こんにちはブラック本丸。私はただの迷子です。
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あの後、何とか下ろして貰い此処…本丸について教えて貰った。
この本丸は、かつて薬研や鶯丸たち…刀剣男士たちを束ねる主であり、眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ審神者と呼ばれる女性が居た。彼女は刀剣男士たちと力を合わせ、「歴史修正主義者」と名乗る時間犯罪者たちが過去に送り出した時間遡行軍たちから過去の歴史を守る為、日夜戦っていた。しかし、ある時から様子がおかしくなり、今の本丸へとなってしまったらしい。
「?何があったの?」
「…月狂いだ。」
月狂い。初めて聞く言葉に首を傾げる。月には昔から魔力が宿るとか云われているが、唯の衛星に如何したら狂うのだろうか。そんな考えが顔に出ていたのだろうか、薬研は苦笑いを浮かべていた。
「そっちの月じゃねえよ、大将。」
月といったら其れしか思い浮かばないが、一体何の月なのだろうか。…そういえば、さっきのあれはミカヅキとか言っていたな…。数分前の恐怖を思い出し、自然と眉が顰められる。嫌なことを思い出した。
眉間にシワが寄っているぞと言いながら、鶯丸は名前の眉間をグリグリとしてくる。ありゃあ〜。
その後、鶯丸さんのお陰で何とか調子を取り戻すことが出来た。
薬研曰く、三日月宗近と呼ばれる天下五剣の一つで、その中でも最も美しいと評されている刀に狂ったように執着することを月狂いというらしい。顕現した姿もそれに反映する様で、大層美しいそうだ。審神者は、その三日月宗近の美しさにやられた様で、演練で出会ってから段々と狂って行ったらしい。その事について話す薬研の顔が苦渋に歪んでいるのを見て、辛いことを思い出させてしまったと思う。
「実は言うと、さっきの影が審神者だ。」
「え”?!」
ーーー
「ア”ァァァァアミィィカァヅキィィィ‼︎!!!」
ーーー
鶯丸の言葉に名前は、あれが発狂した時に叫んでいた言葉をもう一度思い出した。そして納得する。如何やらあれが審神者らしい。化け物へと変貌した今でも、三日月宗近を求める執着心は変わっていない様である。名前は執着心を其処まで持ったことがないので、審神者の執着心を理解することが出来なかった。
何でも刀剣男士というものは、鍛刀や戦利品としてドロップするらしく、三日月宗近も他の刀剣男士同様、鍛刀やドロップで手に入れることが出来るらしい。但し、その確率はとても低く、相当な豪運の持ち主でないと手に入れることが難しいらしい。
詰まるところ、審神者には運がなかった。何度鍛刀しても三日月宗近は来ず、よくドロップすると云われる厚樫山へ何度進軍しても三日月宗近はドロップしなかった。此処まで現れないのなら諦めたら良いのに…と思わず半目になって呆れてしまう程、審神者には三日月宗近の「み」の字も擦りもせず縁が無かった。審神者が悪いのか三日月宗近が悪いのか。段々と分からなくなってきた。
だが、審神者は諦めなかった。
この諦めの悪さが、更に刀剣男子たちを苦しめ、赤疲労・重傷が当たり前となっていき、本丸に溜まりに溜まった刀剣男士たちから発生する怪我の穢れから自分も蝕まれて行き、最終的には人ならざる者へと変貌した。正しくは、正常ではない状態で何か術を発動させたが、不安定な状態で行う様な代物ではない様で失敗に終わり、その反動+穢れからあの様な姿になったらしい。といっても、私は影しか見てないから如何いう姿をしているのか分からないんだけどね…。障子に浮かんでいた影を思い出しながら名前は、心の中で苦笑いを浮かべる。
「審神者があんな風になっちまったら、俺らは如何することも出来ねぇ。殺そうとしても、化けもんになる前に攻撃するなっていう言霊のせいで手出し出来ねぇし、近づけば逆にこっちがやられるっつー感じでな。」
やれやれと溜め息をつく薬研。審神者の言霊というものは、主従関係を結んでいる彼らからすると強力な呪であるらしく、争うことは殆ど出来ないらしい。また、審神者自身の霊力も元々高かった様で、化け物になってから更に強くなり迂闊に近づけば襲われる様である。過去に何とかしようと近付いた刀剣男士がいるらしいが、結局は折られてしまったらしい。
「元々、運動が得意ではなかった筈なんだが、人の輪を外れた事による副産物か身体能力が大きく飛躍していてな…。」
