ほぼネームレス小説ですが、たまに名前を呼んでもらえます
短編夢
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「え、えーと? ちょっと、ちょっと待って跡部くん」
「あん、何が不満だ」
「不満っていうか、その~……これは……一体」
跡部くんが好きな、ついばむような可愛らしいキス。それはいつものことだけれど。今日は、何だか様子がおかしい。
まず、キスが終わったのに跡部くんの顔が尚近くにある。睫毛さえ触れそうな距離で色素の薄い瞳にじっと見つめられて、正直、それだけで呼吸が止まりそうなほど緊張しているのに。視界の外では私の腰に回された跡部くんの腕が、ブラウスの裾をスカートから引っ張り出している。空気に触れた背中が冷やりとするより早く、跡部くんの大きな手が素肌を撫でる。何これ?
跡部くんは戸惑う私を見て、眉を顰めた。そのままゆっくりと口角を上げる。目をニィと細める。なんとも勝ち気で、なんとも色っぽい笑顔。私が思わず唾を飲むと、跡部くんがゆっくりと口を開く。
「言わせたいのか?」
挑発的な声音。
何の答えにもなっていないのに。何よりも答えになっているその言葉に、私は固まるしかない。
何か言わなきゃ。そう思っても、ええ、とか、あの、とか無意味な言葉だけが力なくもれていく。跡部くんは満足そうに笑って、腰にあった掌を私の背中に滑らせる。その手が金具を外しそうになって。いよいよ状況を受け入れざるを得なくなり、慌てて口を開く。
「ま、待ってってば、跡部くん」
「待たねえ」
「あの、私たち中学生だよ」
「知ってる」
「分かってないでしょお!」
「あん? 分かってないのはお前だろう」
背中を這っていた手がお腹にまわされる。おへその、ちょうど下あたり。跡部くんの大きな手がじんわりと温かい。
「お前は、もう子どもすら作れる体なんだぜ」
跡部くんの手の下。触れられている場所。
その奥に何があるのか分かってしまって。恥ずかしさで一気に顔が赤くなる。跡部くんは私の反応を見て満足そうに口角を上げる。
何も言えず口をぱくぱくする私に、触れるだけのキスをして口を塞ぐ。
「まあ、そんなヘマは絶対にしねえ。安心しな」
「……そ、そりゃそうだけど。ねえ、一回落ち着いてよ」
「俺は落ち着いているぜ」
「一人で盛り上がってるじゃん……」
さすがに暴言だっただろうか。跡部くんは一旦顔を離して、真顔で私を見つめた。その手は尚私の素肌に添えられたままだ。居心地が悪くて、恥ずかしくて。つい目を逸らして足元を見つめる。すると、私の頭の上で、跡部くんが吹き出す気配がした。
何? 思わず跡部くんを見上げると、射抜くような目をした跡部くんと目が合った。ぽかんと間抜けな顔をしているだろう私に、跡部くんはふん、と鼻を鳴らした。
「よく言うぜ。満更でもないくせにな」
「えっ、何、それ」
「俺様の目は誤魔化せないぜ」
インサイトここに極めり。そんなあおり文を背後に幻視する。やばい、これは跡部くんの本気スイッチ入った。察して逃げ出そうと力を入れた手は、跡部くんに簡単に捕らえられる。
「いい加減に覚悟するんだな」
「えええ、ちょっと、ねえ、待って待って心の準備――」
必死に叫んだ言葉はあっけなく跡部くんの口に飲み込まれていく。
もう逃げられない。何だかんだ跡部くんには甘いんだよなあ、私。小さな自尊心とわずかな抵抗を諦めて、私はただ緊張に身を固くするのだった。
「あん、何が不満だ」
「不満っていうか、その~……これは……一体」
跡部くんが好きな、ついばむような可愛らしいキス。それはいつものことだけれど。今日は、何だか様子がおかしい。
まず、キスが終わったのに跡部くんの顔が尚近くにある。睫毛さえ触れそうな距離で色素の薄い瞳にじっと見つめられて、正直、それだけで呼吸が止まりそうなほど緊張しているのに。視界の外では私の腰に回された跡部くんの腕が、ブラウスの裾をスカートから引っ張り出している。空気に触れた背中が冷やりとするより早く、跡部くんの大きな手が素肌を撫でる。何これ?
跡部くんは戸惑う私を見て、眉を顰めた。そのままゆっくりと口角を上げる。目をニィと細める。なんとも勝ち気で、なんとも色っぽい笑顔。私が思わず唾を飲むと、跡部くんがゆっくりと口を開く。
「言わせたいのか?」
挑発的な声音。
何の答えにもなっていないのに。何よりも答えになっているその言葉に、私は固まるしかない。
何か言わなきゃ。そう思っても、ええ、とか、あの、とか無意味な言葉だけが力なくもれていく。跡部くんは満足そうに笑って、腰にあった掌を私の背中に滑らせる。その手が金具を外しそうになって。いよいよ状況を受け入れざるを得なくなり、慌てて口を開く。
「ま、待ってってば、跡部くん」
「待たねえ」
「あの、私たち中学生だよ」
「知ってる」
「分かってないでしょお!」
「あん? 分かってないのはお前だろう」
背中を這っていた手がお腹にまわされる。おへその、ちょうど下あたり。跡部くんの大きな手がじんわりと温かい。
「お前は、もう子どもすら作れる体なんだぜ」
跡部くんの手の下。触れられている場所。
その奥に何があるのか分かってしまって。恥ずかしさで一気に顔が赤くなる。跡部くんは私の反応を見て満足そうに口角を上げる。
何も言えず口をぱくぱくする私に、触れるだけのキスをして口を塞ぐ。
「まあ、そんなヘマは絶対にしねえ。安心しな」
「……そ、そりゃそうだけど。ねえ、一回落ち着いてよ」
「俺は落ち着いているぜ」
「一人で盛り上がってるじゃん……」
さすがに暴言だっただろうか。跡部くんは一旦顔を離して、真顔で私を見つめた。その手は尚私の素肌に添えられたままだ。居心地が悪くて、恥ずかしくて。つい目を逸らして足元を見つめる。すると、私の頭の上で、跡部くんが吹き出す気配がした。
何? 思わず跡部くんを見上げると、射抜くような目をした跡部くんと目が合った。ぽかんと間抜けな顔をしているだろう私に、跡部くんはふん、と鼻を鳴らした。
「よく言うぜ。満更でもないくせにな」
「えっ、何、それ」
「俺様の目は誤魔化せないぜ」
インサイトここに極めり。そんなあおり文を背後に幻視する。やばい、これは跡部くんの本気スイッチ入った。察して逃げ出そうと力を入れた手は、跡部くんに簡単に捕らえられる。
「いい加減に覚悟するんだな」
「えええ、ちょっと、ねえ、待って待って心の準備――」
必死に叫んだ言葉はあっけなく跡部くんの口に飲み込まれていく。
もう逃げられない。何だかんだ跡部くんには甘いんだよなあ、私。小さな自尊心とわずかな抵抗を諦めて、私はただ緊張に身を固くするのだった。