ほぼネームレス小説ですが、たまに名前を呼んでもらえます
短編夢
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日が暮れ始める中、クリーム色のブレザーの肩を並べて歩く。
生徒会が終わったあと、鍵係の私は教室の施錠をして先生に返却する義務がある。初めての委員会の日、跡部くんは何故か最後まで残っていた。帰らないの、と訊ねると、跡部くんは委員の活動を見届ける義務があるのだと言った。委員長だからな、なんて。そんなの鍵係の意味がないじゃない、と私は笑ったけれど。跡部くんは一度だって私を置いて帰ることはしなかった。
一緒に教員室に寄って、一緒に校門まで歩く。一年間続けてきた習慣は、任期と共に終わりを告げた。でも、今日も二人は肩を並べて歩いている。
校門の前。ぴた、と足を止める。今までは、ここでお別れ。私は電車通学、跡部くんは車通学だから。私は校門を出て、跡部くんは構内のロータリーへ向かう。
でも、今日は。
「待って、跡部くん」
「あん?」
立ち止まった私に、怪訝な顔を向ける跡部くん。さっきまで今日の寄り道のプランを話していた。俺のプランの何が不満だ、そう言いたげな顔をしている。跡部くんも慣れないことをしようとして、意外と緊張しているのかも。余裕がないのが新鮮でかわいい。
不満なんかない。跡部くんの隣に当たり前にいられることが、こんなにも嬉しい。
「噛み締めてるの。幸せだなあって」
私の言葉を聞いた跡部くんは、心底呆れた顔をした。「馬鹿か、お前は」なんて呟いて。立ち止まった私を急かすように、手を差し出して、指を絡める。
「いつも通り」から一歩踏み出して。彼と、新しい道を歩き始める。
生徒会が終わったあと、鍵係の私は教室の施錠をして先生に返却する義務がある。初めての委員会の日、跡部くんは何故か最後まで残っていた。帰らないの、と訊ねると、跡部くんは委員の活動を見届ける義務があるのだと言った。委員長だからな、なんて。そんなの鍵係の意味がないじゃない、と私は笑ったけれど。跡部くんは一度だって私を置いて帰ることはしなかった。
一緒に教員室に寄って、一緒に校門まで歩く。一年間続けてきた習慣は、任期と共に終わりを告げた。でも、今日も二人は肩を並べて歩いている。
校門の前。ぴた、と足を止める。今までは、ここでお別れ。私は電車通学、跡部くんは車通学だから。私は校門を出て、跡部くんは構内のロータリーへ向かう。
でも、今日は。
「待って、跡部くん」
「あん?」
立ち止まった私に、怪訝な顔を向ける跡部くん。さっきまで今日の寄り道のプランを話していた。俺のプランの何が不満だ、そう言いたげな顔をしている。跡部くんも慣れないことをしようとして、意外と緊張しているのかも。余裕がないのが新鮮でかわいい。
不満なんかない。跡部くんの隣に当たり前にいられることが、こんなにも嬉しい。
「噛み締めてるの。幸せだなあって」
私の言葉を聞いた跡部くんは、心底呆れた顔をした。「馬鹿か、お前は」なんて呟いて。立ち止まった私を急かすように、手を差し出して、指を絡める。
「いつも通り」から一歩踏み出して。彼と、新しい道を歩き始める。