返そうとも。そのたびに彼女が泣きつくのは跡部なのだ。そんな些細な事に満たされてしまうから、今日も彼女のことを強く叱れない。
「……早く終わらせろ。お前と、やりたいことがたくさんある」
ぽつり、と呟いた言葉。彼女は問題集から顔を上げて、びっくりしたように跡部を見る。そして、それはそれは嬉しそうに頬を緩ませる。
「……気になって、集中できない」
よりによってそんなことを言い出す彼女。馬鹿だなお前は、と呆れ返って。もう一度、跡部は渾身のでこぴんをお見舞いする。
「あん? 何が不満だ」
「説明がはやいよ~!」
シャープペンシルを握りしめて泣き言をいう。跡部は情けない彼女の態度を見て、眉間にしわを寄せる。手に持っている赤ペンで軽くでこぴんをする。
「あいたっ」
「さっさと終わらせろ。大体、遊ぼうって誘ってきたのはお前の方じゃねえのか」
「き、昨日までに終わる予定だったんだもん……」
半泣きの彼女は、おでこを押さえて顔を俯けた。毎日5ページやれば終わるはずだったのに、まさか最後に私の苦手な単元が集まってるなんて、とかなんとか。小声でぶつぶつと言い訳をしている。跡部は彼女の手にある問題集を取り上げて、ぱらぱらとめくる。確かに途中まではこつこつと取り組んでいたようだ。だが、現時点で白紙のページがまだまだ残っている。努力が足りなかったとか、計画通りにできないとかいうよりは。
「……計画を立てる前に、全体のタスクを把握しろ。計画自体が破綻していたんじゃ目標達成できないのは当たり前だ」
「難しいこと言われてもわかんないよお」
彼女のためを思って言っているのに。彼女は簡単に跡部の好意を蹴る。はあ、と跡部は深い溜め息をつく。この調子だと次の長期休暇でも同じ失敗をするだろう。人の話を聞けない人間は成長もできない。
跡部の手から問題集を取り返して、うんうん唸っている彼女をちらと見る。ああ、さっきも説明したところでつまづいている。要領の悪い彼女は一回の説明で苦手を克服することが難しいらしい。一週間くらい経ってから、「跡部くんの説明やっとわかった!」なんて嬉しそうに報告してくることがままある。今更かよ、といつも呆れるのだけれど。でも、不器用ながら努力家な彼女のことは好ましく思う。
まあ、いいか。いくら要領が悪くとも、失敗を繰り返そうとも。そのたびに彼女が泣きつくのは跡部なのだ。そんな些細な事に満たされてしまうから、今日も彼女のことを強く叱れない。
「……早く終わらせろ。お前と、やりたいことがたくさんある」
ぽつり、と呟いた言葉。彼女は問題集から顔を上げて、びっくりしたように跡部を見る。そして、それはそれは嬉しそうに頬を緩ませる。
「……気になって、集中できない」
よりによってそんなことを言い出す彼女。馬鹿だなお前は、と呆れ返って。もう一度、跡部は渾身のでこぴんをお見舞いする。