俺たちでも簡単に抑え込むことが難しいと鶯丸が補足する。思っていた以上に、審神者が危険な化け物であったという事に衝撃を受ける。思わず、うわぁ…という顔をしてしまったのも仕方がない。
その様な危険な化け物が居るようであるのならば、早くこの本丸から脱出した方が良い。しかしながら、この本丸から脱出するには転移門を使わなければならないのだが、現在凍結中である。
「絶望だ…。」
その事実を知り、ガックリと肩を落とす名前。その様子を見て、申し訳なさそうな顔をする薬研と鶯丸。だが、名前は此れぐらいでへたこれるような少女ではない。
「よし、何とかして凍結を解除してみよう!」
使えないのならば使えるようにするまで。そう思い、立ち上がろうとする名前を慌てて二振りが止める。
「待て待て待て。凍結は政府の許可がないと解除出来ねぇぞ!」
「まあまあ落ち着け主。急いでも如何にもならん。」
「あれ?そうなの?」
二振りにそう言われ、再び座り込む。しかし、何方にせよ帰る為には転移門の凍結を解除する必要がある。遅かれ早かれ、行動を起こす事に間違いはない筈だ。
許可、許可ねぇ…と考え込む。
許可を貰うには、政府と連絡を取らなければならない。
薬研の口から出てきた政府という言葉。この本丸が政府関係の施設だというのならば、何処かに通信機がある筈だ。その事を二振りに伝えると、執務室にあると言われた。しかし、この本丸は審神者の霊力を基に、電気や水道が稼働している為、通信機を使う為にはまず、この本丸の主になる必要があるらしい。例の審神者はもう、この本丸の主であるということを本丸自体が拒否した為、霊力があったとしても本丸を稼働させることが出来ないらしい。
本丸にも意志があるんだぁ…と謎の感心が湧いてくる。建物にも付喪神が宿ってるのかな?
「試しに拍手してみたら如何だ?」
何か反応を返してくれるかもしれないと鶯丸が言うので、試しにパンパンと御社でよくする拍手を二回打つ。すると、何処からか優しい穏やかな微風が、名前を中心にくるりとそよいだ。
「如何やら主と認めたようだ。」
そう言われて天井を見上げて見ると、さっきよりも明るい色をしているような気がするし、何処となく実家にいるような安心感がある。認められた…のかな?
「よし!んじゃ執務室に行ってみっか!」
薬研が膝をパンっと叩いて言う言葉に、私たちは頷いた。
この本丸は、かつて薬研や鶯丸たち…刀剣男士たちを束ねる主であり、眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ審神者と呼ばれる女性が居た。彼女は刀剣男士たちと力を合わせ、「歴史修正主義者」と名乗る時間犯罪者たちが過去に送り出した時間遡行軍たちから過去の歴史を守る為、日夜戦っていた。しかし、ある時から様子がおかしくなり、今の本丸へとなってしまったらしい。
「?何があったの?」
「…月狂いだ。」
月狂い。初めて聞く言葉に首を傾げる。月には昔から魔力が宿るとか云われているが、唯の衛星に如何したら狂うのだろうか。そんな考えが顔に出ていたのだろうか、薬研は苦笑いを浮かべていた。
「そっちの月じゃねえよ、大将。」
月といったら其れしか思い浮かばないが、一体何の月なのだろうか。…そういえば、さっきのあれはミカヅキとか言っていたな…。数分前の恐怖を思い出し、自然と眉が顰められる。嫌なことを思い出した。
眉間にシワが寄っているぞと言いながら、鶯丸は名前の眉間をグリグリとしてくる。ありゃあ〜。
その後、鶯丸さんのお陰で何とか調子を取り戻すことが出来た。
薬研曰く、三日月宗近と呼ばれる天下五剣の一つで、その中でも最も美しいと評されている刀に狂ったように執着することを月狂いというらしい。顕現した姿もそれに反映する様で、大層美しいそうだ。審神者は、その三日月宗近の美しさにやられた様で、演練で出会ってから段々と狂って行ったらしい。その事について話す薬研の顔が苦渋に歪んでいるのを見て、辛いことを思い出させてしまったと思う。
「実は言うと、さっきの影が審神者だ。」
「え”?!」
ーーー
「ア”ァァァァアミィィカァヅキィィィ‼︎!!!」
ーーー
鶯丸の言葉に名前は、あれが発狂した時に叫んでいた言葉をもう一度思い出した。そして納得する。如何やらあれが審神者らしい。化け物へと変貌した今でも、三日月宗近を求める執着心は変わっていない様である。名前は執着心を其処まで持ったことがないので、審神者の執着心を理解することが出来なかった。
何でも刀剣男士というものは、鍛刀や戦利品としてドロップするらしく、三日月宗近も他の刀剣男士同様、鍛刀やドロップで手に入れることが出来るらしい。但し、その確率はとても低く、相当な豪運の持ち主でないと手に入れることが難しいらしい。
詰まるところ、審神者には運がなかった。何度鍛刀しても三日月宗近は来ず、よくドロップすると云われる厚樫山へ何度進軍しても三日月宗近はドロップしなかった。此処まで現れないのなら諦めたら良いのに…と思わず半目になって呆れてしまう程、審神者には三日月宗近の「み」の字も擦りもせず縁が無かった。審神者が悪いのか三日月宗近が悪いのか。段々と分からなくなってきた。
だが、審神者は諦めなかった。
この諦めの悪さが、更に刀剣男子たちを苦しめ、赤疲労・重傷が当たり前となっていき、本丸に溜まりに溜まった刀剣男士たちから発生する怪我の穢れから自分も蝕まれて行き、最終的には人ならざる者へと変貌した。正しくは、正常ではない状態で何か術を発動させたが、不安定な状態で行う様な代物ではない様で失敗に終わり、その反動+穢れからあの様な姿になったらしい。といっても、私は影しか見てないから如何いう姿をしているのか分からないんだけどね…。障子に浮かんでいた影を思い出しながら名前は、心の中で苦笑いを浮かべる。
「審神者があんな風になっちまったら、俺らは如何することも出来ねぇ。殺そうとしても、化けもんになる前に攻撃するなっていう言霊のせいで手出し出来ねぇし、近づけば逆にこっちがやられるっつー感じでな。」
やれやれと溜め息をつく薬研。審神者の言霊というものは、主従関係を結んでいる彼らからすると強力な呪であるらしく、争うことは殆ど出来ないらしい。また、審神者自身の霊力も元々高かった様で、化け物になってから更に強くなり迂闊に近づけば襲われる様である。過去に何とかしようと近付いた刀剣男士がいるらしいが、結局は折られてしまったらしい。
「元々、運動が得意ではなかった筈なんだが、人の輪を外れた事による副産物か身体能力が大きく飛躍していてな…。」
俺たちでも簡単に抑え込むことが難しいと鶯丸が補足する。思っていた以上に、審神者が危険な化け物であったという事に衝撃を受ける。思わず、うわぁ…という顔をしてしまったのも仕方がない。
その様な危険な化け物が居るようであるのならば、早くこの本丸から脱出した方が良い。しかしながら、この本丸から脱出するには転移門を使わなければならないのだが、現在凍結中である。
「絶望だ…。」
その事実を知り、ガックリと肩を落とす名前。その様子を見て、申し訳なさそうな顔をする薬研と鶯丸。だが、名前は此れぐらいでへたこれるような少女ではない。
「よし、何とかして凍結を解除してみよう!」
使えないのならば使えるようにするまで。そう思い、立ち上がろうとする名前を慌てて二振りが止める。
「待て待て待て。凍結は政府の許可がないと解除出来ねぇぞ!」
「まあまあ落ち着け主。急いでも如何にもならん。」
「あれ?そうなの?」
二振りにそう言われ、再び座り込む。しかし、何方にせよ帰る為には転移門の凍結を解除する必要がある。遅かれ早かれ、行動を起こす事に間違いはない筈だ。
許可、許可ねぇ…と考え込む。
許可を貰うには、政府と連絡を取らなければならない。
薬研の口から出てきた政府という言葉。この本丸が政府関係の施設だというのならば、何処かに通信機がある筈だ。その事を二振りに伝えると、執務室にあると言われた。しかし、この本丸は審神者の霊力を基に、電気や水道が稼働している為、通信機を使う為にはまず、この本丸の主になる必要があるらしい。例の審神者はもう、この本丸の主であるということを本丸自体が拒否した為、霊力があったとしても本丸を稼働させることが出来ないらしい。
本丸にも意志があるんだぁ…と謎の感心が湧いてくる。建物にも付喪神が宿ってるのかな?
「試しに拍手してみたら如何だ?」
何か反応を返してくれるかもしれないと鶯丸が言うので、試しにパンパンと御社でよくする拍手を二回打つ。すると、何処からか優しい穏やかな微風が、名前を中心にくるりとそよいだ。
「如何やら主と認めたようだ。」
そう言われて天井を見上げて見ると、さっきよりも明るい色をしているような気がするし、何処となく実家にいるような安心感がある。認められた…のかな?
「よし!んじゃ執務室に行ってみっか!」
薬研が膝をパンっと叩いて言う言葉に、私たちは頷いた。